集中豪雨 ダムは被害を大きくする

先週末から全国各地で集中豪雨による被害が相次いでいますが、

集中豪雨とダムに関するこんな報道がありました。

 

河北新報2013年07月29日の記事によると、 

http://www.kahoku.co.jp/news/2013/07/20130729t63004.htm

2011年7月末の新潟・福島豪雨で被害を受けた人々が集まって、

只見川流域の東北電力と電源開発の発電ダムの影響で、豪雨災害が起きた

と指摘したそうです。

ダムの操作規定を発電優先から、住民の生命優先にするように求め、

国、県には被害をダムによる災害と認め、水害防止対策の早期実施を要求しました。

新潟・福島豪雨では只見川が氾濫し、

福島県内では金山町、只見町などで住宅33棟が全壊、200棟が半壊し、

只見線も鉄橋が流失してしまいました。

東北電力は自然災害だとして、ダムによる被害拡大を否定していますが、

被災者の会は、東北電に損害賠償請求する方針だそうです。

 

ダム事業者としては、認めたくないでしょうが、これは人の命がかかっています。

異常な集中豪雨では、ダムは治水の役目を果たすどころか、

被害を甚大にするものであることを真摯に受け止めるべきだと思います。

 

フリージャナリストの高杉晋吾さんは、このように述べています。

数十メートル、あるいは百数十メートルのコンクリートダムの狭められた排出口から…

水が巨大なジェット噴流となって下流の住民の住む地域に落下放出されるのである。

この膨大な水の量と激浪は、いかなる山岳の自然な鉄砲水も及ばない怒涛の噴流

の衝撃となって下流に叩きつけられる。

だが、ダムが放出する噴流が落下する地点は何十万トンの激流に耐えられるように

はできていない。人びとが日常生活する土地は地質と砂礫、粘土層、地下水層等が

かさなったやわな地盤である。

これらが「予測以上の洪水」が起きるたびに行われるダムの常態なのである。

石木ダムにも同じことが言えるでしょう。

川棚町の皆さんにも是非知ってほしい大事なことだと思います。

 

水需要予測は何のためにやるのか

26日、待ちに待った回答が届きました。

去る7月8日、私たち2団体が提出した公開質問書
https://ishikigawa.jp/blog/cat09/704/

に対するお答えです。

 

 

 

なんと、16日間もかけて出された回答がこれとは・・・

誠意の欠片もありません。

私たちが示した具体的な質問に何一つ答えなかっただけでなく、

水需要予測は、国庫補助事業として継続採択していただくために行ったもの」であり、

その内示が示されたので「見直しは必要ない」と明言しています。

 

それが水道局の本音だったのですね。

水需要予測は、市民のために適切な水需給計画を立てることが目的ではなく、

石木ダムを造るため、その補助金をもらうためにすぎないんだと自認したわけです。

そこまで正直に書かれるとは予想もしませんでした。

 

これを見た地権者のお一人は、こう言いました。

この回答書はひどいものですね。

トップ次第でこんなに変わるものですか。。

私たちはほとんど関わって来ませんでしたが、

以前の佐世保市はこんなではなかったように思います。

 

これでまた、佐世保市と地権者との溝は一段と深くなってしまいました。 

 

国土交通省九州地方整備局へ3回目の申し入れ

       

昨日、7月23日、福岡市博多区にある国土交通省九州地方整備局へ、

石木ダムの事業認定拒否を求め、申し入れに行きました。

参加者は、地権者の「ばあちゃんたち」を含む『石木ダム建設絶対反対同盟』をはじめ、

『石木川まもり隊』など6つの市民団体から集まった27名です。

 

昨年6月11日、国交大臣が石木ダム建設事業の継続を認め(付帯意見付き)て以来、

今日で3回目の申し入れでした。

 

1回目は、その直後の6月21日。

事業認定手続きを再開しないよう求めるもので、

事業認定庁である県政部が対応してくれましたが、それが最初で最後。

認定庁は中立であらねばならないとのことで、以後は会って頂けません。

 

2回目は、今年3月12日。

ついに手続きが動き出し、公聴会開催が決まった時、

地権者17人の公述応募に対し、3人だけしか認められないのはあまりに少ないと、

ふる里を奪われようとしている地権者の声にもっと耳を傾けてほしいと訴えに行きました。

その時対応したのは、石木ダムについて何も知らない総務部の方々でした。

 

そして、今回対応したのは、河川部地域河川課長を含めた7名の方でした。

地域河川課というのは二級河川など九州各県の河川やダムを担当しているとのことで、

それなら長崎県の二級河川である川棚川のことも、そこに計画されている石木ダムに関しても、

よくご存知だろう、それなら訴え甲斐があるのでは?と期待して出かけました。

 

地権者の皆さんは、今度こそはちゃんと聞いてもらえるかもしれないとの思いで、

お年寄りや、繁忙期の仕事を抱えた男性たちも仕事を休んで参加し、

マイクロバスをチャーターしてまで、駆けつけました。

 

しかし・・・

私たちは皆さんのお話は聞かせていただきますが、

コメントしたり、

皆さんの質問に答えたり、

そういうことは一切できない。

また、事業認定庁は中立な立場を守るべきなので、

我々にも一切の情報は流さない。

我々からも認定庁に伝えることはできない。

ただし、申し入れ書は宛名(九州地方整備局長)のところには渡します

とのことでした。

 

つまり、いわば、聞き置くだけなのでしょうか…

 

みな内心がっかりでしたが、解散する時に

いっつも、こがんことの繰り返したい。

でも、うったちゃ負けんよ〜

こがんことをエネルギーにして、どんどん強くなるばっかりよ〜

と、地元のS子さんの言葉に、みんな笑いと元気をもらいました。 

 

 

以下に、申入書を貼付します。

 

                                          2013年7月23日

 

国土交通省

九州地方整備局長 吉崎  収 様

 

石木ダム建設絶対反対同盟

ダムからふるさとを守る会

石木川の清流を守り川棚川の

治水を考える町民の会

石木川まもり隊

水問題を考える市民の会

石木川の清流とホタルを守る

市民の会

 

長崎県石木ダム建設事業に係る事業認定拒否を求める申入れ

 

(1)御庁は、標記の事業認定申請に関して、本年3月22日及び23日に公聴会を開催されました。

この公聴会で、関係地権者および専門家、市民など11組の公述人が、石木ダム建設に反対する意見を述べました。

関係地権者が述べた用地提供を拒否する理由、専門家や市民が述べた 川棚町の治水にも佐世保市の利水にも石木ダムは不要である理由は、 事実に基づき、説得的であり、且つ心にひびくものでした。

一方、起業者を含む9組の公述人が、ダム建設を推進する意見を述べましたが、ダム建設を不要とする公述にかみあった、科学的な論拠は聞かれませんでした。

 

(2)佐世保市当局は、石木ダム建設事業に係る水道設備整備事業について、

本年1月22日、2月21日及び3月14日の3回に亘って再評価を行い、「事業継続」の方針を決定して、所管の厚生労働省へ報告しました。

しかし、この再評価について、①再評価の審議をした委員会は、専門性、中立性が担保されていない。②市当局は、この再評価において従来の  計画を総括せず、放棄した。③市当局が策定した新たな水需要計画は、合理的な根拠がなく願望に基づくものである。④市当局は、水道水源を77,000㎥/日しかないと説明しているが、従来から利用し今後も利用できる水源を排除している。⑤石木ダム建設によって、佐世保市民と国民は、354億円余のムダな負担を強いられる。⑥石木ダム建設は水没  予定地域住民の居住権、財産権など基本的人権を侵害する。

・・・などの問題があり、私たち市民団体は、所管の厚生労働省へ、の旨意見書を提出しました。【資料1.厚生労働省への意見書・写】

 

(3)本年3月、長崎市が、同市の水需給計画を見直し、それに基づき本明川ダムの利水事業から撤退する方針を発表しました。

ダム検証のあり方を問う科学者の会は、長崎市の水需給計画を分析して、これを妥当な手法と認定し、その手法によって、佐世保市が1月に発表した水需給計画を分析しました。

その結果、同会は、佐世保市の水需給計画が、あまりにも非科学的で  あり、抜本的な見直しが必要であると結論しました。

同会は、去る7月8日、佐世保市当局へ、「あまりにも非科学的な水需給計画を見直し、石木ダム計画から撤退すべきである」と申入れを行い  ました。【資料2.科学者の会の意見書(その2)・写し】

 

(4)佐世保市当局は、1月に発表した水需要予測で、工業用水の大幅な増加を見込んでいます。その根拠は、地元造船会社の経営計画です。

ところが、その経営計画に基づいて策定した工業用水需要予測の資料に基本的な錯誤がありました。更にその造船会社は、その後、経営規模を縮小する新たな経営計画を今年5月に発表しました。

従って、工業用水の大幅増加を見込んでいる水需要予測の根拠に疑問が生じています。

私たち市民団体は、その疑問を質すために、当局へ7月8日に公開質問を行いました。【資料3.公開質問状・写し】

 

(5)上述のとおり、佐世保市水道の利水のために石木ダムが必要だとする当局の主張に科学的な根拠が無いことが明らかにされています。

また、川棚町の治水のためにも不要であることは明らかにされています。

不必要なダム建設のために、現に住民が生活し、生業を営んでいる地域を強権で取り上げること即ち強制収用は生存権侵害であり、あってはならないことです。【参照:土地収用法第20条。同法逐条解説】

従って、強制収用の条件づくりである事業認定は不要であり、御庁が石木ダム建設事業起業者が申請した事業認定を拒否されるよう求めるものであります。

                                                                     (以上)

さすが!公務員

7月17日午前7:30。

市役所バス停前に集合したのは9人。

すでに真夏の太陽がジリジリ照りつけておりました・・

で、何をしたかっていうと・・

 

 

この号外を、出勤してくる職員の皆さんに配ったのです。

先日『ダム検証のあり方を問う科学者の会』が佐世保市に訴えたこと、

佐世保市水道局が出した水受給計画のどこがおかしいのか、何故ダメだと言っているのか、

私たち市民が市水道局にどんな質問を突きつけたのか、

残念ながら、ほとんどの市民には伝わっていないと思います。

せめて市の職員である皆さんには知っていただきたくて、こんな号外を作りました。

これは表紙だけで、あと3ページあります。

 

市役所と水道局の表口・裏口計6ヶ所で、約1時間。

720部ほど受け取ってもらいました。

 

商店街などで配るときは、拒否・無視・かわす人が多いのに、

ここでは断然受け取ってくださる方が多いんです。

さすが公務員!

公共事業への関心が高いのか・・?

市民の税金で給与をもらっているんだから、市民の声を無視しちゃいけないって?

そうだ、そうだ。     

 

そして、早めに出勤された方は、受け取ったものを読みながらゆっくり歩いて行かれました。

ありがとうございます!

賛成でも反対でもいいんです。

お互いに情報交換したいのです。

意見交換したいのです。

同じ佐世保市民として、佐世保市の明日のために。

 

質問、ご意見何でもお寄せください。

お待ちしています。

 

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見直すなら、今でしょ!!

2日前、『科学者の会』の意見書提出に同行した私たちは、ついでに?

私たち市民からの公開質問書も提出させていただきました。

タイトルは「佐世保重工業の使用水量の将来予測に関する公開質問書」
https://ishikigawa.jp/blog/cat09/704/

平たく言えば、

「SSKの水使用量がなぜそんなに急増するのか教えてください」というもの。

 

このブログでも、以前この問題について書いています。
https://ishikigawa.jp/blog/cat09/697/

全く詐欺に等しいやり方でしたから、(`Δ´)!こんな感じで書いてます。

 

1.SSKの全体売上は半減しているのに、

  「修繕船部門の売上比率を2倍にする」との発表を利用?して、

  「修繕船の売上高を約2倍に見込んでいる」と説明して、

  2015年度以降のSSK全体の使用水量が5倍に激増すると予測したのです。

 

2.しかも、修繕船部門においては、なんと、なんと!

  4年間で13倍にも増えると予測!(331m3→4412m3)

  開いた口がふさがりませ〜ん!

 

そして、今年5月、SSKの経営計画がわずか半年で見直されました。

予想以上に経営状態が厳しくなったからです。

人員削減をはじめ新たな経営計画が示され、

結果、2015年度の艦艇・修繕船の売上高は95億円に下方修正されました。

それは、4年前の実績の1.1倍です。

 

売上が2倍になると思い込んで?計算した水需要予測に、大きな狂いが生じます。

早急に、新たな条件で計算し直さなければなりません。

一日も早く見直し、より正確な水需要予測を立ててください。

と、お願いすると、

対応した水道局の事業部長さんは、こうおっしゃいました。

「今は見直す時期ではない」と。

 

はぁ?!

時期ではない?

時期はいつなのですか?

事業認定が告示されてから?

数年後、その予測の誤りが明白になってから?

 

それでは全く遅いでしょ!

それはもう予測ではないでしょ!

見直すなら、でしょ?!

 

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科学者の会 佐世保市に再び意見書を提出

今日、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」が、佐世保市に意見書を提出しました。

そのタイトルは、佐世保市水道の新水需給計画についての意見書(その2)

          —長崎市・水需給計画と比べてあまりにも非科学的な

           佐世保市・水需給計画の抜本的な見直しを求める—

です。

そう、3月にも意見書を提出されたので、今回は2回目、だから「その2」なのです。

 

意見書はこちら ↓
https://ishikigawa.jp/blog/cat09/703/ 

同時に提出した私たち市民からのSSK水需要予測に関する公開質問書はこちら ↓
https://ishikigawa.jp/blog/cat09/704/

 

全国125名の蒼々たる科学者からなる同会が、一度ならず二度までも佐世保市に意見するのは、

佐世保市の水需要予測があまりにも酷すぎるから。

前回は「極めつけの虚構」と言われました。

今回は、「無理に無理を重ねた最悪の予測」と評されました。

 

今年3月、佐世保市と同じように再評価をやり、

その結果、水需要予測が前回よりも大幅に減少し、

もう本明川ダムに頼る必要はなくなったと結論づけた長崎市水道局。

その資料を取り寄せ、予測の方法を佐世保市の場合と比較分析した結果、

わかったことがたくさんありました。

佐世保市がおこなった予測の出し方の異常さがより明確になりました。

それをズバリ突いた意見書でした。

 

どこからお金が出るわけでもなく、

誰に頼まれたわけでもないのに、

多くの時間と労力を割き、佐世保市民のために、石木ダム問題のために、

まとめてくださった貴重なご意見。

それを、水道局は、前回、無視をしました。

何の回答も何の感想も出さず、ただだんまりを決め込んだ。

 

ひどいと思います。

だから、今回は7月22日までに文書で回答してくださいと書かれていました。

しかし、水道局はそれを守るとは最後まで言いませんでした。

この意見書は市長にも水道局長にも渡し、皆さんのお話は伝えます。

しかし、文書で回答するかどうか、ここではお約束できません。

 

理由は、「我々の主張は公聴会の場で述べ、今は事業認定の結果が出るのを待っている状況だから」。

でも、それは、国交省の問題。

私たちは、佐世保市が厚労省に提出した再評価結果に疑義があるので質問し回答を求めているのだ、

と何度説明しても、「事業認定の手続き中」を理由に、逃げていました。

 

きっと、自信がないのでしょうね。

いえ、自信どころか、指摘された問題の数々が理解できるからこそ、

とてもじゃないけど、公開討論会などできないのでしょうし、

どう回答していいのかもわからないのではないでしょうか。

 

その後、記者会見などすべてが終わって、交流会の席で、今本先生はおっしゃいました。

万が一、強制収用などという強権が発動されたら、

僕も石木に座り込みますよ。

そんなことは絶対させない。

これは僕の科学者としての信念です。

県知事さん、佐世保市長さん、こういう学者もいるってこと、覚えておいてくださいね。 

 

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ダムの段々畑

水源連のMLに、昨日の河北新報社の記事が紹介されていました。

 

新潟・福島豪雨 金山の住民、東北電に損害賠償請求へ

2013年06月30日http://www.kahoku.co.jp/news/2013/06/20130630t63017.htm

2011年7月の新潟・福島豪雨で被災した只見川流域の福島県金山町の住民が29日、「災害はダムが原因」として、本名ダムなどを設置している東北電力に損害賠償請求する方針を決めた。

損害賠償請求するのは、只見川ダム災害金山被災者の会。斎藤勇一会長は「洪水調整機能のない発電用ダムが、洪水被害を発生させたのは明らかだ」と請求理由を語る。

損害賠償請求の時効の3年を迎える来年7月末までの提訴を目指す。今後、被害額と訴訟参加者を確定して団体請求を行う。

新潟・福島豪雨では只見川が氾濫し、福島県内では金山町、只見町など1市8町2村で住宅33棟が全壊、200棟が半壊、77棟が床上浸水した。

東北電力は自然災害によるものとして、ダムによる被害拡大を否定している。

 

この記事を紹介してくださったSさんは、『只見川の発電水利の概況』のURLも示されました。
http://www.hrr.mlit.go.jp/agagawa/agagawa/saigai/n01/n01-s04.pdf

その中の地図を見てびっくり! 

只見川に沿って、ダム、ダム、ダム・・・

「只見川は発電用ダムの段々畑という状態になっています」

というSさんの表現に納得。

 

これはひどい・・

あまりにもひどい・・

水量が豊富な川だそうですが、

それは、流れを切り刻まれた只見川の、涙なのかもしれません。

 

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