事業認定取消訴訟 第3回口頭弁論

昨日は石木ダム事業認定取消訴訟の第3回口頭弁論。

いつものように大勢の傍聴人が整理券を求めて列をなしました。

私の後ろには、佐世保市水道局の職員が並んでいましたし、関係者や県民だけでなく、福岡在住のフリーライターや広島在住のTV編集者なども並んでいて、石木ダム問題への関心の高さが窺えました。

門前集会にも大勢の人が集まり、馬奈木弁護士や地権者代表岩下さんの挨拶に耳を傾けました。

 

裁判は午後2時少し過ぎに始まりました。

今回は、こちら側が提出した第4準備書面と第5準備書面の骨子が読み上げられ、

第4準備書面の骨子
http://web2.nazca.co.jp/michi30/%C2%E84%BD%E0%C8%F7%BD%F1%CC%CC%A4%CE%B9%FC%BB%D2.pdf

第5準備書面の骨子
http://web2.nazca.co.jp/michi30/%C2%E85%BD%E0%C8%F7%BD%F1%CC%CC%A4%CE%B9%FC%BB%D2.pdf

その後は、今後の方針や予定について、裁判長と原告側・被告側双方の弁護団とのやり取りが交わされ、正味15分ほどで終了。

 

その後、長崎市立図書館メモリアルホールで報告集会。

まず初めに、平山弁護士から、第2回期日以降のこれまでの流れと今日の内容、そして今後の予定が説明されました。

<第2回以降の流れ>

第2回口頭弁論で当方は、石木ダムの不要性を利水と治水に分けて具体的に主張した準備書面2つを提出し、その骨子を弁護士が読み上げた。

その後、それに対する反論が被告(国)側弁護団から2つ提出された。
第1準備書面は利水に関するもので、佐世保の水需要予測は佐世保市が有する裁量の範囲内でおこなったものであると主張し、
第2準備書面は治水に関するもので、基本高水や計画規模は正しく、こちらも県の裁量権の範囲であると主張。

<第3回(今日)の内容>

被告側の反論(第1と第2の書面)に対する反論として第4準備書面と第5準備書面を提出し、その骨子を読み上げた。

<今後の流れ>

・当方の準備書面4と5に対する反論が被告側より来年1月6日までに提出される予定

・12月22日13時〜16時:裁判官による現地視察(代替墓地〜13軒〜江川橋〜代替宅地等)

・2017年1月16日14時〜:第4回口頭弁論(被告側反論)

・3月6日11時〜:第5回口頭弁論

 

続いて、今日読み上げた第4準備書面骨子に関する補足説明がありました。

八木弁護士:
我々はこれまで佐世保市が出してきた水需要予測がいかにデタラメなものであるか、訴状や第1準備書面であきらかにしてきた。それに対して国は、水道設計指針に基づいて予測すれば、何を盛り込んでも何を考慮しても良い、つまり裁量権の範囲内だという。
そこで今回我々は、予測に使った数値や手法を変更するのが裁量の範囲内だとしても、なぜ変更したのかの合理的説明ができなければ、それは裁量でも何でもない、自分勝手な判断に過ぎないと指摘した。
これに対して国がどんな反論をしてくるのか注目したい。1つ1つ具体的な反論をせず、相変わらず「国には大きな裁量権がある」ということだけで押し通そうとするなら、国は反論しないのではなく、できないということである。

高橋弁護士:
もう1つ注目したいこととして保有水源の問題がある。
7月の弁論で慣行水源について取り上げた。それを不安定水源と位置づけるのは勝手だが、保有水源から外すのはおかしい、ゴマカシであると指摘したが今日現在まで何の反論もない。出来ないのだ。次回もおそらく反論しないだろう。国の自由、佐世保市の自由、俺の勝手だもんね・・・ということだろう。

 

次に、第5準備書面についての補足説明がありました。

緒方弁護士:
治水面で我々が主張しているのは基本的には3つ(計画規模が過大、基本高水の設定流量も過大、河道整備のみで設定流量は流下できる)で、こちらについても国は、県=河川管理者の広範な裁量権を認め県の判断で良いとしている。が、我々は県の数値は恣意的・作為的で、裁量権の逸脱・乱用に当たると反論。
具体的に言えば、1つは計画規模を策定する時に、当時の河道整備状況に即して氾濫面積を算出しなければならないのに、あえて古いデータ(昭和50年当時のもの)に基づき算定している。それは策定当時のものだと既に河道整備が進み、氾濫面積が少なくなるから。
もう1つは基本高水流量が1400?/秒となる確率は、500年から1000年に一度発生する確率であり、しかもその流量が流れて来ても、河道整備をすれば、その水を流すことはできる。

田篭弁護士:
県はなぜ100年に一度の計画規模にしたのか?県自らが設定した5項目の基準に当てはめて決めている。他県や全国的な設定基準に当てはめてみると、30年に1回か50年に1回の計画規模で十分である。
県は100分の1にするために基準を緩めたがそれでも50分の1にしかならなかった。それで100分の1にするために、平成17年ではなく昭和50年まで遡って、ようやく100分の1の計画規模とすることができた。
県内唯一の一級河川本明川も100年に1回の計画規模だが、ここにダムを造っても水は溢れる。が、被害が少なくなるのでそれでいいと国は言っている。一方川棚川は一滴も溢れさせないために、どうしても石木ダムが必要と言っている。このような矛盾やゴマカシがダム計画にはたくさんある。

平山弁護士:
河道整備後に堤防から溢れる箇所は計算上どこにもない。という我々の主張に対し、国は認否しない。溢れるとも溢れないとも言わず、安全に流すには石木ダムが必要と繰り返すばかり。その認否をきちんとするよう、今回も促している。

 

まとめとして、馬奈木弁護士からは、こんなお話がありました。

ここまで話を聞くと、もう裁判は勝ったも同然と思うかもしれないが、そうはいかない。
国は自分たちが負けるわけはないと思っている。
「広範な裁量権」があるから。これを裁判所も認めるはずだと思っている。
現に今まではそれで住民側が負けてきている。
しかし石木ダムの場合は違う。
失われるもの、奪われるものがあまりにも大きい。
それを直視せよ。目を逸らすな、と裁判所には言いたい。

もう一つは費用対効果。
より安全安心のためにという口実で、県民の大事な税金を無駄にするな。
県民にとってもっと役に立つ効果的な金の使い方をしろ。
と、県民が声をあげることが大事。

 

最後に地権者の岩下さんから、

つい先日、19人に対して妨害禁止の仮処分申し立てがあった。
結論が出るのは5カ月先か半年先かわからないが、
仮に仮処分が出ても、私たちの考えは変わらない。
阻止行動は続けていく。

という決意表明とともに、支援者へ協力を依頼。会場は大きな拍手に包まれました。

 

こちらは今日の長崎新聞です。