3月6日、今日は石木ダム工事差し止め提訴の日です。
訴えるのは長崎地裁佐世保支部。
でも、その前にまずは長崎地裁へ。
11時開始の事業認定取消訴訟第5回口頭弁論を傍聴するために。
門前集会の後、私たちはいつもの401号法廷で、原告側(私たち)弁護士の意見陳述に耳を傾けました。
利水に関しては高橋弁護士が第6準備書面の要旨を読み上げ、
治水については田篭弁護士が第7準備書面の要旨を読み上げました。
ぜひ、この青字の部分をクリックしてアクセスしてみてください。利水面でも治水面でも、石木ダムの必要性がどんなに虚構に満ちたものであるかということが、本当にわかりやすく述べられています。
次回は被告(国)側の反論ですが、いつも書面の提出のみで終わっています。たまには代理人弁護士の口から語ってもらいたいものです。せっかく多くの傍聴者が集まるのですから。なぜ堂々と反論しないのでしょう。不思議ですね〜
さて、長崎地裁での裁判が終わり次第、私たちはマイクロバスに乗り込み佐世保へ。
途中食事休憩をとり、3時前に地裁佐世保支部に到着。
こちらでは長崎地裁前以上に大勢の支援者が集まり、3つの横断幕を持っても、まだまだ列は続いていました。
15:00門前集会、続いて提訴。
15:30妨害禁止仮処分の第3回審尋。
16:00中部地区公民館で報告集会。
ここでもたくさんの人が、高橋弁護士や毛利弁護士、田篭弁護士の説明に耳を傾けました。
利水についての今回のキモは、次の2点。
①慣行水利権について
被告は、佐世保市が慣行水利権を不安定水源と名付け使い物にならないと言う理由として、渇水年(平成19年)度の水量が不安定で70%くらいしか取水できなかったからと説明するが、佐世保市の言う「安定水源」からもこのとき約70%だった。どちらも不安定な度合いは変わらない。では、なぜ慣行水利権だけ保有水源から外したいのか?外さなければ石木ダムが造れないから。
②水需要が増える?理由について
被告は、佐世保の主張「観光客が増えれば水需要が増える」を認めているが実績として相関関係は認められないし、「米軍や自衛隊の万一の場合に備えて過去最大水量を確保しなければならない」とか「SSKの1年に1度あるかないかの水使用量に備えて毎日その水量を確保しなければならない」と言うが、そのようなレアケースのために地権者を犠牲にするのはおかしい。
治水については、次の3点。
①計画規模(どのくらいの大雨に備えるべきか)について
長崎県はダム計画がもちあがると計画規模をレベルアップする。川棚川もそれまでは30年に1度の大雨に耐え得る規模だったのに、石木ダムが計画された昭和50年には急に100年に一度の大雨に変わってしまった。
②水量(どのくらいの水が流れるのか)について
100年に一度の大雨と言うが、その降り方は9パターンの中の1つ(1時間に集中して降る)であり、そのようなケースは500年に1度以上の稀なケースであり、しかも仮にそのような雨が降ったとしても、上流部分で溢れてしまい、下流には算出した水量は流れないはず。なぜなら上流域は未だに30年に1回の計画規模だから。
③余裕について
仮に県が想定した水量が流れてきたとしても流せる。流せるけれど余裕が欲しいと県は言っている。万が一の余裕を持たせるために地権者の暮らしを破壊するのか?
続いて平山弁護士から、事業認定取消訴訟関連の「執行停止」についての説明がありました。
国が言っている3つの点と、それについての反論です。
①お金によって補償できるのだから重大な損害ではない。→人格権や歴史や自然などお金では得られないものであり、一度失ったら戻らない。故に重大な損害である。
②原告の言う損害は事業認定によって生ずるのではなく土地の収用によって生ずる。→事業認定があって土地の収用がある。両者は繋がっており、親亀子亀みたいなもの。一連の手続きである。
③緊急性が無い。
既に強制収用は始まっている。家屋等の収用に向けた手続きも進められている。今止めなければいつ止めるのか?緊急性は明らか。
執行停止に関する審尋は今日で終了。後は決定を待つだけ。その決定がいつになるかはまだわからないとのことでした。
取消訴訟の次回期日は5月22日(月)14:00〜で、
妨害禁止の仮処分に関しては、4月24日(月)14:30〜です。
やはり、1日2ヶ所は厳しいのでホッ!ですね。
さて、いよいよ本日のメインイベント、工事差し止め本訴についてです。
訴えた内容は昨年の工事差し止め仮処分とほぼ同じ。つまり、この工事によって私たちの権利が侵害される。そんな工事は許されない。だから工事を差し止めてくださいというもの。なぜ同じ内容の訴訟をおこすのか。その理由は3つ。
①工事差し止めを求める人が増えていること。昨年は505名だったが、今回は608名。100名以上増えている。
②仮処分では緊急性を第一義とするので、それで争うよりも、侵害される権利の重大さ、これを中心にじっくり争っていきたい。
③仮処分は非公開なので当事者しか法廷に入れない。本裁判は公開なので、いろんな人が傍聴できる。オープンな場で闘っていきたい。
以上の理由から本裁判の提訴をおこない、受理された。明日、福岡高裁へ申し立てた抗告審は取り下げる。
とのことでした。
さあ、今日から新たな裁判のスタート。少し長くなるかもしれないけれど、どっしり構えてじっくり向き合いしっかり追求しよう。私たちの権利を。それぞれの権利を。
そこに住み、そこで暮らす権利。
そこで耕し、収穫し、その喜びを生きがいとする権利。
自然の恵みを受け、未来へ手渡す権利。
消費者として水道料金の有効な使い方を求める権利。
納税者として無駄遣いをチェックする権利。
要らないものは要らないと言う権利。
県であっても国であっても、恐れることはない。
主権者は私たち。
私たちの権利を守るのは私たち。
力まず焦らず、軽やかに行動しよう。
石木川の流れのように。