こうばるほたる祭り2019 共鳴する人と蛍

今年も大盛況のこうばるほたる祭り‼

この幻想的な風景と、美味しいものがいっぱいの「こうばるほたる祭り」をまだ体験していない皆さんのために、その様子を、精いっぱいレポートさせて頂きます!

祭りは夕方6時に始まりますが、ホタルの乱舞が見られる8時頃までは、テントの中は「大食堂」状態。こうばるのお母さんたちの手料理を求めてお客さんが殺到!


コロッケや手羽先の揚げ物、おでん、焼きそば、ぜんざい等々。


山菜おこわに山菜の煮物、ヨモギ餅、ほたる団子、猪肉のスペアリブなどを求めて長蛇の列ができます。


こちらでは、こどもたちが金魚すくいを楽しんでいますが、そのお世話をしてるお兄ちゃんは、こうばるの中学生。ほんの数年前までは、祭りを楽しむ方でしたが、今はすっかり裏方に徹して頑張っています。


こちらは、ホタルかごの講習会?こうばるで生まれ育ち嫁いでいった女性が、おばあちゃんになってもこうばるに帰ってきて、ホタルかごの作り方を伝えています。

ほたる祭りを歌で盛り上げてくれるのは、「うたごえ長崎」の皆さんたち。

こーこーは こーおばるー ほーたるーのさとー
しーぜんーをまーもーるー ひーとがーすむー

歌声につられて、踊り出す子どもも!

その歌とは…こちらです。


テントの中の喧騒をよそに、看板の前でのんびり食事を楽しむご家族。いいですね~


石木川まもり隊のブースにも、たくさんの方々が立ち寄ってくださいました。

石木ダム問題や裁判に関する資料に目を通す人、絵ハガキや缶バッチなどこうばるグッズを楽しそうに選ぶ人、写真集を買っていく人、「滴」の購読申し込みをしていく人などいろいろですが、最も多かったのは、水槽コーナーです。


「こうばるの魚ハカセ」が今年は不在なので、彼に代わって、私たちが石木川に棲む生きものを展示しました。

左の水槽にいるのは、ドンコ、カワムツ、ムギツク、ヨシノボリなど。水槽の壁にペタッと貼りついているのはカワニナ。ホタルの幼虫が餌としている貝です。


右側の水槽には、サワガニ、ヤゴ、ツチガエルなど。


こちらには、メダカとサンショウウオの赤ちゃんがいます。


そして、こちらは絶滅危惧種のヤマトシマドジョウ。


こちらは、子どもたちの一番人気のアカハライモリ。

祭り当日、こうばるの子どもたちが田んぼで捕まえてきたイモリです。あっというまに数十匹も!

ところで、これまで紹介してきた写真は、実はみんな私が撮ったものではありません。今年のお祭りは例年よりも忙しく、カメラを手にする余裕がありませんでした。

写真を提供して下さったのは、西海市の渕康裕さん、長崎市の太田愛美さん、そして、神奈川県にお住いの小林宏行さんです。

小林さんは、こちらの記事(5/27毎日新聞)に紹介されている方です。

小林さんご一家は、昨年、地元の映画館で「ほたるの川のまもりびと」を鑑賞。
長男のY君は、ちょうど学校で水やダムについて学んでいたこともあり、石木ダム問題に興味を持ち、いろいろ調べたことを授業の中で発表し、みんなに伝えました。
Y君の想いに共感したクラスメイトたちは、3学期末、クラスがバラバラになる直前、「4年2組有志一同」として、石木川まもり隊に応援メッセージを送ってくれたのです!

そんなY君のために「こうばるほたる祭り」を見せてあげたい、体験させてあげたい、と思われたのでしょう。小林さんは2泊3日の予定でこうばるへの旅を企画し、親子4人でほたる祭りに参加されました。

前日はこうばるを散策。付け替え道路の工事現場や、木場地区の石積みの棚田などにも足を運び、様々な思いを感じられたようです。

当日は、朝から公民館でお手伝い。


ほたる団子のアンコを丸めたり、できた料理を冷ますために団扇で扇いだり、パック詰めされたものを輪ゴムで留めて、それを箱詰めしたり…いろいろ頑張ってくれました。


この日、とても暑かったので、石木川で一休み。
弟のS君です。澄んだ流れと小石の感触が気持ち良さそう!


祭り会場で、Y君からのお手紙にお返事を書いたNちゃんとも出会えて、良かったねー!


こちらは地元のお姉さん。あの映画のナレーターのお姉さんだよ!
良かったねーきっと内心ドキドキだったかな?


小林さん一家は写真展会場にも足を運び、

展示された写真の数々を観て、Y君はこんな感想を残していきました。

さて、


こちらは、ホタルかご。
編み目から小さな黄色の光がこぼれています。
若い友人がホタルを逃がす前に見せてくれました。

その友人から昨日こんなメールが届きました。

せっかくのほたる祭りに水を差すように、直前に土地の強制収用の裁決が下りたことに、怒り悲しみの心境での参加でしたが、悲壮感を感じさせない、力強く明るい空気が、お祭り全体にただよっていました。

それに、ほたるを眺めているときに、今年はいつもより多い!という声もあちこちから聞こえてきました。人も自然も共鳴しあって、こうばるの地を守ろうとひとつになって明るく光っていたのでしょうね。

私もブースを撤去した後、やっと河原まで見に行きましたが、時間が遅かったので、その数はかなり少なくなっていました。
でも、その光は、いつもよりも大きく力強く感じられて不思議でしたが…

そうか、そうなんですね…。

こうばるの地を守りたいと思う人々と、こうばるの地で生きる生きものが共鳴し合っていたんですね。

Y君の感想が再びポッと、ホタルの光のように、脳裏に浮かびました。

ほたるをこんなにみたのは初めてでした。
ぼくもできることがあれば、てつだえるとうれしいです‼

 (‘◇’)ゞ

第32回こうばるほたる祭り

今年も恒例のこうばるほたる祭りが開催されます。
今日は地元川棚町内の新聞折込にもチラシが入っていました。
「毎年5月の最終土曜日に開催」が定着しています。
今年は今のところ天気にも恵まれそう。
みなさん今年も遊びに来てね。

第32回こうばるほたる祭り

日時 2019年5月25日(土)

雨天決行!

時間 18時よりぼちぼち始まります

場所 こうばる広場

住所 長崎県東彼杵郡(ひがしそのぎぐん)川棚町岩屋郷

こうばる地区のホタル鑑賞期間は5月下旬から6月中旬ごろまでです。

こうばる探検隊 春の巻

5月6日、史上初の10連休!最終日、ようやく「こうばる探検隊 春の巻」の開催です。
春というにはチト遅い気もしますが、暑からず寒からず、ピーカンでもなく…野原や河原で遊ぶには最高の日和でした。

午前10時、こうばる広場には、佐世保や川棚、東彼杵からやってきた親子とスタッフ46名、そして、こうばるの子どもたちやお父さんなど7名が集まりました。

まず初めに、こうばるのお母さん代表のすみ子さんから歓迎の挨拶をいただきました。

続いて、スタッフのKさんとNさんから今日の探検コースの説明。

そして、昆虫博士の西澤先生から大切なお話が…。


ここには野原がある。川がある。ここの川は深過ぎない。子どもが遊べるいいところです。

でも、川があって、野原があって、田んぼがある。こういうところにはマムシがいます。危ないよ。勝手に先に進まない。あいつら弱虫なんだ。弱虫だから驚いて噛みつく。脅かしちゃダメだ。必ず大人の後についていくこと。いいな!
大人は子どもを守ってください。
一人が噛まれたら、今日の遊びは終わり。誰かが怪我したら遊びは終わり。
だからいいか、自分の身は自分で守る!危ないことはしない!

とたんに子どもの顔つきが変わる。真剣な表情。しかも怖がってはいない。
大人も変わる。私語がピタリと止み、背筋も空気もピンとなる。

さあ、出発です。

生い茂った草むらをかき分けて進みます。


お馴染みのテントウムシカタツムリさん、こんにちは!

西澤先生の合図で皆まぁるくなって、少しずつ前へ。

草の中に隠れている虫たちを追い込んでいきます。
そうして飛び出してきた虫たちを捕虫網で捕まえて透明のケースへ入れてじっくり観察。

見るだけでなく、手に載せて感触を得ることも大事。

触りたい人?ハイ!と元気な子どもたち。
先生の手から子どもたちの手へ次々と。

観察が終わったら野原に放します。

さあ、みんなも自分で捕まえてごらん!と言われ、大人も子どもも目を皿にして虫探し。

何が捕れたのかな?

分からない時は、自然観察指導員の方に尋ねたり、昆虫図鑑で調べたり。

そうやって捕獲した虫たちを子どもたちは得意げに先生の元へ。

ヒラタアブ、キリギリス、トノサマバッタ、オオカマキリ、ハムシ、ジョウカイボン、コメツキムシ等々たくさんの虫たちがいたようです。
(トイレ係の私、子どもたちを公民館へ案内していたので、写真が撮れなかった!残念!)

実はみんなが集まる前に、既に広場の隣の家のそばで見つけた虫もいましたよ。


ナナフシです。

この野原に、ポツンと1本の桜の木。


この木の幹の肌には髭のようなもじゃもじゃがたくさん…

近づいてよく見ると、ミミズのようでもあり…

これはミノムシの仲間でガの幼虫だそうです。
と言われても一般的なミノムシとは似ても似つかないですよねー。
先生の説明を聞きそびれたので、帰宅後ネットで調べた限りでは、ヒモミノガの幼虫のようです。
http://mushi-akashi.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-2d3f.html

でも、このヒモだかヒゲだかミミズだかわからない細長いものが蛾になって飛んでいくなんて信じられない…昆虫はまさに変化する生きものですねー

さて、そろそろお腹の虫も泣き始めたので、お昼にしましょう~
向かった先は…

川原公民館!

みんなお腹が空いていたんだね~食べるのに夢中で急に静かになりましたよ。手作りのお弁当が美味しそう!

食事が終わるとすぐにまた賑やかに!
お絵描きタイムです。
午前中観てきた虫たちを、思い出しながら、あるいは撮った写真を見ながら、または図鑑を参考にしながら張り切って描いています。


クワハムシ!上手ですねー
ハナムグリ!表と裏と両方を描いてくれました!
よく観察してる!
子どもたち、すごいなー


マツムシもいたんですね!
トノサマバッタ!横顔だけなのに、雰囲気でてますねー


一番人気はテントウムシでした。
描きやすいからかな?
絵画的なものあり、図鑑的なものあり、アニメっぽいものあり、楽しい~

お絵描きを終えると、朝と同じこうばる広場へ。
そこには、歌のお兄さんならぬ、歌のオジサンとオバサンがいて…

「さんぽ」や「小さな世界」「手のひらを太陽に」などなど、みんなで楽しく歌いました。

さて、いよいよ午後からの探検に出発でーす!

着いたのはここ。

石木川の河原です。まさに石がごろごろ。自然のままの河原です。

いつものように全員集合!

西澤先生から、どんなところに魚がいるか、虫がいるか、どうやって見つけるか、見つけたら捕まえてバケツに入れておいて、後でここに持ちよることなどが伝えられ、話が終わると同時にみんなバシャバシャ川の中へ。




おおー、捕れてる捕れてる。

再び全員集合。
集まったバケツの中身を白いバケットに入れて観察です。


大きいのはドンコで、小さいのはカワムツだそうです。


サワガニもいますね。

こちらは、カエルと水生昆虫の仲間。


「白い筋があるので、これはたぶんヌマガエル
左上の細いヤツはトンボの幼虫、ヤゴです。
イトトンボハグロトンボミヤマトンボか…?」

「それから、このクモみたいなヤツ、これもヤゴです。オオヤマトンボコヤマトンボかもしれません」


「これはオニヤンマの幼虫です」
「それから、すごいのを捕まえた人がいます。コオリヤンマの幼虫です」

(正直、この写真はどっちだったか覚えていません。トホホ)


これらはほとんどカゲロウで、
丸くて平べったいのは、ヒラタドロムシだそうです。

他にもトビケラだとか、ミヤマトンボサナエトンボなどなど・・・昆虫の幼虫がこんなにたくさん水の中で暮らしていたとは、全く知りませんでした。

みんなが協力したらこんなに捕れたね。
こんなにいろんな種類の生きものが川にはいます。
僕らが飲んでおいしい水のところには、生きものもたくさんいるんです。
ここの川の水はすごくきれいだってことです。
ここを残してほしいと僕は思う。


どうしたらいいんだ?
どうしてここにダムを造ろうとしているんだ?
水をみんなが欲しがるからだよ。
欲しくないってみんなが言えばいいんだ。
みんな水をいっぱい使い過ぎる!
ここをダムの底に沈めたくなかったら、水の無駄遣いをやめよう!
いっぱい石鹸を付けて、いっぱい水を流して洗うな。
自分に何ができるか、それを考えることが大事。
ひとに頼るな。大人に頼るな。
ここを残したかったら自分で行動するんだ。

「さあ、魚も少し弱ってきたね。そおーっと川に返そう!」


最後に、こうばるに住んでいるSさん(子どもと自然が大好きなお父さん)からご挨拶。


どんな話をされたのか、私はかなり離れたところで撮っていたので、聞こえませんでしたが、皆さんの背中から何となく伝わってくるものがありました。

こうばる探検隊は、まだまだ続きます。
こうばるの自然の本当の豊かさを、私たちはまだまだ知りません。
もっともっと知りたいです。
さぁて次回は、いつ、どんなことをやろうかな~
乞う、ご期待!