第2回審尋を終えて

昨日、石木ダム道路工事妨害禁止仮処分申し立てに関する第2回審尋がおこなわれました。

この日で結論が出され、すぐにでも道路工事が再開されるのでは?との覚悟もしていたのですが…

 

 このような結果となりました。

つまり、「県側は私たちが工事を妨害したというが、ただ現場近くに立っている写真だけでは妨害したという証拠にはならない、認否のしようがない」と当方弁護団は主張し、裁判長もそれを認め県側に質すと、県側は「ビデオ映像を提出する」と言い、それが提出されて後、当方の認否をあらためて示すことになったわけです。

次回審尋は11月21日です。

こんなに工事中断が延期されるとは…と内心意外な(もちろん嬉しい)気持ちでしたが、

裁判長のさらなる提案(和解協議)があり、双方とも前向きに検討する意向を示し、その予定日も12月に入れられました。

ということは…年内は工事の再開はない可能性もふくらんできたわけです。

 

当方弁護団の高い弁護能力と、裁判長の賢明な判断と、県側の慎重な姿勢に感謝します。

 

裁決の手続き開始

昨日の長崎新聞の記事です。

いよいよ収用裁決の手続きが始まったというニュースです。

今回は4世帯が所有する農地だけですが、もちろん地権者の皆さんは明け渡す意思はありません。

でも、その意思や必要性はここでは全く問題とされず、審理されるのは補償額や明渡し時期だけ。

ですから、土地を手放すつもりのない地権者の方が審理に出席するはずはありません。

そうなると、県が示す補償額や明渡し時期など全てに異論がないということになって、

すべて県側の提示通りに早い時期に裁決されてしまうのでしょうか?

新聞には「早ければ年度内に収用の可否を採決する見通し」と書かれています。

このようにして「手続きに不備が無ければ」強制収用への道を進み、

無駄な公共事業が日本中いたるところで進められているのでしょう。

莫大な税金を使い、かけがえのない自然を破壊して…。

 

そんな現実に溜息つくだけで諦めてしまうわけにはいきません。

こんな無謀な強制収用を止めるための手だてを一緒に考えてみませんか?

11月16日(日)「石木ダムのための強制収用を許さない佐世保集会」を予定しています。

経験豊富な、石木ダム対策弁護団の先生方の話をじっくり聴く機会がやってきます!

同弁護団は、水俣病やイサカン、ゴミ処分場、川辺川ダムなど様々な問題で住民の側に立ち、行政と闘ってこられたツワモノ揃いです。

詳細が決まりましたら、またご連絡しますので、是非ご参加ください。

 

5割のダムに土砂が堆積! 洪水防止機能低下

昨日の朝日新聞社会面の記事です。

ダムの大きな目的の1つである洪水対策。

それが実はあまり役に立っていない、または洪水を激化させる恐れさえあることを指摘した記事です。

理由はダム湖の底に土砂がたくさんたまっていて、大雨の時にたくさん水を溜める余裕がなくなっている。

また、その土砂を除去するには多額の費用がかかるので、簡単には実施できないという。

その結果、大雨時のダムからの放水により、下流域で氾濫の可能性が高まり、逆に人命の危険性さえ増えていくおそれもある。

それがダムに依る治水の限界だと今本博健先生は語っています。

 

この記事を私が知ったのは、一人の佐世保市民からの電話でした。

私は朝日新聞をとっていないので、この記事のことは知りませんでした。

その方は、

佐世保市民として、そんなに水に困っているわけでもないのに、

川棚の住民の方に迷惑をかけてまで石木ダムは要らないと思っていた。

でも、ダムの目的は水源対策だけではない。

石木ダムが川棚町の人々の洪水被害をくい止める働きがあるのかどうか素人なのでよくわからないが、

もしそうなら、造るなとは言えない・・

しかし、この記事を読んで、洪水対策としてダムは有効ではないことがわかった。

今本博健という学者の方は、ダムよりも堤防を強化すべきだと指摘している。

このような情報を多くの人に知ってほしい。

石木川まもり隊さんから広めてもらえたら・・そう思って電話しました。

とのこと。

本当に嬉しかった!です。

 

その今本先生は特に石木ダムは造ってはならないダムであるとして、佐世保市には2回も意見書を出されているんですよ。

と言うと、その方はとても驚かれ、石木ダムを止めねばとの思いを強くされたようです。

署名活動の話にも及び「どれだけ集められるかわかりませんが、私も署名を集めてみます!」と約束してくださいました。

 

情報を伝えあうことの大切さを感じるとともに、

私たちがブックレットやニュースを発行したり、チラシやパンフレットを配布したり、ブログやFacebookで発信しても、それはごく一部の人にしか届いていない、

情報を広めることの難しさを痛感しました。

 

それにしても新聞の力はまだまだ偉大ですね〜

ペンの力で広く伝え、また人を動かす力を持っているのですから。

(この方が私の電話番号をご存知だったのも、以前の新聞記事のおかげ)

私もさっそくバスセンターの売店で朝日新聞を買ってきましたよ〜 

 

もう一つの記事

少し間をおいて、「川のシンポジウム2014」に関する記事がもう一つ掲載されました。

西日本新聞の記事です。

五十嵐先生の「必要性に応じて計画を軌道修正していくべきなのに日本には『やめる』という概念がないことか一番の問題」との発言。

3ダムの報告者たちの「ダムがいかに不合理な理由で造られようとしているかを地道に訴え、世論を盛り上げていこう」という呼びかけ。

パネラーの石丸さん(石木ダム)の「署名運動を広げ建設中止に向け頑張りたい」という決意などが紹介されています。

私たちは3時間の中で、他ダムの問題点と現状を知り、

結局どのダムも不要で止めねばならないが止まらないという共通点を確認し、

止めるには世論を盛り上げるしかないことを再認識したのですが、

振り返ってみれば、その具体策についてはほとんど語り合っていませんでした。

 

またこのような機会があれば、次はそこのところをじっくり聴きたいものだと思います。

 

川のシンポジウムを伝えた2紙

一昨日の「川のシンポジウム」についての報道記事を貼付します。

毎日新聞は、講師の元内閣官房参与五十嵐弁護士の話と、参加した福岡市民の感想を伝えています。

 

長崎新聞は、パネル討論での意見も紹介し、石木ダム地権者石丸さんの「無関心層が多く、選挙に勝つのも大変だ」という本音と、それでも「地道に訴えていく」という決意を伝えています。そして、この写真!

 

五十嵐先生もおっしゃっていましたが、世論を広げるにはメディアの力が必要だと。

もちろんマスメディアの力は大きいけれど、ソーシャルメディアの活用も大事だと。

このブログもソーシャルメディアの1つですが、役に立っているのかな〜

伝えることは難しいし、読者の心を動かすことはもっと難しい。 

そして選挙のことになると、さらにさらに難しい。 

 

「川のシンポジウム2014」で学んだこと

昨日は「川のシンポジウム2014」に参加してきました。

タイトルにあるように、九州の3つのダム問題にスポットを当て、

なぜ公共事業は走り出したら止まらないのか、

どうしたら河川をめぐる癒着構造を断ち切ることができるのか、

まさにそれを知りたくて・・・

 

五十嵐敬喜先生(法政大学名誉)の基調講演は、

公共事業をめぐる政・官・業・学の癒着構造の実態をあらためて痛感させられるものでした。

民主党政権下で内閣官房参与として官僚の実態を目の当たりにされてこられた先生のお話は、

生々しく具体的で、疑いの余地がありません。

「この国は公共事業という麻薬漬けになっている」

「オリンピック以降は日本全体が財政的に崖っぷちに立たされるだろう」

などの言葉に、予感が実感に変わるショックを覚えました。

 

では、どうしたら変われるのか?

政策を変更するには「立法」、法律を変えるしかない。

ダムで言えば河川法を変え、土地収用法を変えないと、誰が大臣になってもダム推進を止められない。

一方で知事の考えによって止められたダムもある。

田中元長野県知事、嘉田前滋賀県知事などの功績は大きい。

また、川辺川ダムを止めたのは地元市町村長などの意思が知事を動かした。

地元の声、世論、議会が首長を動かす。

 

つまり、現在の負の連鎖を断ち切るために私たち市民ができることは、

世論を盛り上げ、「選挙に勝つ」こと

ダム推進ではなく「中立な市・町長を選ぶ」ことと力説されました。

 

基調講演の後は、3つのダムについて、現地からの報告です。

はじめは熊本県営「路木ダム」について、路木ダム裁判原告団長の植村振作さんのお話を聞きました。

路木ダムの不要性は明らかで、治水としての理由づけのために虚偽の報告を明記するなど、

やると決めた公共事業を達成するには何でも有りき、まさに麻薬中毒患者そのものです。

 

続いて、同じく熊本県の国営「立野ダム」について、

「立野ダムによらない自然と生活を守る会」事務局長の緒方紀郎さんのお話です。

問題点がパワーポイントにしっかりまとめられ、説明もたいへんわかりやすいもので、

立野ダムは不要というよりも、「こんなの造ったらいかんやろ〜」と実感させられました。

 

最後に控えし「石木ダム」については、石木ダム建設絶対反対同盟の石丸さんが話してくださいましたが、聴くことに集中していたあまり(身内意識でハラハラドキドキ?)、写真を撮り損ねてしまいました。 ごめんなさい!

 

休憩を挟んで後半は、パネルディスカッション。

ここでも世論を広げることの大切さと難しさが語り合われました。

その中で特に印象深かったのは、「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の中島康さんの言葉。

「住民運動はまだまだ幼く甘い。正義が必ず勝つと思っている」

「川辺川ダムで勝ったのは、球磨川流域には古代から続く河川文化があったから」 

なるほど。深いな〜と思いました。

熊本県内のダム反対運動が全国一と言ってもいいほどの実力を持っている理由が、やっとわかりました。

 

そして、その皆さんが、自分たちの路木ダムや立野ダムだけでなく、他県の問題である私たち石木ダムのことも真剣に考え支えようとしてくださっていることを、この後知ることとなりました。

それは、閉会挨拶の場面でした。

 

その役目を担っていた私は、石木ダム関係者の皆さんに前に出てきてもらい、闘い続ける決意の言葉を一言ずつ頂く予定でした。

それを提案してくださったのは、当シンポジウム事務局長のTさんでした。

3つのダム問題を考えるシンポなのに、石木ダムだけ特別扱いするのは司会者としては気が引けるし、そもそも、来月福岡地裁でおこなわれる路木ダム裁判に向けての世論作りが目的だったはず…

それではあまりにも申し訳ないと一旦は辞退したのですが、

「そんなことはない、石木ダムは今が一番大事な時、遠慮しないでください」と言われ、

その提案を有難く受け入れることにしたのです。

 

しかし、閉会の時間が迫っていましたので、一人一人言葉をもらう時間もないし、

全員前に出てきていただく時間ももったいないと思った私は、

「石木ダム関係者の皆さん、地権者と支援者の皆さん、全員その場でお立ち下さい」と言いました。

するとTさんが飛んできて、「いや、だめだ、前に出てもらって!」と言うのです。

驚きつつも慌てて訂正し、急ぐよう促すと、皆さんもすぐに出て来てくれました。

そこでTさんは用意していた手作りの横断幕(A4の用紙に1文字ずつ書き込んだもの2つ)を皆さんに持たせてくださいました。

あまりにも思いがけない行為に一瞬驚き、

次に反省し(私が用意すべきことでした)、

そして、胸が熱くなりました。

  

このシンポジウムの総指揮官として、ここ2,3日はきっと寝る間もないほどお忙しかったはず。

そんな中で用意して下さった横断幕。。

 

今日、私が一番学ばせてもらったことは、

ダムを止める理論やノウハウよりも、「支え合う思い」の大切さでした。 

 

川原グラウンドゴルフ大会

スポーツの秋。

今日は川棚町の町民体育大会の日です。

老若男女スポーツが大好きな川原の皆さんはいつも大活躍なのですが、

今年は出場を取りやめにしたそうです。

県の収用裁決申請に川棚町が協力したことに抗議の意思を示すために。

それは町民の皆さんだけでなく、川原の皆さんにとっても寂しいことだったでしょう。

 

そこで、川原グラウンドゴルフ大会開催!

ってことになって、私も「枯れ木も山の賑わい」で参加してきましたが、

グラウンドゴルフ初心者の私は、おばあちゃんたちの腕前に圧倒されました〜

 

そして、もう一つの腕前は・・・このご馳走!

私は実はこちらが楽しみで参加したようなもの・・

テーブルの上には、川原で採れた食材を使って、女性陣が愛情込めた手料理がズラ〜リ。

大西監督(映画「水になった村」の監督)もご馳走をカメラに収めていましたよ。

 

K君をだっこしてるのは、K君のおばあちゃん。

向こうにいる二人のおばあちゃんは、K君にとっては、ひいおばあちゃんのようなもの。

川原13世帯60人は、まさに1つの大家族のよう!

 

K君、大丈夫だよ。

この自然豊かな川原で、たくさんのジジババやお兄ちゃんお姉ちゃんに囲まれて、

君がすくすく育つように、みんな頑張るからね。

君のふる里が奪われないよう、川原の家族はみんな必死で闘っているよ。

そして、その闘いを私たちも精いっぱい応援しているからね。

大丈夫。

きっと、石木ダムは中止になる! 

 

県民の声

新聞がきちんと報道し始めると、読者も声をあげ始めます。

あっちから、こっちから、県民の声が聞こえてきます。

最近見かけた長崎新聞の声の欄「みんなのひろば」から、2つご紹介します。

まず、今日の記事。

まったく同感!

見栄のためにふる里を奪われる住民の方の身になって考えてほしいですね。

そして、私たち県民も被害者。

県民の宝でもある貴重な自然が破壊される上、

そのための費用負担が私たちの肩に重くのしかかってくるのですから。

それが県の見栄のためだったら、許せるわけがありません。

 

 

こちらも貴重なご意見です。

これからは水も電気も広域で融通し合う時代。

余っているところから足りないところへ流されてこそ、資源も活かされ再生可能な社会が実現されます。

西海市からの送水は、ずっと前から提案されていたことでした。

それをストップさせていたのは、他ならぬ県。

それが実現したら、石木ダムが不要になるから。。。