佐世保市水道局は1月5日に記者会見を開き、南部水系『下の原ダム』の貯水率が急速に低下しているとして、渇水対策本部を設置したと発表。このままでは2月上旬には給水制限が懸念されるので、南部の皆様、自主的節水を!と呼びかけました。
https://www.city.sasebo.lg.jp/suidokyoku/suisou/documents/tiras3i.pdf
この時点での南部貯水率=55.7%
その後51.4%まで低下しましたが、1月13日~15日にかけて58mmの雨が降り、20日時点では57.3%まで回復しました。
しかし、その日、水道局長は再び会見を開き、このままでは2月23日に南部の貯水率は30%を下回る可能性がある。また、北部の小佐々地区も2月27日には30%を切ると予測。長崎新聞によると「市中心部では渇水の心配はないという」とのことでした。
同じ水道料金を支払いながら、ある地域住民には不安を与え、節水を求め、別の地域住民には安心してよいと言い・・・なんとも釈然としません。
もしかしたら、そんな市民の声があちこちから上がったのか?
水道局は1月23日に市議会で南部格差と渇水についての説明を行いました。
その資料がこちらです。
資料1.南北格差対策について
https://www.city.sasebo.lg.jp/suidokyoku/suisou/documents/nannboku.pdf
資料2.渇水状況について
https://www.city.sasebo.lg.jp/suidokyoku/suisou/documents/kassui.pdf
これらの資料は水道局のホームページにも公開されていて、市民への情報提供と丁寧な説明に対しては職員の方に感謝しますが、しかし、不明なことも多いし、読めば読むほど不思議な話です。
1.この南北格差は26日時点で32.5%ですが、1月15日時点では38%にも達していました。このような極端な格差は今年が初めてのことなのか、これまでも時々おきていたことなのか、知りたいですね。
2.これまでも時々みられていた現象であれば、格差是正対策として実施されてきた4つの対策(南北融通施設、小森川の取水堰、川棚川暫定豊水水利権、下の原ダム嵩上げ)だけでは不十分だったということです。なぜ別の対策を講じようとはしなかったのでしょう?(石木ダムが完成すれば解決するから?しかし、これまで9度も工期延長になった事業です。いつ完成するかわからないものを待ち続け、できるはずの対策が検討されていなかったのではないか?という疑念が生じます)
3.資料1の8pによれば、4つの対策実施の結果南北格差の「解消は図られた」「今年は南北融通を通年フル稼働しているので、南部の方が一人当たりの水源が多くなっている」と書かれていますが、そんな馬鹿な・・。それが事実なら、南部市民はよほど水をたくさん使っている?無駄遣いしている?ということになります。
考えられるのは、ここに積み上げられた川棚川の暫定豊水分が取水できていなかったのではないか?南部の給水人口は近年急増していますが、その実績値は反映されているのでしょうか?(最近市民の1人が、南部の人口と世帯数の推移を求めたところ、「人口、世帯数の集計は、南部と北部を分けていないため不明です」との回答でした。矛盾していますね)
4.水道局は格差の原因をあくまでも「地域間の降水量の格差によるもの」と主張していますが、果たしてそうでしょうか?
今月になってからの降水量を比較すると、北部115.0mmに対して南部62.5mm。確かに大差ありです。でも佐世保市の1月の平均降水量(過去30年間の平均値)は、63.4mmです。北部が多かったのは事実ですが、南部は例年並みだったと言えます。
もしかして、一番新しい下の原ダムの底に穴が開いていたりして・・?
なんて・・もちろん冗談ですが、そんなブラックジョークも浮かぶほど、不思議な不思議なダムの貯水率のお話です。
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水がピンチです?!
新年早々、水道局のホームページには不安を煽る言葉が躍っていました。
以下、2023年1月5日付の「緊急情報」をそのまま転載します。
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水がピンチです!【水道局渇水対策本部の設置について】
本年は、本市の11月の降水量が少なく、12月に入ってもまとまった降雨がないなど、市内各地のダムの貯水率等の回復は低下している状況にあり、川を流れる水の量も大きな回復は見せておらず、特に、南部水系(下の原ダム)のダムの貯水率は急速に低下している状況にあります。
1月4日現在、中部水系(市内5ダム平均)の貯水率83.2%と80%を上回っている状況にあるものの、南部水系(下の原ダム)の貯水率は55.7%と60%を下回っている状況にあり、今後もしばらくは、まとまった降雨が見込まれない予報となっているなど、早期の貯水率の回復は見込めない状況です。
このような状況から、令和5年1月4日付で、南部水系の渇水レベルを「4:節水対策」に、北部水系小佐々地区の渇水レベルを「3:重点警戒」に引き上げるとともに、水道局内に「佐世保市水道局渇水対策本部」を設置し、必要に応じた渇水対策を講じることといたしました。
南部水系の地域にお住まいの皆様におかれましては、うがい、手洗いなどの感染症予防に留意いただきながら、まずは蛇口の開け閉めをこまめにするなど、普段の生活や業務に支障のない範囲で節水にご協力いただきますようお願いいたします。
なお、今後、本格的に節水のお願いをする場合など、随意お知らせをしてまいりますので、ご理解、ご協力の程よろしくお願いいたします。
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さて、ここに出てくるレベル3とかレベル4というのは、「佐世保市渇水対策マニュアル」の改定版(先月の企業経済委員会で案として紹介されたばかり)に記されているものです。
レベル4のところには、このように書かれています。
◆レベル4(自主節水)
≪状態≫ 長期予測において渇水の兆候が顕在化し、かつ、短期予測においても季別毎の貯水率指標値を 満足しない状態が継続し改善の見通しがない渇水の初期の状態。
なお、南部水系においては、下の原ダムの貯水率が季別毎の指標値を下回り、かつ、継続的な 安定給水が確保できない状態。
≪主な行動≫水道局長を本部長とした、水道局渇水対策本部を設置し、節水広報や大口需要者への節水依頼等による自主節水により配水量を抑え、渇水の進行を遅らせる対策をとり、その効果を的確に把握し、次に必要な渇水対策の検討を行う。また、河川管理者と、井戸・溜池放流等の取水、特別取水、新規緊急水源等の協議・実施準備を行う。
早めに手を打つことは重要ですが、市民や企業に節水を呼び掛ける前に、水道局はやるべきことをやったのでしょうか?
レベル4に至る前の前、レベル2のところには、こう書かれています。
◆レベル2A(長期警戒)
≪状態≫長期的な予測に基づき渇水の兆候が捉えられた初期の状態。
≪主な行動≫水道局内に渇水対策準備会議を設置し、渇水情報の共有化を図りつつ、今後の渇水の進行に備え、佐世保地区(中部水系/南部水系)の南北格差の解消に努める。併せて、継続的な安定給水に向けて、河川管理者との情報共有を実施する。
改定前のマニュアルでは、レベル1の段階で、「南北格差の緩和に努める(南北融通施設の稼働開始)」と書かれています。この施設は、平成6年の大渇水後に建設されたもので、平成9年に完成しています。
しかし、この施設が活用されているとは、どうしても思えません。
先の緊急情報の中で示されていたように、「1月4日現在、中部水系の貯水率は83.2%で、南部水系の貯水率は55.7%で、その差は27.5%にも上ります。
格差解消のために造った施設を、なぜ使わないのでしょう?
これを使って格差が是正されれば、全体で70%代となり、渇水対策本部の設置とはならないでしょう。
市は、広報に「2年に1度は渇水の危機」なんて書いたけど、平成30年度以降はその危機が無かったので、今年度はどうしても危機を創出したかった?なんて穿った見方もでてきます。
心外!と怒りの声も聞こえてきそうですが、それなら何故せっかく建設した南北融通施設を稼働させないのでしょう?
いくら施設を建設しても使わないなら宝の持ち腐れです。
もしも、使っているのに効果が出ないのなら(融通できる量が少な過ぎるとか?)、原因を調べ、対策を講じるべきです。(送水管を大きくするとか?)
そのような検証や対策も行わずして、「渇水だから節水を!」と呼びかけ、危機感を煽り、「だから石木ダム!」と喧伝するのは止めていただきたい。
今は電気も水も融通し合う時代です。
東京電力がひっ迫しているときは、東北電力や北陸電力から送電してもらっているように水道水も、そうすべきです。
実際、福岡県には「北部福岡緊急連絡管」という広域水道管があり、大都市圏である福岡市と北九州市が緊急時に水道水を融通し合える体制になっています。
同じ佐世保市内でありながら、北部と南部の貯水量の格差を放置しているのは解せないし、その結果、南部の貯水率を著しく低下させ、市民に不安を与えているのは水道行政の怠慢と言われても仕方ないのではないでしょうか。
佐世保市水道局の真摯な対応を求めます。