事業認定率は?

先月、佐世保市議会で請願の趣旨説明を行った時も、県に申し入れをした時も、

市議さんや県の担当者に同じ質問をしました。

皆さんは、事業認定は第三者機関が双方の意見を聞いて公正中立に判断するとおっしゃいますが、

事業認定申請をしたら、結果はほとんど認定されると聞きます。

特にダム事業の場合は認定されなかったケースは聞いたことがないと言われています。

実際のところはどうなのでしょう?

正確な数字を知りたいので教えて頂けないでしょうか?

と。

しかし、いまだに県からも市議さんからも何の回答もありません。

 

しかたがないので、直接国交省に尋ねました。

すると、事業認定の件数は膨大で、事業の種類ごとに統計は取っていないとのことでしたが、

過去10年分だけを調べて下さいました。

その結果は、申請件数14件、認定件数14件、認定されなかった件数0件。

 

また、九州管内でみると、

77件(ほとんどが道路拡幅や着工、河川拡幅などで、ダム事業は石木ダムだけ)申請があり、

75件が認定。残り2件は石木ダムを含め手続き中の案件。

つまり認定されなかったケースはやはりゼロということでした。


やっぱり…

少なくとも過去10年間においては認定率100%だということです。

それでも中立なのでしょうか?

それを中立と言えるのでしょうか?

 

いつも結果は起業者の思惑通り。

だとするなら、時間とお金をかけて認定手続きを進める意味があるのでしょうか?

 

たぶん認定庁の職員の方々は公正に誠実に職務を遂行なさるのだと思いますが、

どんなに誠実にやっても、誰がやっても、

結果は起業者に有利なように行き着くシステムになっているのではないでしょうか?

                                     

 

豪雨の被害を少なくするのは、ダムではなく、河川改修

死者29人となった今回の「九州北部豪雨」。

今日のTVニュースで、視察に行った自民党の谷垣禎一総裁のコメントが流れていた。

「大分県竹田市の災害現場ではダム建設済みの河川は氾濫していない。

一方、民主党の事業仕分けによってダム建設が延期になっている場所が氾濫している」と。

 

「国土強靱(きょうじん)化基本法」なるものをまとめ、

10年間に200兆円規模のインフラ整備への集中投資を目指している自民党の親分だもの、

言うと思ってました。

 

土砂に押しつぶされた家、暴れ狂う濁流に呑まれて亡くなった人、

たくさんの悲しみが散乱している現場に行っても、

公共事業を増やすことしか頭にないのだろうか…

 

ダムがないから河川が氾濫するのではない。

森を守っていないから、

保水力を失った大地が地滑りをおこし、里の部落を襲うのです。

大地に沁み込む量が少ないから、地表を流れ、一気に川へ押し寄せるのです。

その水嵩が激増した川の護岸対策が遅れているから、氾濫するのです。

ダムがあっても、想定以上の雨が降れば氾濫します。

 

谷垣さんが訪れた場所とは違うかもしれませんが、

熊本県の白川について、地元の市民団体が、今回の洪水の実態を早くも調査分析しています。

「立野ダムによらない自然と生活を守る会」の報告です。

 

最後の2点だけご紹介します。

全文はこちらです。 → http://stopdam.aso3.org/ 是非ご覧ください。

 

7.立野ダムによる治水の限界

 「想定外の災害のためにも立野ダムが必要だ」という意見がある。

しかし、立野ダムの洪水を貯める容量は、想定した洪水を調節する分しかない。

今回の洪水のような想定以上の洪水ではダム湖は満水になり、洪水調節不能となる。

ダム湖に流入した水をそのままダム上部の8つの穴から非常放流することになり、

「洪水調節ダム」として機能しなくなる。

8.まとめ

 今回の洪水で浸水被害を受けた箇所は、河川改修が未完成の地区ばかりである。

特に、河川整備計画で架け替えることになっている明午橋、竜神橋、吉原橋で川幅が狭まるなどして、洪水水位を押し上げている。

国交省の直轄区間から外れている小磧橋より上流は、改修はほとんど手つかずの状況である。

 さらに驚くことに、改修工事のもととなる「河川整備計画」が、大津町や菊陽町の白川では策定されていない。中流域でも、河川整備計画を早急に策定し、河川改修を進めるべきである。

 ダム計画があると、下流の河川改修がおろそかになることは明らかである。

今回の洪水で、もし立野ダムが存在し、国交省の想定通りに機能したとしても、被害を防ぐことができなかったことは明らかである。

 黒川橋の流失により、今回の洪水は「過去最大」と言われてきた昭和28年の6・26洪水を上回る可能性があることが明らかになった。それでも6・26洪水と比べ被害が大幅に少なかったのは、これまでの河川改修の結果である。

 今回の災害では避難情報が遅れるなど、行政の危機管理体制の在り方が問われている。

同じ白川で、国の直轄区間と、県の管理する区間があり、ハザードマップも別々になっている。

これらも、情報伝達がうまく行われない一因になっていると思われる。危機管理とりわけ避難対策の充実が急がれる。

 今回の洪水で、阿蘇市を中心に多くの方々が亡くなられたが、いずれも土砂災害が原因である。

ご冥福をお祈りする。

今後は河川改修を進めるとともに、土砂災害の要因となっている放置人工林の整備(間伐)や、阿蘇の草原の保全を進めるなど、流域全体を見据えた災害対策を進めていくべきである。

 

 

県や市への理解は深まらなかったけれど・・・

「地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」に込められた意味。

事業認定手続きを進めることの意味。

県市と私たちの考えは今回も平行線で、理解は全く深まらなかったけれど・・・

報道の皆さんには、何かが伝わったような気がします。

 

国からの通知があったとき、ほとんどのマスコミは「事業継続」にだけ注目が集まっていました。

が、昨日の私たちの県市への要請行動を伝えたTVニュースや新聞記事を見ると、

付帯意見の意味がしっかり報道されています。

 

報道センターNBC:

 

 

NHKやKTNのニュースもそうでした。
http://www.ktn.co.jp/news/2012/06/28/

新聞では、今朝の長崎新聞、読売新聞、毎日新聞などが報じていました。
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/ishiki/2012/06/29092608.shtml

 

こちらは、県への事業認定取り下げ要請交渉後、県の担当者へのインタビューの様子です。

 

 

おお〜!     

 

長崎県と佐世保市に、事業認定申請の取り下げを要請

今日も、石木ダム事業認定申請の取り下げを要請してきました。

しつこいなぁ…なんて思わないで下さいね。

相手が違うのですから。

 

一週間前に要請したのは、国交省九州地方整備局へ、取り下げの勧告を県にしてほしい…

と、お願いしたのですが、「勧告をする立場ではない」と言われましたので、

それじゃあ、やっぱり、ご本人に取り下げる気持ちになって頂くようお願いするしかない!

ということで、

午前中は県に、午後は佐世保市に、ダブル要請を決行した次第です。

 

県と市は共同事業者ですから、当然と言えば当然ですが、おっしゃることは見事に同じ。

佐世保市長や水道局長の議会答弁とも見事に一致。

「判で押したよう」とは、このことですね。

 

曰く、

国からの通知に書かれていた付帯意見、

地域の方々の理解が得られるよう努力するを希望する」については、

「これまでもその努力はしてきたが、今後もあらゆる機会をとらえて話し合いができるよう努力したい」と。

 

であるならば、

事業認定申請を取り下げて下さい。

あなた方が話し合いの機会を得たいと努力しても得られなかったのは何故ですか?

地権者の土地を奪うための手続き=事業認定申請をしたからでしょう?

それを取り下げたら、いくらでも話し合うとおっしゃっているのですから、

いったん取り下げ、話し合うための環境作りをするべきではないですか?

 

と訴えても、その答えは、次の通り。

1.事業認定申請の取り下げはしない

2.なぜなら、事業認定の手続きの中で話し合いが進められるから

3.その結果、事業の公益性が客観的に判断される

4.そのため(第三者に事業の公益性を客観的に判断してもらうために)に申請したのであって、

  決して強制収用のためではない

 

それに対し私たちは、

1.取り下げないままでは、地権者の理解を得るのは今後も無理でしょう

2.土地の収用を目的とした手続きの、どこで実際の話し合いができるというのですか

3.申請されたダム事業は100%認定されているという現実を考えると、

  客観的に判断されていると言えるのでしょうか?

  追認するための形式を整えているだけではないのですか?

4.事業認定申請というのは土地収用法に則った手続きで、

  土地収用法とは、合法的に個人の土地を強奪するためのものですよ

等々、意見をぶつけましたが、

 

県や市の見解は、相変わらず何の変化もありません

1.手続きは進めながら、地権者との話し合いは別に「あらゆる機会」を捉えて、今後もお願いしていく

2.については、具体的な回答なし

3.公聴会で両方の意見も聴くし、第三者機関(社会資本整備審議会)の意見も聴くので、

  中立的で客観的と考えている

4.強制収用は今の時点では考えてないの一点張り

 

でした。

なんだか、賢いインコに向かって、懸命に語りかけていたような虚しさを感じてしまった一日でした。


 

 

趣旨説明

「石木川まもり隊」が25日、佐世保市議会「石木ダム建設促進特別委員会」でおこなった、

「石木ダム建設用地の強制収用反対を求める請願」の趣旨説明の原稿が欲しいとの依頼が3件ありました。

メールに添付したり、印刷してお渡ししたりしましたが、どうせなら、ブログ上で公開し、

多くの方に私たちの思いを伝えたいと思い、以下に貼付いたします。

 

—————————————————————————-

 

 「石木川まもり隊」代表の〇〇と申します。

 今日は石木ダム建設に関して土地の強制収用はしないでほしい、させないでほしい、

その市民の声を市議の皆様に届けるために参りました。

この請願の趣旨を説明する機会を与えて頂いたことに深く感謝致します。

 

 私たち「石木川まもり隊」は、石木ダム計画の白紙撤回を願っています。

皆様は推進のお立場で、私たちの考えとは正反対です。

しかし、私たちはこの委員会が『水資源確保対策特別委員会』と呼ばれていた頃から、

たびたび傍聴させて頂き、皆様がどれほど佐世保市の水事情について真剣にご議論

なさってきたかよく知っています。

 また水道局からの説明も共に聴かせて頂き、資料も配布して頂き、

いろいろ勉強させて頂いたことに心から感謝しています。

この場を借りて、貴委員会と水道局の皆様、議会事務局の皆様には心からお礼申し上げます。

 

 本題に入ります。

 私たちは、今現在何不自由なく水を使って暮らしていますし、今後の急激な人口減少を考えると、

どうしてもダムが必要とは思えませんが、今日はその問題は横に置き、

土地の強制収用、この一点について述べさせて頂きます。

 

 国交省は6月11日、石木ダムの事業継続を認めました。

しかし、これには大事な付帯意見がありました。

「地域の方々の理解を得るための努力を希望する」と書かれた別添の文書です。

しかも「別添に留意願います」という一文まで付いていました。

これは市長も認めているように、「とことん話し合って理解を得なさい」という意味で、

力ずくの強制収用とは相反するものです。

 しかし、市長は15日の市議会一般質問で、

「二年半も中断している事業認定手続きを早急に進めるようお願いしたい」と言われました。

この手続きを進めるとはどういうことでしょうか。

 

 ここに、県が事業認定申請についての説明会で配った資料があります。

いま手続き上終わっているのは申請書の公告縦覧、意見書の提出、公聴会の請求までで、

これから公聴会や社会資本整備審議会などで様々な意見を聴き、公益性の有無を判断する

と言われますが、それらは形式にすぎません。

なぜなら、公聴会で意見を言えるのは限られた人数で、しかも1人15分程度と制限されています。

また、社会資本整備審議会で審議されるのは、あがってきた書類を見て、

手続き上の瑕疵が無いかどうか判断するだけです。

だから、事業認定申請されたケースはほぼどれも認定されています。

ダム事業の場合、認定されなかったケースは聞いたことが無いとダム問題の専門家は言っています。

私はデータを持っているわけではありませんので断言はできませんが、

議員の皆さんには是非お調べ頂き、教えてほしいと思っています。

 

 さて、認定されたら、その先はどうなるでしょう。

認定されても、おそらく石木ダム地権者の皆さんは、そこを動かないでしょう。

今日もあそこに地権者の皆さんが来ておられます。

私はあの方々と知り合ってまだ3年半ですが、皆さんの潔い生き方にはいつも感銘を受けています。

先祖から受け継いだ大地を守り、大いなる自然の中で静かに暮らしたい、

そして子や孫、未来にそのかけがえのない自然を引き継いでゆきたい、ただそれだけ。

それ以上でもそれ以下でもない、それ以外の何も望んではおられません。

だから、どんなにお金を積まれても気持ちは変わらないのです。

どんなに脅されてもびくともしないのです。

 

 県や市の担当者は言います。

手続きを進めるうちに反対だった人も、ほとんどのケースは理解を示して出ていくと。

それは理解ではないのです。

そこで話し合われるのは補償金額と明け渡し時期だけですから、

頑張れば頑張るほど土地の金額は下がり続け、最後は生きていくために諦めて去っていくのです。

しかし、何事にも例外は付き物です。川原の皆さんがその例外です。

地権者である川原の皆さんの口癖は、「私が死ぬまでは絶対ここにダムは造らせん」

「どうしてもダムを造るというのなら私を殺してからにしてください」と。

50年間、その思いで生きてこれらた方々です。

この先その意志が変わる確率は限りなくゼロに近いのです。

 

 ダム建設促進議員の皆さん、13軒の家が取り壊されるシーンを想像して下さい。

70人もの人々が笑顔で暮らしているその家をショベルカーで潰してしまいますか?

そのようなことができますか?

 

 私たち「石木川まもり隊」は、これまで何度もチラシ配りなどをしながら、

多くの市民と石木ダムについて意見交換してきましたが、

ダムは必要という人でも「強制収用には反対、それだけは止めてほしい」と言います。

それが普通の市民の思いです。たぶん委員の皆様も同じだと思います。

 実は中村知事さえもそうです。

 

 ここに平成22年1月、知事選直前に行った公開質問状があります。

「石木ダム建設絶対反対同盟」と「清流の会」と「石木川まもり隊」の3団体で行ったもので、

5人の候補者に出し、全員から返事を頂きました。

3番目の質問「強制収容が可能になった場合どうするか」に対し、3つの答えが用意されています。

『強制収用する』『強制収用はしない』『わからない』

当時の候補者・中村法道氏が選んだのは『強制収用しない』です。

 このように、知事も本当は強制収用に反対なのです。今は立場上それが言いにくいのでしょう。

だからこそ、知事に私たち市民の声を届けて頂きたいのです。

皆さんは、市民の代表なのですから、どうぞ、佐世保市民の思いを知事に伝えて下さい。

強制収用という手法を取らないで話し合いに徹してほしいという意見書の提出をお願いします。

 

 最後にチプコのメッセージを読んで終わりにします。

皆様はチプコ運動をご存知でしょうか?

インドの巨大ダム建設工事のため破壊される森を守ろうと広がった運動です。

その代表のバフグナさんが、1992年にモントリオール会議で語ったメッセージです。

 

私たちはチプコと呼ばれている。

チプコとはインド語で「抱きつく」という意味。

私たちは木が切られないように木に抱きつく。

木と共に切られすでに200人の仲間が死んだ。

今、あなた方の国からたくさんの人が来て、たくさんの木を切り、

たくさんのダムを造ろうとしている。

ダムができると森が沈み、私たちは生きていけない。

このようなことがおこなわれないために、私たち10万人のチプコは水に沈む覚悟をした。

よく聴いてほしい。

私たちは決して貧しくない。

私たちは豊かだ。

私たちは何も欲しくない。ダムも電気もお金も。

私たちは開発ではなく、幸せを求めている。

小さな土地と少しの水、少しの食べ物で十分なのだ。

幸せはお城の中でなく、自然の中にある。

 

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 石木川まもり隊の〇〇と申します。よろしくお願い致します。

 

 石木ダムの「事業認定申請」は、県と佐世保市によって平成21年11月9日に

国交省九州地方整備局に提出され、整備局は同年12月2日に正式に受理をしています。

 

 それに先立つ、平成21年6月30日に開かれた「水資源確保対策特別委員会」では、事業認定申請についての議論がなされました。

私も、この委員会を傍聴致しましたが、その際、当時、この委員会の委員だった山下千秋議員から

「強制収用の可能性がある事業認定を進めるべきだという委員の方は、強制収用となったらどうするのか?」という質問がありました。

当時の委員のお一人であり、現在は「石木ダム建設促進特別委員会」の委員で、今日もそちらにお座りいただいている草津議員が

「事業認定は進めていただきたいが、最悪の事態になったら断固反対する」とおっしゃいました。

また、他の委員の方がたも同じように、事業認定は、あくまでも話し合いのためのもので、

強制収用は望んでいないと、みなさん、おっしゃいました。

 

 今月15日の佐世保市議会・本会議で、山下千秋議員の一般質問に応えて、市長は

「国からの事業継続の方針に、地元の理解を得る努力を希望するとの付帯意見が付いたことは、

地元と話し合いをしなさいということだと思う。十分に話し合いをしたい。」と答えられました。 

ぜひ、そうしていただきたい。強制収用ではなく、あくまでも話し合いを行っていただきたいと思います。

 

 また、同じく今月14日の市議会本会議では、

大村議員の「人口減少に伴う都市計画について」という質問に答えて、市長は

「人口減少をさせないような政策、親子3代で暮らせるような社会にしたい」ということをおっしゃいました。

 石木ダムの建設予定地、川棚町川原地区はまさに市長がおっしゃっられたようなところです。

反対地権者は13所帯ですが、子、孫、ひ孫と3世代、4世代に亘って70人の方が暮らしておられます。

そこには、昔ながらの暖かな大家族主義とも言うべき生活が残っています。

 川棚町・川原地区は、「人口減少のない、親子3代で暮らせるような社会」をめざされる朝長市長が

まさにお手本にされるべき土地ではないかと思います。

 そのお手本にするような土地に暮らしている方がたを、強制的に立ち退かせ追い出すようなことがあってはなりません。

強制収用だけは止めて頂きたい。

 

 委員の皆さまには、資料として強制測量時の新聞記事のコピーをお渡し致しておりますが、

記事を読まれてどうお感じになったでしょうか? 

 あの暖かい人情味にあふれた、川原のかたがたの血や涙の上に建設された「石木ダム」からの水を、

どうして私たち佐世保市民が平気で使うことができるでしょうか? 

 私はうしろめたくて、とても使用できません。

 

 ぜひ、この請願を委員のかたがたお一人お一人に受け止めていただき、十分に審議をつくされ、

長崎県知事に「強制収用はすべきでない」という意見書を提出していただきたいと願っております。

  

 どうぞ、宜しくお願い致します。

 

———————————————————————————

 

 石木川まもり隊の〇〇です、よろしくお願い致します。

今日は、石木ダム建設促進特別委員会の委員の皆様に、

どうしてもこれだけはお願いしたいとの思いで来させていただきました。

 

 皆様、すでにご存知のように、先月で、強制測量から30年と言われています。

その節目の頃、いくつかのテレビ局では、川棚町川原地区で7回も行われたという強制測量のことを報道するニュースが流されていました。ご覧になった方も多いと思います。

250人もの住民の方々が140人以上もの機動隊員と対峙する映像でした。

 数珠をかけた両手を合わせるおばあちゃん、生まれ育った土地を守ろうと座り込んで抵抗する人々を強制排除する映像です。

力づくで排除される女性やお年寄り、泣き叫ぶ子供たちの姿もありました。

土地収用法に基づいて、長崎県が実施した石木ダム建設に伴う強制収用の現実の姿でした。

ある地権者の女性は「強制測量の時の記憶は体の中に染み付いてますね」とインタビューに答えられていました。

また「今でも色々な映像や記録を見たら涙が出てきますね。子供たちも泣きながら反対していましたもんね」とも言われています。

こうも言われていましたね。

『機動隊にぎゅっとつねられて排除されたアザがみんなついていた。

県に対する怒りが鬼になるんですよ。鬼になって抵抗しないとやっていけないんですよ』と…

決して声高に叫ばれるのではありません。

むしろ、静かに、「私たちはダムに一生を捧げてきた。本当に何という人生やろうかねと思うね」

と語られていたのがとても心に残りました。

 テレビでは、高田元知事がこの強制測量について、

「公共のための事業ということでそこはご理解いただいて」とお話されていました。

しかし、またこうもおっしゃっています。

「あの時は今をおいてはないという判断だった。しかし、失敗だった。失策だった」と。

当時の県の最高責任者さえもが、こう述べざるをえない状況を作ってしまったのは一体何故でしょう。

 

地元の方々は、あくまでも話し合いを求めて来られ、今もちゃんとした話し合いができることを望まれています。

「公共」の名のもとに一方的に進められてきて、そこになくてはならない住民と行政との信頼関係は30年前の強制測量で完全に断ち切られたままではないでしょうか?

 

万が一、このまま最悪の事態に立ち至った時、

委員の皆さんがどれほどの責任をお取りになる覚悟がおありになるのか。

機動隊の強制力の下にブルドーザーが家を壊し、

それまで綿々と続いてきた暮らし、生活、歴史、大切な思い、そしてもしかしたら命までを奪うかもしれない、

そんなことをぜひ想像しながら、この請願に向かい合っていただきたい。

 

そしてまた、佐世保市民の多くも、

「強制収用だけはすべきではない」という至極当然な思いを心に抱いているということを、

委員の皆様とともに確認したいと思います。

ありがとうございました。

 

 

 

 

届かなかった趣旨説明

昨日午前10:00、石木ダム建設促進特別委員会が始まりました。

私たち「石木川まもり隊」が提出した「石木ダム建設用地の強制収用反対を求める請願」についての趣旨説明をさせて頂くことになりました。

傍聴席には地権者の方々をはじめ20名以上の皆さんが集まって、無言のエールを送って下さいました。

 

私たち3人は、それぞれが思いを込めて書きあげた原稿を手に、心を込めて訴えました。

「石木ダム建設促進」の委員会であっても、そこに集まった委員であっても、

委員である前に市議である。

市民の声を聴く義務を負った市議である。

ならば、心を込めた訴えには、たとえ自分の考えと違っても耳を傾けて下さるはず…

などと期待した私たちが甘かったのか…

 

私たちの趣旨説明が終わり、さあこれから、

意地悪な質問やきつい意見が返ってくるかと準備していたのに、

誰一人質問はなく、意見もなく、無言・・・

そして、いったん閉会、15分後に再開してもう採決するのだという。

あまりにも早い。

いやな予感。

継続審議にするのか…?

 

委員会再開。

冒頭、委員長が継続の意思を確認するが皆さんNO。

討論に入る。

民主党の片渕議員がすぐに手をあげ、請願に反対の意見を述べた。

その内容のポイントは次の通り。

 

1.長崎県と佐世保市は、石木ダムの事業認定を申請しているが、これは強制収用を目的としているものではない。長年にわたって地元の一部の皆様からご理解をいただけないために、土地収用法第18条に基づいておこなったもので、事業の公益性を認めてもらうのが目的である。

2.石木ダム事業は、川棚川の治水と佐世保市の利水の、二つの大きな目的がある。26万人地域住民の安全と安心のために必要不可欠な百年の大計である。

3.事業認定庁は、公聴会で賛否両方の意見を聞き、第三者機関である社会資本整備委員会に認定の是非について意見を聴取し、民主的に公平公正な判断が下される。

4.過去の事例をみても、このような認定までの民主的な過程の手続きの中で話し合いがなされ、事業が進展した例も数多くあるので、石木ダムもそうなることを期待している。

5.強制執行を行うためには、土地収用法第39条第1項に基づく裁決の申請が必要で、現時点ではそのような手続きは行われておらず、また今後手続きを行うという考えも示されていない。

6.以上の観点から、今、強制収用について論じる段階ではないので、民主市民クラブ会派としては、本請願は不採択とすることに決した。

7.佐世保市民は長期渇水になった時、市民生活、経済活動、そして命にかかわる問題として、長く不安を持ってきた。これから佐世保市民が安心して暮らせるためには、どうしても石木ダムを作らせていただきたい。現地のみなさまには大変な御苦労とご負担をおかけして申し訳ないが、何とかこの佐世保市民の悲願である石木ダムを作らせていただきたい。

 

このような意味のことを、用意した原稿を読み上げての反対討論でした。

15分やそこらで書き上げたものではないのは明らかで、前もって準備されてたようです。

その証拠に、私たちの説明を全く無視した主張ばかりです。

まるで何も聴いていませんでしたと言わんばかり!

 

例えば、3.の中で、公聴会や社会資本整備委員会で意見を聴取し、その結果「民主的に公平公正な」判断が下されると言われたが、その前に私たちはこう述べました。

 

これから公聴会や社会資本整備審議会などで意見を聞き、公益性の有無を判断すると言われますが、それらは形式にすぎません。

なぜなら、公聴会で意見を言えるのは限られた人数で、しかも1人15分程度と制限されています。

社会資本整備審議会で審議されるのはあがってきた書類を見て、手続き上の瑕疵が無いかどうか判断するだけです。

だから、事業認定申請されたケースはほぼどれも認定されています。

ダム事業の場合、認定されなかったケースは聞いたことが無いとダム問題の専門家が言っていました。

私はデータを持っているわけではありませんので断言はできませんが、議員の皆さんには是非お調べ頂き、教えてほしいと思っています。

 

そして、この片渕委員以外は、一言の発言もせず、採決に入り、

「強制収用はしないでほしい」という請願を不採択としました。

年老いた地権者の前で。

 

すべて終わって、私たち「石木川まもり隊」の心も萎えていましたが、

傍聴者のお一人から、励ましのメールを頂き、中にはこのようなことが書かれていました。

 

諄々と説いていく内容でした。

私は、幾度か請願説明の経験がありますが、今日は粛然とした雰囲気を感じました。

不採択理由の中心は、「いまは強制収容を論議する時ではない」でした。

「強制収容」への賛否表明から逃げる態度です。

請願内容への「質問」はありませんでした。

採決では、「請願採択」への「賛成」を求める方法でした。

「不採択」なら黙っていればよいのです。

自らの態度表明を曖昧にやりすごす卑怯を許すものでした。

しかし、いずれ強制収容への賛否が問われる時期が来ます。

それは、「強制収用するなら、私を殺してからせよ」との地権者の覚悟に対する 議員の「覚悟」が求められる時です。

 

S・Yさん、ありがとうございました。

 

明日、請願の趣旨説明を行います

お知らせが遅れて申し訳ありません。

明日、私たちは、佐世保市議会で請願の趣旨説明を致します。

 

請願事項: 石木ダム建設のために、強制収用という手法を選択すべきでなく、

        あくまで話し合いによる用地取得に徹するように

        意見書を事業主体長崎県に提出されること。

        (詳しい内容はこちら→https://ishikigawa.jp/blog/cat15/586/

 

日時:    6月25日(月) 10:00〜

場所:    佐世保市役所4階 佐世保市議会「石木ダム建設促進特別委員会」委員会室

 

* 誰でも傍聴できます。

  3階の議会事務局へ9:45までにいき受付を済ませて下さい。

  強制収用だけは絶対しないでほしい!という市民の声を議会に届けましょう〜

 

 

九州地方整備局へお願いに行ってきました

石木ダム反対住民 事業認定申請取り下げ勧告を!

 

6月21日、地権者8名を含む16名で、福岡市にある、九州地方整備局を訪ねました。

とても穏やかで誠実そうな感じの事業認定調査官はじめ4名の方が対応して下さいました。

約4時間!

時折感情的になる発言にも、イヤな顔一つせず、真剣そうに耳を傾けて下さいました。

でも、それだけ。

私たちが望んだものはほとんど認めてくれませんでした。

 

1.長崎県が出している石木ダム事業認定申請を取り下げるよう勧告してほしい

    ↓

  勧告する立場にない

 

2.申請してから2年半もたっている。

  当時県が出した資料も古いし、私たちも新しいデータに基づいた意見書を出したい

        ↓

      審査に必要な資料は今後、県などに求めるが、あらたに意見書の提出は求めない

      皆さんの意見は公聴会で聴く

 

3.公聴会で十分な時間を取ってくれるのか?

  意見書を提出した80人全員に意見を述べさせてくれるのか?時間制限せずに

        ↓

       …… (無言)

 

こんな感じ。

答えにくいこと、答えられないことはすべて無言。

2で、県に新たな資料を求めると言ってくれたことは良かったけれど、

その資料を私たちに見せてほしい、それに対して意見を言いたいといくら頼んでも、

できないと言う。

なぜできないか訊くと、無言。

 

でも…

「公平・中立な立場で審査する」これだけはしっかりと大きな声で答えてくれました。

その言葉にすがる思いです。

 

以下に私たちの請願文書を貼付します。

 

 

事業認定手続を再開せず、長崎県及び佐世保市に対し、

当該申請を取り下げるよう勧告することを要請します

 

 国土交通大臣は6月11日、有識者会議の判断を踏まえ、石木ダム事業について「補助金交付を継続」とする対応方針を決定しました。あわせて長崎県に対して「石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」旨を通知しました。

2009年9月、政権交代が起き民主党連立政権が誕生しました。前原誠司国土交通大臣(当時)は、全国の143のダム事業について、「できるだけダムにたよらない治水」への政策転換を進めるとの考えに基づき「ダムの再検証」を行うため、同年12月3日、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」を設置しました。

このような中で、2009年11月9日、長崎県及び佐世保市は事業認定の申請を行いました。「申請書の公告・縦覧」「利害関係人らの意見書提出」「公聴会の請求」などの手続きを終了したところで事業認定の手続きは進行が中断し、2年半が経過しました。

新政権はダムの再検証を行おうとしており、事業認定の申請をする政治情勢ではありませんでした。それにもかかわらず、長崎県は2009年度から8年間でダム事業の完了を目標とする工程案を2008年7月に公表し、準備を進めていたことから、立ち止まることなく申請を強行しました。行き着くところに強制収用があることをひた隠しにし、「話し合いの促進のための事業認定申請」と称した、当初から問題のある事業認定申請でした。

今回の国土交通大臣の対応方針には「地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」との意見が付されており、それは地元の方々の理解を得ないまま、強権的に事業を推進しないことを求めたものです。この国土交通大臣の付帯意見を踏まえれば、土地収用法の最終目的である強制収用に向けた事業認定の手続きを再開するようなことはあってはなりません。

中断された事業認定手続きを再開することは、別紙理由書に記載する基本的な問題がありますので、その手続きを取りやめるべきです。

事業認定手続きを再開せず、長崎県及び佐世保市に対し、当該申請を取り下げるよう勧告することを要請します。

 

  

(別紙)

理 由 書

 

1.        土地収用法第17条第3項違反の疑い

本条項に、「国土交通大臣は、…事業認定申請書を受理した日から三月以内に、事業の認定に関する処分を行うように努めなければならない。」とあります。

 この規定は、いわゆる「努力規定」と言われるもので、これに違反しても事業認定に関する処分の効力になんらの消長をきたすものではない、とされています。事案によっては3か月で処分を行うのは困難な事情があることを考慮して「努力規定」とされているもので、このことには合理性が認められます。

 一般的に、行政手続に係る申請は、対立当事者は存在せず、申請者と行政庁の関係で処理されます。行政庁に一定の努力義務を課し、処分が遅滞することがないように努め、もって申請者の利益が確保されるようにすることは当然です。

 ところで、事業認定申請の前提には、起業者と土地所有者等との間に抜きがたい対立関係が存在します。法第17条第3項の適用・不適用を考えるに当たっては、一方の地権者の存在を無視し、地権者の利益をまったく考慮しない態度は許されないと考えるべきです。

 石木ダム建設事業は、正式に認可された1972年から既に40年が、その前史をも通算すると実に半世紀を超える時間が経過していますが、今なお本体着工には至っておらず、その見通しもまったくありません。ダム反対の地権者は、石木ダム建設絶対反対同盟のもとに団結し絶対反対を貫いています。

土地収用法にもとづく事業認定申請は、強権の刃を剥き出しにして地権者に襲いかかる不正義かつ反人道的な所為です。このために、以前にも増して、地権者の普通の暮らしに緊張をもたらし、目に見えない苦しみを与え続けています。それがこの2年半という長い時間でした。長崎県及び佐世保市は、そのことを知りながら、それを利用する目的で事業認定の申請を行いました。

行政手続が遅滞なく処理されなければならないのは、何も申請者の利益のためだけにあるのではありません。恫喝にも似た事業認定申請が、法第17条第3項が予定しない事情によって手続きの進行が中断したとしても、その不利益を地権者に継続して与えている状況は同条項の趣旨に照らし、もはや“違法状態”に達していると言えなくもありません。この“違法状態”は直ちに解消される必要があります。手続きの進行を再開することがあってはなりません。

 

2.        大きく変わった事実関係

2009年11月9日、長崎県及び佐世保市は共同して、事業認定庁である九州地

方整備局に土地収用法にもとづく事業認定の申請を行いました。事業認定申請書の必要的添付書類として「事業計画書」があります。この計画書1の(1)のハ)「水道用水計画」の項(17頁)によると、平成18年度現在における実績値をもとに平成29年度の給水人口や一日最大給水量を予測しています。しかし、これらの数値は、平成の大合併により吸収合併された周辺5町を含んだ数値です。石木ダムを考えるとき、合併前の旧佐世保地区で検討されるべきなのに、ここには意図的なごまかしがあります。18頁の「佐世保市の水需要と給水計画」のグラフも曖昧な数値で分かりづらく、平成29年度の過大な水需要予測をもとに石木ダムの必要性を強調するのは単に“必要神話”にすがりついているだけです。

 要するに、旧佐世保地区でみていくと、平成19年度から同23年度の実績値は一日平均配水量も一日最大配水量も減少を続け、今後とも凹凸はあるものの長期的には水需要は確実に減少していくことは今や誰の目にも明らかです。加えて、人口の減少は深刻です。九州経済調査協会が本年1月にまとめた2035年の長崎県の人口は、2010年の国勢調査結果の3割(約39万人)減と推計しています。この5年間の配水量の減少と将来の人口減少を考慮に入れていない「水道用水計画」はこの2年半の経過のなかで完全に破綻してしまいました。このことは、石木ダムは事業の公益性がない、ムダなダムだということです。

公益性がない事業のために土地を強制的に取得することはあってはなりません。この事実を無視あるいは否定して事業の認定がなされると、その処分は違法であるとされ、裁判で取り消される可能性があります。

事業認定手続きは進めるべきではありません。

 

3.        もともと無理筋の事業認定申請

長崎県及び佐世保市は、2009年9月の政権交代後、国が「できるだけダムにたよらない治水へ」の政策転換を打ち出したこと、及び補助ダムについて国としても必要性の検証を加えていこうとしていることを十分知りながら、同年11月9日、事業認定の申請を強行したという経緯があります。このときは、申請を思い止まり、国が行うダムの再検証の結果を待つべきでした。申請後、「公告・縦覧」「利害関係人の意見書提出」「公聴会の請求」と所定の手続きが進められる一方で、12月3日、第1回有識者会議が開催され、翌年秋を目標とした検討が開始されたことから、貴局は、事業認定の手続きを中断したのでした。この時点で申請者に対し、申請の撤回(取り下げ)を促しておれば、今日この問題はありませんでした。貴局の対応に問題があったと言わざるを得ません。

  今からでも遅くはありません。長崎県及び佐世保市に対し、無理筋だった事業認定申請の速やかな撤回(取り下げ)を勧告すべきです。

 

4.        付帯意見の意味するもの

6月11日、国土交通省は、石木ダムに関し、「継続」とする対応方針を決定したが、あわせて長崎県に対し「石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」旨の付帯意見を付けました。付帯意見の意味するものは、「強制収用は許されませんよ」であり、「地域の方々の理解を得る」ために「とことん話し合いなさい」ということです。

 長崎県及び佐世保市がとってきたこれまでのやり方、すなわち事業認定申請→強制収用という土地収用法の究極の強権を振りかざして脅しながら、口では「話し合いによる理解と協力を得ていく」という欺瞞的な説明、このような手法が否定されたのだと受け止めるべきです。

長崎県及び佐世保市は、現に継続中の事業認定申請をいったん取り下げた上で、「地域の方々の理解が得られるように」誠実な話し合いをしていく以外にありません。それでもなお、高い公益性があるというのならば、再度、新たな事業認定の申請をすることはできるのですから。

ひとえに貴局の賢明なる指導如何にかかっています。

 

5.        再評価委員会

平成19年度から5年目に当たる本年度は、佐世保市水道水源整備事業(石木ダム建設事業)に関する事業の「再評価」が、厚生労働省健康局長通達「水道整備事業の評価の実施について」に基づき実施されます。

 前回の平成19年度再評価委員会は、平成19年12月25日、「事業着手以来30年が経過しており、今後、進捗のないまま年を重ねるにも限度があり、どこかの時点で実現の可能性を判断し、場合によっては別の道を探る必要がある」との意見を付記した答申を行いました。この答申を受けて朝長佐世保市長は、平成20年2月21日、「これを重要な意見と捉え、今後の進捗状況を見ながら、十分な検討を行う」の文言が入った再評価の結果報告を厚生労働大臣に行いました。

であったにもかかわらず、金子長崎県知事(当時)が、平成20年7月23日、平成21年度から同28年度末まで8年間でのダム事業完了を目標とする工程案を公表していたことから、金子知事及び朝長市長はともに、石木ダム建設にのめり込んで行くようになりました。

 今年度に実施される再評価委員会の主要な論点は、水需要予測の正否に尽きます。平成19年度再評価委員会は、平成18年度までの実績値に基づいて平成29年度の水需要を予測し、ダムの必要性ありとして「事業継続」を了承しました。しかし、その後、平成19年度から同23年度までの一日平均給水量、一日最大給水量のいずれも確実に減少傾向を示しています。さらに人口減少が確実に予測されており、これらの事実をも踏まえた再評価が行われると、石木ダム建設の必要性が否定され、石木ダム建設事業の「中止」が決定される可能性は高いと考えられます。

 

以上のことを踏まえれば、貴局がとるべき道は、凍結中の事業認定手続きを前へ進めることではなく、長崎県及び佐世保市に対し、事業認定申請を取り下げるよう勧告することです。

(以上)

市民の暮らしを守るのが市長の務め

15日の佐世保市議会、一般質問を傍聴しました。

その中で山下千秋議員が、

石木ダムについて国交省の判断が出た今、今後の進め方をどのように考えているのか質したのに対し、

市長は「国に事業認定手続きを急ぐよう求める」と答えました。

 

山下:しかし国は、地域の理解を得るよう努力することを希望すると言ってるではないか。

市長:あらゆる機会をとらえて地権者と話し合う努力を続けていく。

    事業認定手続きで話し合いが促進される側面もある。その意味でも手続きを進めたい。

山下:事業認定手続きは地権者の土地を取り上げるための法的手続きであり、

    「地域の方々の理解を得る」こととは相容れない。

    福島の方々は原発事故でふる里を奪われた。帰りたくても帰れない。

    ふる里を追われた人の苦しみは福島を見ていればよくわかる。

    あなたは石木ダムの地権者からふる里を奪おうとするのか。

市長:地元の方々のふる里を思うお気持ちはよくわかる。

    しかし私は26万の佐世保市民の暮らしを守るという務めがある。

    その立場に立って考えていかざるを得ない。

(言葉は発言通りではありません。メモを基に再現したものです)

 

つまり市長は、

佐世保市民が水不足で困らないよう水源を確保する義務が私にはある、

そのためには大変申し訳ないが土地を下さいとお願いするしかない、

と言いたいのでしょう。

公共の福祉のためには個人の権利を剥奪してもいいとお考えなのでしょう。

 

でもね、市長さん、

私たち、そんなに困ってないのですが…

毎日顔を洗って、洗濯をして、トイレで流して、お茶もたっぷり飲んで、お風呂に入って…

たまに日照りが続くと、水道局員の皆さんは心配なさって節水を呼び掛けますが、

たいていは、その2〜3日後には雨がザーザー降ってきてダムの水位も回復したりして…

少なくとも、アフリカや中東や中央アジアのように、命にかかわるような水不足はありません。

私たち、今のままで十分満足してます。

市長さんは「佐世保市は慢性的な水不足で…」が十八番ですが、

平成6〜7年の大渇水の後、時間給水したことありましたっけ?

ありませんよね。減圧給水が2回だけ。

つまり、17年間一度も水が止まったことはないんです、ありがたいことに。

その上これから人口はどんどん減っていきますから、どんどん余ってきます。

そんな状況にいる私たち佐世保市民が、

どうして他の町に住んでいらっしゃる人の土地を奪ってまで水が欲しいだなんて思うでしょう?

誰もそんなこと考えてもいないので、安心して下さい。

市長さんは、父親のような大きな愛で市民のことを心配して下さっているのでしょうが、

過保護はよくありませんよ。

我が子に贅沢させるために他人に迷惑をかけるようなお父さんは、

子どもからも尊敬はされません。

 

だから、市長さん、事業認定の手続きを早く進めるよう国に求めるなんてことは止めてください。

知事さんにも、「あれは取り下げましょう」と言ってください。

そして、申請が取り下げられたら、地権者の皆さんは、お二人を信用して、

心を開いて話し合いに応じて下さるでしょう。

 

そんな市長を私たち市民は誇りに思うでしょう。

 

そうそう、ついでに言っておきますが

4年半前(2007年10〜11月)に野村総合研究所がまとめた「2040年の日本の水問題」

というレポート、読まれましたか?

要旨は次のようなものです。


人口減少による水需要減で、水道事業の収益悪化が懸念されています。

水の値上がりを防ぐための手だてが必要になります。

水をとりまく環境について世界に目を向けると、世界的な人口増加や、中国、インド等の

新興国の経済発展で、水需要はますます増えていくことが予想されています。

また近年、地球規模の気候変動の影響により世界各地で干ばつが相次ぐなど、

異常気象が与える影響も見逃せません。

水不足はテロやエネルギー資源問題と並び、深刻な問題になってきています。

一方、日本も異常気象による干ばつなどの影響はあるものの、

基本的には本格的な人口減少社会の到来に伴い、水需要は減少します。

そして、2040年には上水道の需要は現在の約半分から4分の3に減少し、

40〜80億m3/年の余剰水が発生する可能性があります。

 

やっぱり・・・

水需要が減るのは佐世保だけじゃなく、日本中ごく当然の現象なのですね。

そして、水需要が減れば、水道料金収入が減る、つまり水道局ピンチ!

水道局がピンチになると、市は一般会計から補てんしますから、市の財政もピンチ!

市の財政が苦しくなると、税金の値上げや福祉へのシワ寄せなど、市民の生活がピンチ!


 だから、

「市民の生活を守るのが市長の務め」なら、石木ダムから手を引くのが一番なのでは…?

 

国の方針は、石木ダム継続、でも・・・

今日、ついに国の方針が発表されました。

石木ダム事業に関する国土交通省の対応方針は、「継続」(補助金交付を継続)であると。

その理由は、

今後の治水対策のあり方に関する有識者会議のご意見を踏まえ、検討内容は、基本的に、

「中間とりまとめ」(※1)の共通的な考え方に沿って検討されていると認められる。

目的別の総合評価の結果が、全ての目的で現計画案(石木ダム案)が優位であり、

総合的な評価として、現計画案(石木ダム案)が優位としている検討主体の対応方針

「継続」は妥当であると考えられる。

 

99%予想通りの結果です。

驚きはありません。

ダム検証が始まって一年半、これまで県から国に報告された補助ダムの検討結果は、

100%追認ですから。

やっぱりね〜

で終わるところだったのですが・・・

 

 石木ダムについてはあわせて長崎県に「石木ダムに関しては、

事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解

が得られるよう努力することを希望する」旨を通知します。

 

との一文が付いているではありませんか!

これは重大です。

県には重く重く、受け止めてほしいです。

 

理解を得る努力なしに道路工事再開なんて考えないでくださいね。

 

理解を得るために県も佐世保市も努力してきたとおっしゃるでしょう。

これ以上どんな努力をすればいいのかと、お思いかもしれませんが、

それは簡単なことです。

事業認定申請は取り下げればいいのです。

 

理解し合うには話し合いが必要です。

地権者は、事業認定申請を取り下げれば話し合うと言っています。

「強制収用など考えていない、公聴会の場で意見を述べればいいではないか」

と、あなた方がいくら言っても、何度も県に騙されてきた地権者には通用しません。

 

信頼を取り戻して、本当に腹を割って話し合う努力をしてください。

それには、懐に隠し持っているナイフを捨てて、素手で向かい合うことしかありません。