第2回 市民による石木ダム再評価監視委員会

長崎県公共事業評価監視委員会(県委員会)の翌日、「市民による石木ダム再評価監視委員会」(市民委員会)は、早速2回目の委員会を開催しました。第2回市民による石木ダム再評価監視委員会の議事次第・資料

参加者の多くは前日の県委員会を傍聴していた人々でしたが、そうでない人々も一様に、県委員会の判断(事業費1.5倍増+工期7年延長で事業継続という県の方針をあっさり承認)に、予想通りとは言え、落胆の表情が滲み出ているように感じました。

まずはじめに、西島委員長から、



 

 

 

昨日の県委員会に提出された県河川課による説明資料と説明内容に関する概要解説があり、その上で率直な感想を述べられました。(動画はこちら→ 第2回市民による石木ダム再評価監視委員会・委員長の発言 – YouTube )

西島委員長:閉会後に大嶺副委員長から「この事業については様々な意見があるから、県はきちんと市民の意見も聞いて、技術的な説明をしてほしい。ただし、この委員会ではなくて別の場で」という発言がありましたが、これは非常に残念な発言でした。県の説明を受け審議する場としてこの委員会があるのに、そこでやらないというのは、再評価制度の意義も意味も理解されていないなと感じました。

 



 

 

 

続いて、宮本副委員長から、開口一番「疲れました!」そして「我々が提示した15のチェックポイントについて、県からの説明はなく、県委員からもほとんど触れず残念だった」との感想が述べられ、どのような審議が繰り広げられたか解説されました。( 第2回市民による石木ダム再評価監視委員会・副委員長の発言 – YouTube )

主な質疑応答を拾い出すと、

・中村委員の「100年に1回の24時間雨量は400mmとなっているが、最近の雨量データで検証したんですか?」との質問に、県の方が「やりました」と答えたら「はい、わかりました」で終わった。

・大嶺副委員長の「最近は温暖化や線状降水帯の発生で国交省の考え方も変わってきているようだが、県はどういうふうに対応するんですか?」との質問には「今までのところ大きな雨は降ってないので、見直さない」と回答し「ああ、そうですか」で終わった。

・中村委員の「環境調査をずっとやっておられますが変化はありませんか」との質問に対しても「ありません」と答え、すっと終わった。

・狩野委員の「漏水対策として18億円追加されているが、それで足りますか」との質問には「これが積算した結果です」と答えて終わった。

など、ほとんどが、一問一答で終わっていて、再質問がありません。

宮本副委員長:ここで、次の2つの問題について解説します。

一つ目は地下水位の問題です。

ダムの高さよりも低い場合は、地下水位の高さまで基礎処理工、いわゆる漏水対策をしなければならないんですが、

石木ダムの場合、この赤い線が地下水位で、こんなに低い。県の今の漏水対策では不十分で、おそらく、追加でまた貯水池周辺の漏水対策が必要となり、金額がかなり上がるのではないかと思います。

もう一つは、なぜ便益が増えたのかという問題。狩野委員の「費用便益について、令和元年のときには便益が358億円だったのが今回519億円に増えている。これはどうしてか?」というもっともな質問に対して県は「流水の正常な機能の維持に対する便益が増えたから」だと説明しましたが、その意味わかります?

流水の機能というのは、水をたくさん流したら水質が綺麗になるとか、動植物の生息環境が良くなるとか、景観が良くなるとかであるが、その便益はなかなか数字では表せない。そこで、どうやって算定してるかというと、

このダム容量の中から、N(流水の正常な機能の維持のための容量)の部分だけを取り出して、Nだけのダム(身代わりダム=仮想ダム)を建設した場合の費用をNの便益としている。

つまり、この本体のダム事業費が1.5倍になったら、この身代わりダムの事業費も1.5倍になる=流水の正常な機能の便益も1.5倍になるという仕組みになっている。

これは長崎県独自の算出方法ではなく、国交省のやり方です。これに対し会計検査院はそんなやり方はおかしいと指摘しているが、国交省は「今は他に数値化できる方法がないので、とりあえずこれでやります、これからも他のより良い方法について検討します」と言って、その後何十年もこのままできています。

(そういう話は全く知らなかった!なーるほど!さすがお役人は頭がいいですねーそうやって便益を増やす方法を用意していれば、少々費用が増えても、B/Cが1を超えるような仕組みになっているのでしょうね~)

私もダムをやった人間だからわかりますが、本当に県民のため地元住民のために役立つ仕事であれば自分たちにも誇りがあるので、こんなにいい計画なんです!聞いてください!と説明したくなるんですよ。ところが我々が出した項目について全く答えようとしない。行政マン、技術者の風上にもおけないなと感じました。

 

その後、事務局や地元住民の方、会場参加者からの発言が続きました。( 第2回市民による石木ダム再評価監視委員会・県の委員会を傍聴した関係者の発言 – YouTube )



 

 

 

事務局M:県資料19ページには、工期7年延長の理由が「反対住民等の座り込み行動によって6年延長+働き方改革で1年延長」と書かれているが、本当にそうでしょうか?



22ページを見ると、
事業費135億円増の要因の最も大きいのが地質対策関連(67
億円)であり、基礎処理工事が増えるということはその工事期間も延びるということで、当然工期延長の理由にも入れなければならないと思います。

24ページの図を見ると、基礎処理工の範囲がこれまでの数倍に広がっているので工事期間も同様に延びるはず。また、説明のところに「施工時には最大限の範囲となることが想定されますが」と書かれているので、工事費も工事期間もさらに延びる可能性があると思います。

(漏水ダムで有名な大蘇ダムの場合、2005年に完成したが、その後水漏れが発覚して、その後貯水池の3分の2をコンクリートで覆う工事をやって100億円の増になっている。それでもまだ漏水は続いており、調査費や対策工事費が加算され、現在では当初予算の5.5倍の事業費となっている)

 



 

 

 

地元住民Iさん:昨日の委員会の結果は予想通りでした。これまでもずっと同じようなことでしたから。工期を7年延ばすということは、私たちが病気をしたり、亡くなったり、座り込みができなくなるのを待っているのかなと思います。

 



 

 

 

今本委員:いまは要らないのに当初必要だったからとどうしても造るという、この論理はどうしても理解できないですね。それから流水の正常な機能の維持、このためにダムを造ることはないですよ。これは便乗的にやってるだけで、論理性があるとは到底思えません。本当に長崎県がやっていることを見ると無力感に陥りますね。もっと論理的にやってほしい、つくづくそう思いました。

西島委員長:論理性がないと今本先生もおっしゃいましたが、説明なしに進めるというのは、論理でもなくて科学でもなくて、力のごり押しですね。それはもう民主主義とはかけ離れているというふうに感じます。

 



 

 

 

伊藤委員:ダム問題というのは、議論の前に、説明の中に嘘があるということ。ダム賛成とか反対とか関係なく嘘を前提に計画が立てられている。この問題も含めて過去30年ぐらいダム問題に関わってきたんですけど、国も県も同じ状況で、もう民主主義っていうのは、もしかしたら日本にはないんだろうかと思いながら、ため息をつきながら聞かせていただきました。

 



 

 

 

富樫委員:いま全国的に水道料金が上がっている。(石木ダム事業費の佐世保市負担分の多くは水道事業会計から支出しており、その多くは公営企業債権で賄っている)佐世保市水道事業が償還していく時に金利がでてくるが、これから金利も上がってくる。直接の事業費で終わらずに、将来的な財政負担とか水道料金への跳ね返りとか、そこまで見ないといけない。水道料金が上がるというのは高齢化の中で年金生活をしている者にとってすごく大変になる。そのようなことも考えて議論ができることを期待している。

 



 

 

 

つる委員:日本ではなんでこんなに環境の価値が小さいのか!石木ダムの再評価でも議論されてないに等しい。例えば2008年の環境アセスで魚種のうち1種だけが重要な種として認められていたんですが、その対策は必要はないということで対策が取られていない。その結果、その1種「カネヒラ」は、2020年の長崎県のレッドリストでは絶滅したと報告されています。

それから、石木の環境がどうして大事かというと、在来種の存在です。例えば田んぼの雑草にしても在来の雑草です。日本の中ではもう絶滅した在来の雑草なんです。みんな外来の雑草が蔓延っているけど、石木は在来の雑草が蔓延ってるんです。

猛禽類にしても6種類いますが、いろんな猛禽類はほとんど水田があるところとセットで暮らしてるんです。しかし長崎県は水田や平地の価値を全く認めず議論もされてない。

また、これは環境とは関係ないんですけれど、2022年にお隣の佐賀県では有田川の猿川ダムっていうのが中止になっています。これは利水と治水のダムなんですが、20年ぐらい前に計画されて、もう当時の需要予測も価値がなくなったと判断されて、治水計画は他の代替案でやっていきますということで中止になったんです。

 



 

 

 

谷委員:再評価で中止になったダムについてつるさんが紹介されましたが、他にもそういう事例はあるのでしょうか?

西島委員長:中部ダムもそうです。平成10年でしたか、当時の片山善博鳥取県知事が諮問した再評価委員会では、専門家の判断を仰ぎたいということで専門家による部会を設け、約1年かけて調査・議論した結果、ダムよりも河川改修の方が安いということになり、その報告を受けて再評価委員会が中止の判断をしました。

宮本副委員長:私が印象に残ってるのは、大阪府の槇尾川ダムですね。本体のコンクリート打設工事の発注までしていましたが、おかしいんじゃないかという話が出てきまして、当時の知事が必死になって勉強されて、私も委員でしたが、その委員会に知事は毎回出てきました。そして、一緒に現地に行って、確認して、やっぱりこのダムは造ってはいけないということになりました。本体発注後のダムで中止になったのは、おそらく日本ではそこだけだと思います。

ですから、本当は、ああいう再評価委員会のときに、知事に出てほしいんですよ。知事が動かないと、その下の職員は動かないんですよ。大石知事には悔いのない判断するためにも、ああいう議論に出て、一緒にまた現地に行って、我々専門家の意見を真摯に聞くということをやってほしいなと思います。

 



 

 

 

渕委員:西海市西海町の虚空蔵山の麓で牛を飼っています。繁殖農家です。大村湾を隔てて川棚の虚空蔵山を見ながら仕事をしていますが、その虚空蔵山を見るたびに少し気持ちが落ち込みます。この猛烈な暑さの中、こうばるの皆さんや支援者の皆さんが必死になって座り込みをやっておられるということを考えたときに、自分は応援に行けないので、心苦しい気持ちになります。

私が石木ダム問題に関心を持ったのは、13年前に佐世保で開催された集会に参加したのがきっかけですが、その後、現地に行ってみたり、県に質問状を送ったり、自分なりに本当に石木ダムが必要なんだろうかと考えてきたんですけども、やはり必要ないと思います。石木ダムは必要だから造るのではなく、建設そのものが目的になっていると感じています。

行政代執行について、県の委員の皆さんはどう考えているのか?県は反対の座り込みをしている人たちの安全を考慮しながら工事を進めていくと言ってるんですが、それでは行政代執行を安全にできるのか?強制的に引きずり出したり、流血の事態になったてもやるのか?きっとできないと思います。できるわけがない。

知事は行政代執行も選択肢の一つと言ってますけど、選択肢から外してほしいです。ホントにダムが必要なら死ぬ気で説得しろと言いたい。公共事業評価監視委員会の話を聞いていると、監視委員会ではなく推進委員会のようだと思いました。

 



 

 

 

会場参加者Mさん:石木ダム反対の根拠は、もう十分出尽くしていて、あとはどういうふうに中止させるかという戦術の問題に入ってきていると思います。例えばこの市民による石木ダム評価監視委員会というのは戦術としていいと思いますが…

知事選でトップを替えるとか、有名人や発信力のある方の力を借りて全国的に発信してもらうとか、海外の研究者だとか環境団体を招いて、特にオランダは水問題の研究が進んでいるし、長崎とも関係が深いし…そういうことも考えてみるべきだと思います。

 



 

 

 

市民の会共同代表Mさん:私が非常に憤りを覚えたのは、県が御用学者のダム工学会の会長の言葉を紹介したことです。角哲也という元国交省の方ですが、県の資料を見て「県の言う通り、石木ダムは優位性がある」と述べたそうです。私達が求めた専門家の意見を聞くということを、自分たちに都合のいいやり方でやったわけです。こんなズルイやり方は許せない。私は角さんに公開質問状を送ってもいいと思います。

宮本副委員長:この市民委員会に角先生にも来てもらったらいいんです。あなたは石木ダムは必要なダムだと言ったけども、我々は疑問を持っております。我々の委員会に来て議論してください、と呼びかけるべきじゃないかなと思います。来るかどうかわからないですけどね。

 



 

 

 

堀江県議:今回の評価監視委員会で石木ダム事業費が大きく増額され、工期も7年も延長されました。そのことを県議会がどうチェックするか、評価監視委員会が承認しても、県議会が賛成をしなければ、予算についても工期についても認めることはできません。そういう意味では、県会議員が行政をチェックするというその役割を果たすかどうか、そのことが問われていると思っています。しかし、長崎県議会は、46名のうち35名が自民党で、一般質問でも石木ダム早く造れ、何故すぐやらないのかという状況であり、だからこそ、世論を作るのが大事だと私は思います。

 

最後に、西島委員長から、まとめとして今後の取り組みについての提案がありました。

1.我々が示した15のポイントについて県はゼロ回答だった。ということは、もう石木ダムは説明ができない事業だということであり、そうであるならば、これからは中止を求めていくことになるだろう。

2.とはいえ、説明してもらいたいことはたくさんあるので、この市民委員会にぜひ県の職員の方に来ていただいて説明をしていただきたい。

3.今回の県の委員会でどういう説明がされたか、されなかったか、その評価を意見書のような形にまとめて、公表したい。

以上3つの提案については、参加者全員の拍手で採択されました。

 

つまり、市民による石木ダム再評価監視委員会の活動はまだまだ続きます。県の再評価もこれで終りとならないよう、働きかけていきます。

利水についての再評価はこれからですし…

 

公共事業評価監視委員会を、県民みんなで監視していきましょう~

石木ダム事業継続 公共事業評価監視委員会が承認

石木ダムの事業継続 県の公共事業評価監視委員会が承認|NHK 長崎県のニュース


石木ダムの事業継続 県の公共事業評価監視委員会が承認




長崎県と佐世保市が川棚町で進めている石木ダムの建設事業が2日、県の公共事業評価監視委員会に諮られ、県側から事業費を420億円に増やすとした対応方針案が示されましたが、委員会は事業の継続を承認しました。

石木ダムは長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進めているもので、地元住民の反対もあり、事業の採択から半世紀近くたつ今も完成していません。

この事業が2日、有識者などで作る県の公共事業評価監視委員会に諮られ審議が行われました。

この中で、県側は資材価格が高騰していることや、追加の地質調査が必要になったなどとして、事業費を今の285億円から420億円に増やすとした対応方針案を示しました。

また、完成時期についても、これまでに予定していた来年度末から令和14年度末へと7年延長することを説明しました。

これについて、委員会は質疑を行ったうえで、事業の継続を承認することを確認しました。

2日の委員会には石木ダムの建設に反対する住民たちも傍聴に訪れていて、事業の継続が承認されると抗議の声を上げていました。


石木ダム7年延長の2032年完成、事業費135億円増やす考え示す 住民「私たちの声聞いて」【長崎】|ニュース|KTNテレビ長崎

石木ダム7年延長の2032年完成、事業費135億円増やす考え示す 住民「私たちの声聞いて」【長崎】

2024年08月02日 19:15
長崎県東彼杵郡川棚町の石木ダム建設事業をめぐり、県は事業費を現在より135億円増やし完成時期を7年延長した2032年とする考えを示しました。

長崎県の担当者
「石木ダムは川棚川の抜本的な治水対策のため必要不可欠な事業であり早期に完成させる必要があるため、事業継続をお願いしたい」

石木ダムは当初1979年の完成を目指していましたが、地権者などの反対でこれまで完成時期が9回変更されていました。

長崎県の公共事業について再評価する委員会で、長崎県はダム事業の継続と完成時期を現在の2025年度から7年伸ばした2032年度とすること、事業費を現在の285億円から1.5倍の420億円とする方針を示しました。

増額について長崎県は追加調査や建設業の働き方改革、資材の高騰などを理由に挙げています。

委員から異論などは挙がらず長崎県の方針を承認しました。

住民の岩下すみ子さん「私たちが求めているのは本当にこのダムが必要かを検証してほしいとういこと。もっと現地を見て、私たちの声を聞いて、そんなこともしないで何百億円の予算がついたらどんなことになるか」と話し、岩本宏之さんは「長崎県知事が話し合いによる早期完成を目指すのであれば、7年も伸ばさず代執行を早くしてくださいと。そこまで覚悟して戦っている」と述べています。

委員会は長崎県に対し「地元住民への説明や意見の聞き取りが足りない」として、対話の場を設けるよう求めました。

 

石木ダム完成年度7年延長 事業費も135億円増額 | 長崎ニュース | NCC長崎文化放送 (ncctv.co.jp)

石木ダム完成年度7年延長 事業費も135億円増額

県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を進める石木ダムについて、県の公共事業を再評価する委員会は2025年度としていた完成年度を7年延期する方針を決めました。
石木ダム建設事業の工期の延長は国が1975年に事業を採択して以降10回目です。

県土木部河川課:
「石木ダムは川棚川の抜本的な治水対策のため必要不可欠な事業であり、早期に完成させる必要があるため、『事業継続』でお願いしたいと思っております」

2日に開かれた県公共事業評価監視委員会で、5年前(2019年)に2025年度としていた完成時期を7年延期し、2032年度にする方針が承認されました。県は延期の要因について、建設工事が反対住民の座り込みなどの妨害の影響で遅れたことや建設業の働き方改革の対応のためとしています。

また前回(2019年)の事業再評価以降、消費税率が変わったことや、資材価格や人件費の高騰、今後の物価上昇や予見できない事業費の変動に備えるため、総事業費は現行の285億円から135億円増額し、420億円となる見込みです。

石木ダム建設予定地の川原地区では、2019年に土地の明け渡し期限が過ぎた後も、建設に反対する13世帯が暮らしています。

石木ダム反対住民・岩下すみ子さん:
「まだ私たちは住んでるんですよね。そういう住んでる地権者の声は今までも全然反映されない。怒り心頭ですよ。もう震えます」

委員会は県に住民との対話を進めてほしいと述べました。


石木ダム建設「7年延期」完成時期2032年へ 総事業費「約1.5倍」420億円に増加《長崎》(長崎国際テレビ) – Yahoo!ニュース


石木ダム建設「7年延期」完成時期2032年へ 総事業費「約1.5倍」420億円に増加《長崎》

長崎国際テレビ

NIB長崎国際テレビ



NIB長崎国際テレビ



NIB長崎国際テレビ



NIB長崎国際テレビ



「石木ダム事業継続は妥当」長崎県公共事業評価監視委 (NBC長崎放送) –

Yahoo!ニュース


「石木ダム事業継続は妥当」長崎県公共事業評価監視委

配信


NBC長崎放送


 

石木ダムの事業継続を承認 総額420億円、完成7年遅れ 長崎県評価監視委 | 長崎新聞 (nordot.app)

石木ダムの事業継続を承認 総額420億円、完成7年遅れ 長崎県評価監視委



石木ダム建設事業の経過

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で県は2日、総事業費を現行の約1.5倍の420億円に増額し、完成時期を7年遅れの2032年度とする方針を県公共事業評価監視委員会(友広郁洋委員長)に諮問し、事業継続が承認された。事業費の見直しは07年度以来で、完成時期の延長は当初目標の1979年度から10回目の延期となる。
石木ダム建設事業は治水と利水を目的に県と佐世保市が共同で進めている。評価監視委は県が実施する公共事業について、一定期間ごとに再評価。2日は長崎市内で、治水面の費用対効果などを審議した。
県は増額の理由について、資材高騰など社会的要因が約37億円、工事が進んだ結果、地盤補強が必要な範囲が当初想定より広がるなど事業の進捗(しんちょく)に伴うものが約67億円と説明。このほか、工期延長やリスク対策費の追加を挙げた。
7年間の完成遅れについては、建設に反対している地元13世帯の住民らによる抗議活動の影響、建設業界における働き方改革への対応を理由に挙げた。
増額後の治水面の費用対効果について、県は管理を含む費用約468億円に対し、事業の便益は約519億円で「1.11」と試算。現行の「1.21」より下方修正するとしたものの効果は見込めるとした。評価監視委は今後、議論の内容を踏まえ大石賢吾知事に事業の継続を承認する意見書を提出する。
新たな工程表では付け替え道路工事を30年度、ダム本体工事を31年度までに完了させ、32年度に試験湛水(たんすい)を実施する。増額により、負担額(国の補助を除く)は県が約137億円、佐世保市が約82億円となる。
会場には反対住民や支援者ら45人が傍聴に詰めかけ、事業継続が承認されると不満の声が上がった。


 

石木ダム事業継続承認 反対派「声反映されず」 推進派は工期延長に不満 長崎 | 長崎新聞 (nordot.app)

石木ダム事業継続承認 反対派「声反映されず」 推進派は工期延長に不満 長崎



石木ダム建設事業の継続承認に不満そうな表情を浮かべる反対住民ら=長崎市元船町、平安閣サンプリエール

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県公共事業評価監視委員会は2日、事業の継続を承認した。反対する市民団体が求めていた専門家からの意見聴取や現地視察の機会は設けられず、傍聴席からは抗議の声が上がった。一方、完成目標を7年遅らせる工期延長も決まり、水害や渇水の不安を訴える建設推進派からは不満も漏れた。
「なんで認める結論になるのか」「おかしいじゃないか」。同委員会が事業を継続する県の方針を承認すると、傍聴席からは怒号が飛び交った。市民団体「石木ダム事業の公正な再評価を求める市民の会」のメンバーが立ち上がり、「委員会は県の御用機関ではない。事業を厳しくチェックする本来の職責を十分果たしてほしい」と訴える抗議声明を読み上げた。
この日は、水没予定地の川原地区から十数名の住民が建設反対の座り込みを止めて傍聴に訪れた。同地区に嫁いで約50年になる岩下すみ子さん(75)は「(反対する)住民の声は反映されず、人権無視のやり方。委員は現地も訪れない。本当に悔しい」と語気を強めた。反対する住民の岩永正さん(72)も「(県が委員会から)お墨付きをもらうための会だった」と落胆した。
一方、佐世保市では渇水への不安を訴える住民がいる。「石木ダム建設促進佐世保市民の会」の寺山燎二会長は「一日も早い完成を求め続けてきた。完成目標がまた延び、残念の極みだ」と話した。
事業継続の承認について、県と佐世保市は「現時点での(知事と市長の)コメントは控える」。川棚町の波戸勇則町長は推進する立場から「水源地域住民の理解なくして進展はない。大石賢吾知事には(反対住民と)早期に話し合いの場をつくってほしい」と要望するコメントを出した。
委員会終了後、友広郁洋委員長は「審議は尽くされた」と強調。反対派からの抗議を踏まえ「住民の理解が最優先。(その点は)県に意見書を出す中でまとめたい」と述べた。


 

県委員会が承認 石木ダム工期7年延長 事業費1.5倍!

8月2日、長崎県公共事業評価監視委員会(県委員会)は、石木ダム事業の工期7年延長(2032年度完成)と、事業費を1.5倍とする(285億円→420億円)県の方針案について審議し、どちらもすんなり受け入れ、事業継続を承認しました。

委員会の正味の時間は、2時間15分。うち事業者である長崎県(土木部河川課)からの説明時間は1時間21分で、委員による審議時間は54分でした。

135億円もの事業費の増額が県民や、取り分け佐世保市民にどれだけ大きな負担をもたらすか、また、事業継続による取り返しのつかない人権侵害や環境破壊についての認識があれば、これほど短時間の審議で結論が出せるはずはありません。

やはり今回の再評価も、「開会前から結論は決まっている」との噂通り、県にお墨付きを与えるための委員会だったのでしょうか。

「市民による石木ダム再評価監視委員会」(市民委員会)が事前に提出していた評価のポイントは、県にも委員会にも全く無視されてしまいました。

県はそれらのポイントについて説明資料を出すこともなく、また、委員会はそれらについて質問することもなく…

県の説明資料はこちらです。20240802 長崎県公共事業評価監視委員会資料

遠方(関東や関西)から傍聴に来ていた市民委員会の専門家は「こんな委員会なら傍聴に来る必要は無かった」「どっと疲れが出てしまった」と本音を漏らしておられました。

ただ、県も県委員会も、市民委員会からの要請事項の一部には応えていました。

その要請事項とは、県知事宛には以下の3点で、
1.十分で正確な資料の公表と説明
2.ダム/ダム問題の専門家の活用
3.石木ダム事業の特殊性の重視

県は、その中の「2.専門家の活用」に着目し、京都大学防災研究所水資源環境研究センターの角哲也(すみてつや)特定教授からご意見をいただいたとして紹介しました。

しかし、それはただ「石木ダム事業の優位性を認める」とか「県の検討結果は概ね妥当」とするもので、具体的な根拠は何もありません。

意見書が添付されているわけでもなく、河川課職員がただ口頭で紹介しただけ。正にアリバイ作りのコメントに過ぎません。

県は、角さんの肩書きを黄門様の印籠のように差し出せば、県委員会の皆さんだけでなく、市民委員会も納得するとでも思ったのでしょうか?知る人ぞ知る典型的な○○学者の角さんがお墨付きを与えても、専門家には通用しないのに…。

また、県委員会は、提言書の「3.地元住民からのヒアリング」を意識してでしょうか、委員会の終了直後に、副委員長が声を上げ、「いろんな意見が出ているので、県の方は、技術的な問題についてもう少し説明が必要ではないか。この委員会ではなく、別の場で、もっと住民との対話も進めてほしい」とコメントしました。

一部から拍手も起きましたが、それには「ハテ?」と思ってしまいました。

「いろんな意見が出ているので、技術的な問題について県に説明を求める」のが公共事業評価監視委員会の役目であり、それらの「いろんな意見」と県の説明とどちらが正しいのか判断するのが再評価の場のはずですが…。

知事と住民の対話が中断されているのは、知事が「石木ダムの必要性については司法の判断も出ているのでもう話し合う必要はない。これからは生活再建の話をしよう」という姿勢だからです。

住民の皆さんが座り込みを休んで県委員会を傍聴に来たのは、「私たちに代わって石木ダムの必要性について、しっかり議論してくれるのではないだろうか」という期待があったからです。それを「別の場で…」なんて、とんでもない話です。

私たち「石木ダム事業の公正な再評価を求める市民の会」も同じ思いです。このような結果をある程度予測して、準備していた抗議声明を共同代表(深澤 奨)が直後に読み上げました。

「委員会は県の御用機関ではない。事業を厳しくチェックする本来の職責を十分果たしてほしい」と。

委員6人(7人中1人欠席)の方の心に届いたと思いたいのですが…

委員だけでなく、多くの方に伝えたいので、その全文をここに記載します。

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緊急抗議声明

 私たち「石木ダム事業の公正な再評価を求める市民の会」は、本日8月2日、県公共事業評価監視委員会が、県の求めるままに事業費増額と工期延長を承認したことに、深い憂慮を覚え、抗議するとともに、行政代執行という最悪の事態に立ち至らないよう、ここに強く要請をします。

 私たちはこの度の事業再評価に当たって、ダムに関する専門家の意見を聴いて審議に反映させることと、委員による視察で現地の状況と住民の声を確認することを、絶対に欠かせない判断材料であるとして、その実現を求めてきましたが、聞き入れられませんでした。また、専門家を交えた「市民による石木ダム評価監視委員会」が提言した審議の重要なポイントについても取り上げられませんでした。県の説明も、自らに都合のよい御用学者の言葉だけを紹介する不誠実極まりないもので、結果、県の資料と説明を鵜呑みにした委員会の審議は、とても公正とは言い難いものでした。

 このままでは、県は「委員会からお墨付きを得た」として、現に居住する13世帯もの住民を強制排除する行政代執行へ突き進む可能性が高まります。それは県政史上はもちろん、現憲法下では全国でも例を見ない重大な事態であり、委員会のお一人お一人がその道を開いたことになるのだということをしっかり胸に刻み、その責任をわきまえていただきたいと思います。

 私たちは、委員の皆様の良心を信じて、以下の要請をします。委員会は石木ダム事業の抱えている問題の特殊性と重大性に鑑みて、本日取り上げられなかった問題点を専門家とともに改めて審議する場を一日も早く実現するように努めてください。その際は、現地視察と住民の声聴き取りの機会をぜひ設けてください。

 公共事業評価監視委員会は県の御用機関ではありません。県民の負託に応え、事業を厳しくチェックする本来の職責を十分に果たされるよう心から要請します。

 

2024年8月2日

石木ダム事業の公正な再評価を求める市民の会