石木ダムアンケート 佐世保市議選立候補予定者の答は?

県議選が終わったばかりですが、佐世保市ではもうすぐ市長選挙と市議会議員選挙が始まります。
立候補予定の皆さんは石木ダム事業についてどう考えているのでしょう?

どうしても気になる佐世保市民の有志15名が「石木ダムに関するアンケート実行委員会」を結成し、調査を実施しました。

その結果はこちらに公開されています。
Facebook『石木ダムどう思う?アンケート』

アンケート用紙 ’23市議選立候補予定者アンケート
アンケート結果 市議選アンケート結果一覧表
アンケート結果のグラフ 市議選アンケート結果グラフ

まず、こちらのグラフをご覧ください。
市長選に立候表明しているお2人が、どちらも回答されなかったという事実。
これには、有権者の1人として、また、このアンケート実行委員の1人として、たいへん残念に思いました。

宮島氏も橋之口氏も、お二人とも石木ダム建設推進なので争点にならないのはわかっています。しかし、市民の世論は二分している中で市民の多額の税金や水道料金を投じる事業です。
なぜ石木ダムが必要なのか、疑問に思っている市民にご自身のお考えを伝えようとは思われなかったのでしょうか。

一方、市議選の方は、アンケート用紙を受け取った39人中、19人の方から回答が届きました。
約半数の方がアンケートに応じてくださったのは前回に比べると大変喜ばしいのですが、回答者の6割が無記名というのは、これまた、残念で、嬉しさも半減といったところです。

前回の市議選のときは石木川まもり隊がアンケートを実施しました。立候補予定者41人中9人の方が回答されたので、回答率は22%でした。今回は39人中19人が回答され、回答率は49%、大きく改善されました。

しかし、名前を記して回答された方について見てみると、前回は全員記名されていたので22%そのままですが、今回は39人中8人なので21%となり、ほとんど同じです。皆さんはこの結果をどう受け止めますか?

佐世保市議になろうという高い志のある方でも、石木ダムについて名前を出して意見を表明しにくい事情や雰囲気が議会や支持者の中に漂っているのでしょうか?立候補予定の皆さんは、そこを忖度して表明することができないのでしょうか・・・

さて、中身の方で私が気になったのはこちら。

ここ10年で水不足を実感しているか?との質問には、10人が実感していると答えました。
が、その中身はというと、

四半世紀前の大渇水のことだったり、最近の節水を呼びかける広報に接してそう感じたとか、IRや企業誘致のためには水が必要という意見だったりが大部分で、自分自身が水不足で困ったというような事例は皆無でした。
また、水不足を実感している人の中にも、石木ダムではなく、カタールのように海水淡水化による水源確保を考えている方がいたのは驚きでした。

水不足を実感していると答えた人の大部分が、Q.3の質問に「佐世保市の水需要予測は合理的である」と答えていました。

その水需要予測のグラフはこちらです。

右肩下がりの実績値に対して予測はいつも右肩上がり。予測は5~6回出されてきましたが、全て大外れ。それでも合理的な予測だと認める議員が多ければ、行政は安心ですよね。

このように、水不足かどうかも、将来の水需要も、行政の説明に賛同される方が多数派を占めながらも、石木ダム計画の「見直しが必要ない」と答えた人は7人です。回答者の37%であり、全体の18%に過ぎません。

さらに、石木ダムのためなら「行政代執行も仕方ない」と思う人は6人で、全体の15%に過ぎませんでした。

また、私が注目したのは、佐々川についての質問です。
知っているか否かにかかわらず、ほとんどの人が記述欄にコメントしています。

コメントを読むと、水利権の転用に賛同している人が6人、否定的なコメントが5人ですが、否定する根拠は「難しいと思う」とか「取水は困難と聞いています」など。
中には「転用可能な水利権は存在しないという事実(司法判断)は知っています」とのコメントもありましたが、そのような司法判断は出ておりません。何か勘違いなさっているようです。

皆さんが「存在しない」と聞いているのは県の説明だと思いますが、存在するかどうか現時点では不明です。その判断の根拠となる流量調査を今まさに県はやっている最中なのですから。まだ6年ほどかかるそうです。

「知らなかった」と答えた4人中2人は「今後も検討していくべきだ」「有効な手段の一つと考える」とコメント。

私たちは、このような議員を求めています。
石木ダムに限らず、何事も、行政の説明を鵜呑みにせず、
市民の声に耳を傾け、議会に届け、行政をチェックし、
佐世保の未来を切り開いていくために大いに議論して欲しい。

残念ながら、今の市議会は、そんな理想とはほど遠いのが実情です。
今回の調査で、立候補予定の現職議員の方にアンケート用紙を送ろうとしても、佐世保市議会のHPには、住所も電話番号もメールアドレスなども掲載されておらず、連絡の取りようがありません。
しかたなく議会事務局に持参して、なんとか届けることができました。

県議会のHPには、議員の住所や電話番号、議員HPのURLまで掲載しています。
雲泥の差ですね。

佐世保市議の皆さんは、まるで市民との対話を拒否しているようで、悲しくなりました。

今回のアンケートにお答えくださった皆さんには、ぜひ当選していただき、議会改革に乗り出していただくことを期待しています。

そして、石木ダムの賛否に関わらず、石木ダムについて市民と大いに対話していただきたい。
市議は市民の声を託された人なのですから。

ほんとうの豊かさとは何か

もうすぐです!

もうすぐ、斉藤幸平さんが佐世保にやってきます。そして「分岐点 佐世保の未来~ほんとうの豊かさとは何か」というテーマで講演されます。

『人新世の資本論』という素晴らしい著書を生み出した斉藤さん。気候危機を前にして、やっと見えてきた道標。水や電力、医療や教育などを公共財として民主的に管理するコモンという考えについて、じっくりお聴きしたいですね。

また、水ジャーナリストの橋本淳司さんには「40年後の水と未来」というテーマで語っていただきます。こちらも新しい情報盛りだくさんで、とても楽しみです。

私たちは、どんな佐世保の未来を創りたいのか・・一緒に考えてみませんか?

参加ご希望の方は、こちらまでお申し込みを。インターネットをやっていない方は、電話でも受け付けます。
(090-6171-5810)

さあ、佐世保で斉藤さんのお話が聴けるなんて、後にも先にも最後かもしれませんよ。ぜひお聴き逃し無きように!

坂本龍一さんを偲んで

3月28日、坂本龍一さんが亡くなった。音楽家としてだけでなく、人としての生き様に共感する多くの人々から、その早すぎる死を悼む声が新聞、テレビ、ネット上に溢れている。

私たちもその1人。石木ダム問題を考える「いしきをかえよう」の運動に賛同してくれた坂本さんが現地こうばるに足を運んでくれたのは、2018年3月25日のことだった。

この日午前、こうばる住民の案内で石木川のほとりを散策。

「川原のうた」の看板に足を止めた坂本さん。

川原公民館にて。住民の説明でダム反対運動の写真を眺める坂本さん。

午後、長崎市平和会館ホールにて、トークセッションに参加した坂本さん。坂本さんの左で手を上げているのは司会の津田大介さん。右側の笑顔の男性はパタゴニア日本支社長(当時)の辻井隆行さん。

このときの坂本さんの言葉で心に残っているのは、

一番下の子が生まれたとき、彼が二十歳になった時どういう世界になっているのだろうと思うと怖くなった。僕らが享受している自然とか水とかそういうものを、後の世代に残さないと大人として恥ずかしい。環境資源は有限だから、使えばなくなる、僕らは100年前、200年前に比べるとずいぶん豊かな生活をしている。その豊かな生活のために未来の資源を奪っている。残していく使い方を考えねば。

 ノスタルジーというと失ったものを振り返るのだけれど、そうではなく、未来にそれを投射する、こっちの方がいいと選んでいく。ほたるあふれる石木川を未来に残していこう、目指していこう、と僕らの意識をかえていくことが大事だと思う。

今日は早起きして、途中かなり眠たかったけど、現地に行けて本当によかった。また、ホタルの季節に帰ってきたい。

 

坂本さん、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

あとふた月足らずでホタルの季節です。今年はきっと帰って来てくださいね。私たちは飛び交うホタルの灯りを眺めながら、貴方の言葉を思い出し、貴方の気配を感じることでしょう。

 

(2018年3月25日の詳細はこちら。坂本龍一さん「ホタルの季節に帰ってきたい」  : 石木川まもり隊 (ishikigawa.jp)