公共事業を糾す院内集会


10日ほど前になりますが、公共事業改革市民会議による院内集会が久しぶりに開催され、多くの関係者が集いました。

石木ダムからは現地の厳しい状況のため上京は見合わせ、オンライン参加となりました。3時間超に及ぶ集会の様子を簡単にまとめてみます。

まず初めは寺西俊一氏(日本環境会議理事長・一橋大学名誉教授)による基調講演で、

公共事業の歴史や、現在の酷い状況、今後どのように改革していけばいいのかなどが語られました。

こちらに資料が掲載されています。
公共事業改革寺西講演PP20230928.pptx – Google スライド

中でも、ひときわ理不尽な公共事業として寺西さんが挙げたのは諫早湾干拓事業辺野古基地建設

諫早湾干拓事業は海の環境破壊、それに伴う漁業被害だけでなく、政官財の結びつきによる利権構造の典型とも言えるものでした。

自民党への献金はここに記載されているものだけでも4億円、総額は7億円に近いものだった!天下り先もしっかり用意されていたのですね~

一方、沖縄では、軟弱地盤の辺野古に無理矢理基地を建設しようとする暴挙が国によって強行され、それに反対する県民や知事の訴えを裁判所は認めず、先月最高裁は上告を却下しました。

なぜこのような理不尽なことがまかり通っているのでしょう?

その1つは、どんなに無駄な公共事業でも、それを客観的に見直す体制が整っていないから。現在の事業評価制度は形ばかりで全く役目を果たしていない。

なんと、2021年度の国交省の事業評価では、合計689件中、中止になったのは1件だけ!

いわゆる「お手盛り評価」。試験問題を作った人が自分で回答し、自分で採点するようなものです。

寺西氏は、「事業評価の方システムや制度を作り直すことが求められている。そのためには公共事業改革基本法という法律を、法律家や国会議員や皆さんと共に作る必要がある。これを公共事業改革の突破口にしたい」と熱く語り、「そして、21世紀の後半にはまともな公共事業に私達の税金が使われる、当たり前の時代を取り戻す。ソーシャル・コモンの復権を目指そう」と結ばれました。
(21世紀後半?そんなに先の話では困るのですが・・・)

続いて、各地からの報告です。

トップバッターは石木ダム。与えられた10分以内におさまるよう、石木川まもり隊のIさんが編集した動画をご覧ください。

続いて、川辺川ダム、東京外環道、横浜環状道路(圏央道)、中部横断自動車道、リニア新幹線、スーパー堤防、諫早湾干拓、の7つの事業の現地から報告。

国会議員からは、穂福島瑞穂参議院議員、山崎誠衆議院議員、そして嘉田由紀子参議院議員は滋賀県からオンラインで参加。

嘉田議員:日本は三権分立していません。
政権与党方針に従う裁判官が9割5分。司法が行政の下にある。だから沖縄の裁判でも石木の裁判でも、司法のメスが入らない。

全国の裁判官3500人ほどの人事は全て最高裁の事務総局が押さえていて、しかも、最高裁の判事が、法務省とか国交省とかの法令官僚になっている。いわゆる判検交流。各省庁に100数十人。司法の独立性、三権分立を取り戻すために、判検交流やめるということを、私はこれから国会で大きな声で言っていこうと思っている。

そして、やっぱり政権交代しないと今の公共事業は止まらない。いろいろ批判はあるが、民主党政権になってコンクリートから人へということで、スーパー堤防も止まり、川辺川ダムも一旦止まり、そして荒瀬ダムの撤去には国がお金を出してくれた。自治体も国も選挙で政権交代する。それをしないと、公共事業問題の出口は見えない。選挙こそ民主主義の原点。1票1票の力で、仕組みを変える政治家を生み出していただきたい。

最後に、私が今一番心配なのは石木ダムのこと。日々追い詰められている石木の皆さんの健康状態と、それから精神の状態、本当に心配なので、支援者の皆さん現場からのサポートをよろしくお願いいたします。

私たちにとっては大変ありがたいメッセージをいただきました。臨時国会が始まったら、公共事業チェック議員の会の立て直しも始まるようです。私たちは大いに期待しています。国民と議員が力を合わせなければ、行政や司法の巨大な壁はビクともしませんから。

集会全体の録画ビデオはこちらです。