佐々川の水量「現時点では判断できない」

12月5日、県議会一般質問。1人の議員の質問によって、私たちが知りたかったことが明らかになりました。

それは、ひょっとすると、佐世保市民にとって石木ダムの代替案に繋がるかもしれない可能性を秘めた重要な事実です。

堀江議員:報道によると、先月24日、知事は石木ダムに反対する佐世保市民と面会し話を聞いた。その中で、佐々川の活用について市民から提案され(佐々川の水を取水できれば=県が佐世保市に佐々川の水利権を与えれば=石木ダムは不要)、提案の根拠として3つの情報が示されたが、「それについては確認したい」と答えたとある。確認したのか?

 

その情報とは、以下の3点です。

1.平成6~7年の大渇水の時には、佐々川から一日平均1万㌧の水が佐世保に送られていた。

2.東部かんぱい水利権(佐々町に与えられた灌がい用の水利権)の取水実績は、22年間のうち72日のみであった。(8035日間中7963日は取水ゼロ)しかも、与えられた水利権21,900㌧のうち取水したのは最大でも7,000㌧だった。資料5.佐々川の水利権

3.九州電力相浦発電所は3年前に廃止になっているので、その水利権4,800㌧も既に返上されているのではないか?

詳細は、こちらのブログ記事を参照ください。 https://ishikigawa.jp/blog/cat05/8365/

 

奥田土木部長:確認の結果、

1については、佐世保市の水道白書によれば、その通り。

2については、市民団体のご指摘の通り。

3については、確かに2019年5月に九州電力より水利権の廃止届が提出され受理している。

しかしながら、ただちに(佐々川の水が)安定水源として活用できるものではないので、(佐世保の)水問題が解決するものではないと考えている。

水利権については河川の適正な利用、流水の正常な機能を維持することが必要で、過去に実施した調査によれば、新たに利活用できるような水量はなかった。

 

堀江議員:市民の皆さんは石木ダムは必要ないと思っている。その根拠として3つの事実を述べて、佐々川の流量に余裕は有るはず、だから石木ダムを造らなくても佐々川の水を利用すれば良いと言っている。しかし、部長は3つの事実は認めながら、水量は無いという。その根拠は何?流量調査はしたのか?

 

土木部長:先ほどは過去の流量調査を踏まえてお答えした。現在、佐々川の河川整備方針策定に向けて流量観測を実施しているところであり、今後その流量が蓄積される中で、仮に安定的に取水できることが確認できれば、関係者の意見を聞いた上で、利活用の検討は可能になる。

 

堀江議員:過去の調査と言うのは20年以上も前のものではないか。いま流量観測をやっているということが確認できた。そのような調査の結果はしっかり公表してほしい。そこで知事は、佐々川を活用してほしいという市民の提案を聞いて、どう思ったのか?

 

大石知事:私も報告を受け事実の確認はしている。しかし、ただちに安定水源として活用できるものではないと認識している。

堀江議員:いま土木部長が流量観測中と言ったではないか。流量の結論は出ていない。出ていないのに活用できないというのはおかしい。それなら、どんな結果が出ても佐々川の水は活用しませんと言ってるのと同じではないか。


大石知事:一般的には流量観測の結果、安定的に取水できることが確認できれば、関係者の意見を聞いた上で、利活用の検討は可能になる。佐々川については未だ観測結果が蓄積されていないので、ただちに安定水源として活用できるものではないという認識である。

 

これはたいへん重要な答弁です。私たちは、この言葉が聞きたかったのです。

今までは何度、県や佐世保市水道局に問い質しても、「佐々川には既に多くの水利権が張り付いていて、新たな水利権を与える余裕は無い」「佐々川の水量に余裕は無い」の一点張りでした。問答無用の門前払いでした。

その答えが今回初めて変わったのです。

佐々川の流量観測中であり、「現時点では水量に余裕が有るか無いかは判断できない」と。

それはつまり、観測結果が判明した時点においては、佐々川から佐世保市へ水道用水利権が与えられる可能性もあるかもしれない、ということです。

それにしても、不思議です。もしも、流量調査の結果、水量の余裕が無いと判断されたなら、では、現状をどう解釈したらいいのでしょう?

日量21,900㌧の水利権を与えられている東部かんぱい水利権者(農家さんたち)が、ここ数年全く取水していないにもかかわらず水量に余裕が無いということは、例えば来年の田植え時期にその農家さんたちが佐々川の水を取水しようとしても、取水できないということになりますよね。

水利権を与えている河川管理者として、どう責任を取るのでしょう???

 

起業者にとっては不都合な真実は認めたくないでしょうが、どんな結果が出ても、ありのままを市民県民に公開してほしいものです。