佐世保市議会、全議員に聴いてほしい地権者の声

今日で佐世保市議会12月定例会は終了しました。

私たちが提出した請願第65号(石木ダム建設計画地の収用裁決申請の撤回と断念を求める請願)については、

石特委員会同様、本会議でも不採択となりました。

ただ全会一致ではなく、賛成議員が4名(社民党3名+共産党1名)、過去3回の時と同じ結果です。

 

本会議では山下議員の賛成討論はありましたが、反対討論は何もありませんでした。

ということは、委員会で出された理由が、市議会全体の反対理由ということなのでしょう。

各会派に共通していたのは、

 ・すでに国によって事業認定されている=公益性が認められた事業である。

 ・県は法に則って手続きを進めている=法的瑕疵がない以上反対する理由がない。

 ・県は今後も最大限理解を得るべく努力すると言っている=それを信じ見守るべきである。

などの趣旨の意見でした。

 

しかし、「法に則って進められている」と言っても、その法は「土地収用法」であり、

土地収用法の上にある憲法には「則っている」と言えるでしょうか?

地権者の I さんは、それを委員に強く訴えていました。

公共の福祉に反しない強制収容は、幸福追求権を保障する憲法13条に違反することを理解して欲しいと。

 

委員会の委員だけでなく、佐世保市議会議員全員に聴いていただきたい内容でした。

I さんの御了解を得て、その意見陳述の原稿をここに掲載させていただきます。

 

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川棚の現地からやってきました。何の因果か物心付いた頃から石木ダム問題で苦しめられています。今、まさに人生の一大事、強制収用に直面しています。

専門家の方々の調査結果から、石木ダム計画は既に破綻していることがはっきりしました。必要がないダムのために苦しめられ、土地や家を取り上げられるこんなことが許されるでしょうか。私たちは何も悪いことはしていないのに、全くこんな理不尽なことがあっていいのでしょうか。

最近、マスコミが頻繁に石木ダム問題について取り上げますので、友人・知人が心配して、励ましてくれます。先日も佐世保の友人が電話してきました。彼は強制収用を危惧しておりました。彼は日本国憲法第13条を取り出して、憲法に規定されている権利が上位で、強制収用は憲法違反だから頑張れと言ってくれました。

憲13 :すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

ちなみに、今回強制収用されようとしている土地は、太平洋戦争(第二次世界大戦)中に日本海軍の強制収用を受けた土地であります。 

戦時中の強制収用は、明治憲法の下で行われたこと(強制収用)ですが、憲法13条をもつ現憲法の下でいとも簡単に行われてはならないと言っているのです。これが公共の福祉の名のもとで行われれば、法律による人権制限が容易に肯定されるおそれがあり、ひいては明治憲法における法律の留保の付いた人権保障と同じことになってしまうということです。

私たちが住む川原地区は13世帯60名の住民が一つの家族のような生活をしています。私たちにも個人として尊重され、生命、自由及び幸福追求の権利があるのです。日本国憲法の理念は、これが一番大事だとしています。憲法の根幹を成すものです。憲法第13条を理解できる人は、法を踏みにじる強制収用は絶対行ってはならないことがわかっています。

ましてや長崎県の知識人でもある中村知事は、「事業認定申請は話し合いを進展させるため」と言っていました。事業認定で私たちに脅しをかければ崩れると思っていたのでしょう。でも、私たちの反対が変わらないので、今度は収用裁決申請に踏み込みました。こうして、どんどんどんどん深みにはまり込んで引き返せない状況になっています。

その先に憲法第13条の壁があることを知らないのでしょうか。私はそんなことはないと信じていますが・・・。

 長崎県をこの呪縛(じゅばく)から解き放つすべはないのでしょうか。それには天の声しかないのでしょうか。いや、その前に議会人の皆様が、私たちが一貫して反対していること、その意思が変わらないことと憲法第13条をご理解いただき長崎県の暴走に歯止めをかけていただけるものと信じています。「石木ダムの強制収用を止めるのは今でしょ」と私は言いたいです。よろしくお願いいたします。

石木ダム計画地はいいところなんです。皆様は現地に来られたことがありますか。日本の原風景が残るところだとよく言われます。ダムは、先祖から引き継ぎ未来に手渡すべきこの素晴らしい私たちのふるさとを全て水の底に沈めてしまいます。究極の自然破壊です。そんなことは絶対許されません。

県民の方からよく「川棚町民は馬鹿だ」と耳にします。「川棚町のための水でもないのに、何でダムに反対せんとやろか。」という訳です。物言わぬ民・住民が多いのも事実だから、そうかもしれません。長崎県は一方的にダム建設を川棚町に押し付け、町民・住民同士を対立させ川棚町を疲弊させてしまいました。

佐世保市と川棚町は隣人同士です。仲良く暮らしていくのが当たり前です。長崎県と一緒になって川棚町民をそんなにいじめないでください。