田んぼダム

毎日新聞 2012年2月1日 新潟版の「田んぼダム」の記事をご紹介します。

「田んぼダム」ってご存知ですか?

私は初耳だったので、検索してみたら、次のように書かれていました。

たんぼからの排水量を調整し、たんぼの水位を上げて、雨水などをダムのように一時的にたんぼに貯め、水路や川の水量を急激に増やさないようにするための取り組みを「たんぼダム」と言う。

平成14年度に新潟県の旧神林村(村上市)から取組が始まり、新潟大学農学部の研究も進み、県内では近年かなり注目されているようです。

水源連のMLの中で、「環境会議・諏訪」の塩原氏は、次のようにコメントしていました。

「田んぼダム」という発想はとても大切なことだと思います。
井上ひさしさんが言っていましたが、日本では(その当時)田んぼはダムの2倍の貯水量があると。
これを有効に使えば(理論的には)ダメなどいらなくなるはずです。

では、以下が記事の本文です。

「減災」を考える:新潟・福島豪雨から半年/下   田んぼダム /新潟

◇排水制限で洪水防ぐ 道路も活用「多重防御」

既存の構造物を利用し、水害を減らしていこうとする取り組みが進んでいる。その一つが、豪雨時に田んぼから流れ出る水の量を制限して水をため、周囲への洪水被害を防ぐ「田んぼダム」だ。

田んぼダムは、元々旧神林村(現村上市)で行われていたもので、ここ数年で他の市町村にも広まってきた。県によると、現在、同ダムとなっているのは、県全体の田んぼの耕地面積の約6%にあたる9203ヘクタール。東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせた面積(100ヘクタール)の92倍に上る。

方法は、田んぼの排水口に板をつけ、すき間や板に開けた穴からの排水のみに絞るという、いたってシンプルなもの。稲への影響も少なく、「白根郷土地改良区」で、4年前から普及に取り組む河内一男理事長(69)は「誰でも簡単に取り組めるのがメリット」と話す。

新潟市南区と加茂市の一部にかかる白根郷は堤防に囲まれた低地の輪中地帯。総面積は7460ヘクタール。このうち田んぼの面積は4500ヘクタールで、排水は、通常時から、排水路を通じ近くを流れる中ノ口川へポンプでくみ出している。

ダムとなっているのは、田んぼの約62%にあたる2795ヘクタール。昨夏の豪雨時には、中ノ口川の氾濫を防ぐためにポンプが止められ、郷内で水があふれる被害が発生することが懸念されたが、最大で約1000万トンをため、緩やかに水を流すことができたという。

「これがなければ、浸水被害はさらに広まっていただろう」と同改良区の外石満計画課長(54)は分析。河内理事長は「今回豪雨の検証を踏まえ、この手法をまだ実施していない白根郷の人たちにも定着させていきたい」と意気込む。

□ □

豪雨が続いていた昨年7月29日午後5時ごろ、三条市下大浦の同市下田下水処理センター前。男性職員(33)は、目の前にある約1メートルの高さの道路が、田んぼからあふれた水をせき止めている光景を目にした。

県は今後、こうした一定の高さのある道路を補足的な堤防の「二線堤」としてとらえ、整備を進めていく方針を決めた。県の豪雨対策検討委員長を務めた金沢学院大大学院の玉井信行教授(河川計画)は「川は川、道路は道路と縦割りになっていたところを連携させたい」と話す。

東日本大震災で津波の被害を受けた仙台市沿岸部では、南北に走る有料道路「仙台東部道路」が、堤防の役割を果たし被害の拡大を防いだ。玉井教授は「役立つものがあれば活用していき、『多重防御』を図ることが重要だ」と指摘する。【畠山哲郎】

http://mainichi.jp/area/niigata/news/20120201ddlk15040056000c.html

2035年の人口 現在の7割!

1月26日、長崎新聞一面トップの記事はこれ。

九州経済調査協会(九経調)がまとめた今後の人口予測の記事です。

九州・沖縄・山口の9県中、最も減少率が高いのが長崎県で、3割も減るとの予測。

離島が日本一多い本県にとっては考えられる数字ですが、

我が佐世保市も相当減ります!

2010年実績の261,101人が、予測では2035年には192,182人になるらしい。

なんと、25年間で73.6%に減ってしまうというのです。

 

こんなに人口が減れば、水の需要もさぞかし減るに違いない。

今でさえ水増しがひど過ぎる市の予測がどれほどズレているか、チェックしてみました。

 

石木ダム計画の給水地域=旧佐世保市(佐世保地区)をみてみると、

2010年の給水人口=227,403人

2010年の一日平均給水量=72,397トン

2010年の一日最大給水量=82,244トン

であり、これを市民一人当たりに換算すると、

一人一日平均給水量=318リットル

一人一日最大給水量=362リットル

でした。

 

佐世保市の人口減少率73.6%を佐世保地区にも適用すると、

2035年の給水人口=167.369人となり、

今と同じ水の使い方(一日平均318リットル、最大でも362リットル)をしていれば、

2035年の一日平均給水量=53,223トン

2035年の一日最大給水量=60,588トン

となります。

 

長崎県も佐世保市も、

佐世保の水源は77,000トンしかなく、2017年には約117,000トンの水需要が見込まれ

40,000トン不足するから、石木ダムが必要だと言ってきました。

 

しかし、この人口予測で計算する限り、

35年には最大でも60,000トンほどあれば足りるのです。

今現在77,000トンあるのだから、十分おつりがきます

 

2017年の時点でも足りているはずですが、

仮に1000歩譲って、そのとき少し足りていなかったとしても、

その18年後にはこんなにあり余るほどの状況になるのですから、

わずかな期間のために莫大な予算を投じてダムを造るなんて、全く馬鹿げています。

 

水ではなく、国の予算が枯渇しているから、年金は減らされ、税は上げられようとしている今、

こんなムダは絶対に許されないはずです。

市民には節水を呼び掛け、当局は漏水で無駄遣いをしている〇〇〇市と全く同じ構図。

国民県民市民に負担を呼び掛ける前に、国や県や市は、まず無駄遣いは失くすべし。

議員や公務員の数の削減だけでなく、

ムダな公共事業も、どんどん削っていかなくちゃ・・ 

 

海軍の水道

 

これは、ライフさせぼ月刊情報誌「99」(ナインティナインビュー)1月号の14ページの写真と記事。

「Sasebo 時の地層」の今月号の写真は古びたマンホールでした。

『排気弁』と浮き彫りされたこの蓋は旧海軍によって造られたもので、110年以上前の物だとか。

その歴史的価値は佐世保市民としては大いに自慢したいところですが、

これら超古い施設を使い続けているがゆえに漏水率が高い佐世保市の水事情、

これはいただけません。

なんとか早急に改善してほしいものです。

ダム建設よりも前に、まず漏水を止めるべきだろう

消費税をあげる前に、議員定数削減など行政の無駄をなくすべき!と同じ論理ですね。

そう思う市民は多いと思います。

その市民の声を代弁して、この記事は書かれたように感じました。

 

また、私が共感を覚えたのは、

「ここで大胆な提案だが、この60年間に大きな断水は二度あったわけで、一世代(30年)に一度の断水は、水を大切にするという教育のために、むしろあっていいのではないか。
まずは市民も行政も海軍の水道施設に甘えず、漏水率の減少に勤めれば、石木ダムは必要ない」

というくだり。

 

私たち人間は本当に不遜な存在です。

人間だけが地球の住人であるかのように我が物顔で生きています。

あらゆる資源を使い尽くし、あらゆる自然を破壊して生きています。

その自然の源であり貴重な資源の最たるものである水、

この恩恵と威力を忘れないためにも、

たまーにおきる渇水や洪水は必要だと私も思うのです。

決して死者だけは出さないようハザードマップや救援体制の備えは万全にし、

その被害はみんなで受け止め、共に復興に努める対策はたてておく。

その上で、自然の威力は甘んじて受け止め、自然との共生をめざす、

そんな世界になればいいな・・・

と思う今日この頃です。

 

八ッ場ダム建設再開は許さない!

 

今日、八ッ場ダム建設再開に反対する抗議集会が衆議院第一議員会館大会議室で開かれ、300席が満席となったそうです。

また、それに先立ち、全国から集まったダム反対運動の仲間たちは、日比谷公園から国交省へデモ行進。

その様子がTVニュースでも放映されました。

 

「全国の公共事業反対の現場からのエールも頂いて、

八ッ場をスタートに絶対!巻き返す、との決意を新たにしました」

と、主催者のお一人は早速メールで発信して下さいました。

私たちは遠くて参加できませんでしたが、思いは同じ。

不要不急の公共事業、「ムダなダム」は一つでも多く止めたい。

その財源を震災復興、原発事故処理に充ててほしい。

八ッ場ダムも石木ダムも道は険しいけれど、

絶対あきらめない!みんなあきらめない!

そんな思いで今年も元気に歩いて行きましょう〜      

 

20年間、一度も取水していない安室ダム

 

信じられないけれど、ウソのようなホントの話です。

そのダムは20年前に完成したが、一度も取水していないという。

理由は・・人口が予測したほど増えなかったから。

その上、全く取水してないのに市や町は毎年事業費を負担してきた。

理由は・・ダムからの給水をしてないので、その料金収入が得られないため。

「当時は人口や企業誘致も成長路線で推移し、水源確保が自治体の生命線だった」

と語る町のお役人。その結果が・・・

 

以下はその記事(神戸新聞2012/01/06付)です。

佐世保市長や水道局長にも読んでほしいな〜

20年給水ゼロ、31億円負担 県営安室ダムで3市町

 兵庫県営安室(やすむろ)ダム(兵庫県上郡町)の完成から20年間、一度も取水していない相生市と赤穂市、上郡町が約31億5千万円を負担してきたことが、関係者への取材で分かった。将来の人口増を見越し、住民生活や工場操業などに必要な水を確保するためにダムの建設、運営に加わってきたが、人口は減少に転じ、既存の水源などで対応できている。3市町は2030年度までにさらに約13億8千万円を負担する見込み。

 同ダムは1975年、県が安室川の治水対策として予備調査を開始。3市町は82年当時、94年度にはダムから給水を受けるエリアの人口が約15万7千人に増えると見込み、ダムから1日2万トンを取水できるよう県に要望、利水機能が加わった。

 総事業費は約85億円。治水事業分を担う県が64%の約54億5千万円、3市町でつくる安室ダム水道用水供給企業団(事務局・上郡町)が利水事業分として36%の約30億5千万円を負担する協定を締結。利息などが加わるため、実質負担はさらに膨らんだ。

 当初は企業団が負担する事業費のうち、半分は国からの補助金を充て、10分の1を3市町からの出資金、残りは企業債を発行し徴収した水道料などで返済する計画だった。

 しかし、実際の給水人口は、85年の約13万5千人をピークに下がり続けたため、91年のダム完成後も、従来からの水源で対応できた。企業団は2002年度、ダムからの給水に伴う水道料収入が見込めないため、企業債の発行を停止。

 03年度から各市町は、住民らの税金でやりくりする一般会計で負担。相生、赤穂市は最大年約6千万円、上郡町も同約3千万円に達し、負担はこのまま30年度まで続く。

 事務局の上郡町は治水ダムとしては機能していると強調した上で、「当時は人口や企業誘致も成長路線で推移し、水源確保が自治体の生命線だった」と説明している。(小西隆久)

 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004724762.shtml

 

御用学者

流行語大賞にはノミネートされなかったけれど、昨年私は何度もこの言葉を耳にしました。

<御用学者>

初めて意識したのは、昨年3月6日の石木ダム問題の公開討論会のとき。

京都大学名誉教授の今本先生は、こう訴えられました。

「役人は国民に対して誠実であれ 学者は御用学者になるな」と。

 

意識してみると、ダム問題だけでなく、原発問題や諫早湾の開門問題でも、

その存在をいたるところに感じました。

でも、私自身はその具体的な実態を知らなかったので、

心のどこかで、科学者の良心を信じたいと思う気持ちもありました。

 

しかし、この記事を読んで、そんな気持ちは吹き飛んでしまいました。

http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-4659.html

 

「御用学者」というオイシイ商売
(日刊ゲンダイ2012/1/4)

八ツ場ダム建設再開でもイイ思い

原子力安全委員会の委員24人が5年間で8500万円もの寄付金を
原子力関係の企業・団体から受け取っていたことが明らかになったが、
御用学者がオイシイ思いをしているのは、何も原子力ムラに限った話ではない。

政府の委員として取り込まれ、政府に都合のいい発言をする。
いや、発言をしなくとも役所側のシナリオを邪魔しないように黙っている。
そうすれば、オイシイ生活が待っている。それがこの国の御用学者だ。

昨年末に本体工事の再開が決まった八ツ場ダムでも
「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」なんてのが開かれていて、
御用学者が集まっていたが、この仕事もおいしかった。
1回2時間ほどの会議を21回開き、「事業継続が妥当」との結論を出したのだが、
会議出席の謝礼は21回分で合計265万5810円。
1人当たりの時給は7333〜8910円になる。
調査した八ツ場ダムの地元・群馬選出の三宅雪子衆院議員は
「法外な金額で驚いている。交通費にしては高すぎる」と言っていたが、その通りだ。

こうした御用学者たちが「ダム建設凍結」をひっくり返したことで大喜びなのは
“土建ムラ”である。
「八ツ場ダムの建設予定地はもともと軟弱な地盤で、工事費が膨らむのは確実。
本体ができても、水漏れを起こす可能性があり、ダムに水がたまらないのではないか
とまでいわれています。補修工事も必要になり、予想以上に工事費がかかる。
その額は1兆円を超えるとの予想もあります」
難工事になれば工事費は膨張し、土建業者が潤う。

“見返り”がないとは言わせない。
「自分の研究室の卒業生が、これからも就職先として土建業界に行くわけですから、
御用学者は企業に頭が上がりません。さらに研究費として寄付をもらったり、
政府の外郭団体から補助金も受け取っています」(横田一氏)

  

チェンジ!

2012年の幕開けです。

今年は石木ダムにとって節目の年になるだろう、

少なくとも何らかの変化が現れるだろうと言われています。

 

まもなく有識者会議のまな板に乗せられ、その後示される国交省の「検証結果」、

それを受けて動き出す事業認定問題。

右か左か、前か後ろかはわかりませんが、必ずボールは動きだす。

八ッ場ダムの結果をみれば、石木ダムも事業継続の方向へ動き出すことはほぼ確実でしょう。

現政権には、2年数か月前に掲げた目標も理想も残ってはいないようです。

「コンクリートから人へ」ではなく、今や、「人からコンクリート」を目指す政策集団にチェンジしたかのよう。

 

しかし、昨年、大自然の脅威を見せつけられた私たち国民はコンクリート文明の脆さを痛感しました。

政府や県の官僚や政治屋にはもう期待できない・・となれば、

私たち自身が声をあげ、私たちの生きる環境を守り、政策を変えるしかありません。

今年も皆さんと共に、微力を尽くしたい。

 

真の文明は、

山を荒さず、

海を荒さず、

人を殺さざるべし      (田中正造)

 

 

アーサー・ビナードさんが語る ダムの利権構造

吉田照美ソコダイジナトコ

 

12月22日の文化放送「吉田照美 ソコダイジナトコ」に出演したアーサー・ビナードさん。

(アメリカ生まれの日本語詩人。絵本やエッセイも。講演もおもしろい)

八ッ場ダムを作れば東電に税金が流れる仕組みがあることを説明しました。

 

首都圏の人にとってはビックリ仰天、まさに「ソコダイジナトコ!」なのでしょうが、

それだけでなく、全国のダム問題に共通するお話がいっぱいあって、

もちろん、石木ダムともそっくりな誤魔化しがいっぱいあって、

興味深く聴きました。

正味15分ほど。お暇なときに聴いてみては?

 

一部抜粋すると・・・

 

政治家を変えればちょっとよくなるかなーってチェンジがちょっと来るかなーと思ったら、政治家が実権を握ってるんじゃなくて官僚が実権握ってて

結局政治家を替えても全然意味なくて、政治家が小物になると、より操りやすいやつになって

結局誰も責任取らない、誰も決断しない。つまり今、永田町にいる、その、議員たちは議員じゃない、政治家じゃないってことですね

(あのダム検証は)科学的裏付けが不十分じゃなくて、科学的裏付けがゼロで、しかもでっち上げたものと比べてるだけ何ですよね。

(首都圏の水需要はずうーっと減少している)データがあって、誰が見ても分かりやすいデーターなんだけど(それは無視して)今後その水が足りなくなるから利水目的でこれは絶対必要だ、といっている

それから八ッ場ダムを肯定するために代替案を出してくるんだけれども、その代替案は静岡県の冨士川から東京に水をひいてくるっていう・・
もう荒唐無稽もいいところの、そういう計画をでっちあげておいて。それで比較して、あ、八ッ場のほうがいいじゃん、安上がりですよねー、っとかいうそういう結論(笑)

そもそも新たな治水、利水対策が必要なの? むしろその美しい川を殺さないことが必要なんだよ。今、本体工事まだやってないから

アメリカは昔、僕が生まれる前ですけどねえ。あのー大恐慌っていうのがあって。1929年に。ウォール街、うわあって。ズドーンと落ちて。でそこからダムの巨大な利権構造が創り上げられて。どんどんどんどんダムやってたんだけど。あのー、まあ、その、利権構造の作り方、その、インチキ資本主義のからくりの回し方が似てる、っていうかダムが一応原型なんだよね

で、ダムで作った原型を、核兵器で使って、原発で使って。で、だからまあアメリカは軍産複合体っていうより巨大な利権構造が出来たから、別にダム、やんなくてもいいって。だからいま、逆にダムを壊す仕事で、あの、ゼネコンちょっと儲けさせてるような感じなんだよね

 

ダムの利権構造はアメリカからの輸入品だったのか…?  

 

八ッ場ダム2012年度予算 135億円

今日、平成24年度予算案が閣議決定された。

八ッ場ダムは本体関連工事費が18億円、その他の事業費が117億円の計135億円

前田国交相は記者会見で「効果的な事業であることが検証されたので予算化した」と語った。

どこが?どこが効果的な事業なのか?

治水面でも利水面でも必要性は皆無。

それだけでなく災害誘発の危険性も高いとして、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」から公開討論会を何度ももちかけられたが、すべて拒否。

それは、ダム建設の正当性が説明できなかったからだろう。

国交相のダム事業検証とは、所詮その程度の形ばかりのものだった。

有識者会議もお飾りに過ぎなかった。

 

安住淳財務相は、国債発行に依存した予算編成が「そろそろ限界に来た」として、「消費税率引き上げをぜひやらせていただきたい」と、記者会見で語っていたが、こんなムダな事業予算が切れないようなら、いつまでたっても赤字財政は変わらないだろう。

政治の無力のツケを国民にシワ寄せしないでもらいたい!

群馬選出の民主党の中島政希衆院議員は、八ツ場ダム建設再開は2009年の衆院選の「政権公約に明白に違反し、国民の信頼を裏切るもの。到底容認できるものではない」と述べ、これに抗議しての離党を表明した。

民主党の中もいろいろだ。

 

長崎県内の民主党議員の多くが、八ッ場ダム建設再開の知らせを朗報として受け止めただろう。

次は石木ダムにgoサインを出してくれと、期待に胸を躍らせているだろう。

しかし、そうは問屋がおろしません!

 

政権与党議員とは国民の声ではなく官僚の声に耳を傾けるものであり、

公共事業とは国民のためではなく利権のために行われるものであり、

有識者会議とは忌々しき御用学者の集まりであると、

鈍い私たちでも悟ってきた今、

もう、国交省の結論など全く期待していない。

この期に及んでも尚、八ッ場ダム建設の行方を見つめ続ける科学者がいる。

 こうした形で建設再開の方針が表明されたからと言って、私たち「科学者の会」が、これで八ッ場ダム問題と縁が切れるというわけではありません。これから私たちにはしなければならないさまざまな仕事が残されています。一つは事業が進む中で、すべての局面の監視と提言です。事業は必ず失敗するはずですから、その失敗をできるだけ未然に防ぐ手立てを講じなければなりません。
 たとえ本体着工に至り、また本体が完成したとしても、私たちはそれを続けるつもりです。そして八ッ場ダム事業の失敗が国民の誰の目にも明らかになった時、それはダム撤去へと向かうことになるはずです。私たちはその時まで、八ッ場ダムと関わり続けるつもりです。

また、市民団体「八ツ場あしたの会」は23日、前田武志国土交通相への抗議声明を発表した。

 今回の政府による決定は、官僚の暴走、政治の無力を私たち国民に強く印象づけるものでした。八ッ場あしたの会では、こうした状況を踏まえ、今後起こることが予想される様々な深刻な問題の追及に努め、さらに多くの人々に八ッ場ダム問題を伝え、八ッ場ダム事業の中止をめざす活動を続けていく所存です。 

私たちの思いも同じだ。同じ思いで石木ダムを見つめている。

私たちはもう官僚や政治家には期待しない。

私たちはただ真実を、市民県民に伝え、理解を広げ、民の力で石木川を守りたい!

 

八ッ場ダム 建設再開への抗議

前田武志国土交通相は今日午後の記者会見で、八ッ場ダム(群馬県)の本体工事経費を12年度予算案に計上し、建設を再開すると表明しました。

八ッ場ダムの建設中止は民主党が2009年衆院選マニフェストに明記した重要課題。

沖縄の基地移転問題の時同様、またも国民を裏切るのか。

期待を持たせて、挙句の果てに騙し打ちするのか…と言いたくなります。

 

この状況に対し、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」が即座に、以下のような抗議声明を発表しました。

2011年12月22日

国土交通大臣 前田武志様

     八ッ場ダム本体工事費の予算案計上に関する抗議声明

今般、前田武志国土交通大臣が八ッ場ダム本体工事費の予算案計上を表明したことに対し、私たち「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は、強い憤りを覚え、これに厳しく抗議するものです。

八ッ場ダム建設の根拠はすでに破綻しています。利水における水需要の減少、治水におけるダムの効果の過大評価、さらに災害誘発の危険性についての検証の不徹底など、私たちが提起した問題に、国交省側はまったく答えることができませんでした。二度にわたる有識者会議の公開討論会への参加拒否がそれを雄弁に物語っています。

1995年のダム事業等審議委員会における議論、1997年の河川法改正、2001年から始まった淀川水系流域委員会の活動を経て、日本の河川行政はダムに頼らない治水対策へと大きく方向転換する兆しが見え始めました。その動きの中で、事業に着手して以来、半世紀近くが経ち、多くの費用を投入した八ッ場ダムが事業の継続か中止か、いずれに決するかは、きわめて象徴的な意味を持っていたと言えます。そこに2009年、民主党政権が誕生し、新しい政治が始まるという予兆を感じさせて、私たちはダム問題も新たな方向が目指されるであろうことを確信して期待したのです。

当初、民主党政権は「コンクリートから人へ」を政策の根本に据え、ダム問題に限らず、公共事業全体を大転換させていくことを宣言しました。当時の前原誠司国土交通大臣が八ッ場ダム中止を言明した時、私たちはダム時代の終焉を予感したものです。しかしそうした期待はすぐに裏切られ、ダム行政の実権は徐々に政治家から官僚へと移っていきました。その結果がこの度の八ッ場ダム本体工事費の予算案計上になったと言えると思います。

冒頭に述べたように、八ッ場ダム建設の科学的根拠はすでに破綻しています。破綻した根拠によって、ダム事業を進める政策をとろうというのですから、この政策は必ず失敗します。もろもろの局面でその失敗が明らかになった時、いったい国交省はその責任を誰がどのようにとるのか、それを国民にはっきりさせるべきです。これまで日本の行政は、そうした責任のとり方がきわめて曖昧でした。

さて、こうした形で建設再開の方針が表明されたからと言って、私たち「科学者の会」が、これで八ッ場ダム問題と縁が切れるというわけではありません。これから私たちにはしなければならないさまざまな仕事が残されています。一つは事業が進む中で、すべての局面の監視と提言です。事業は必ず失敗するはずですから、その失敗をできるだけ未然に防ぐ手立てを講じなければなりません。

たとえ本体着工に至り、また本体が完成したとしても、私たちはそれを続けるつもりです。そして八ッ場ダム事業の失敗が国民の誰の目にも明らかになった時、それはダム撤去へと向かうことになるはずです。私たちはその時まで、八ッ場ダムと関わり続けるつもりです。

若山牧水が100年近く前に、土地の有志家でも群馬県の当局者でも誰でもいい、どうかこの美しい吾妻渓谷の永久の愛護者になってほしい、と願ったその群馬県の当局者が、国と関係都県と共に吾妻渓谷の破壊者になってしまうことを、私たちは心から憂慮するものです。そして、八ッ場ダム本体工事によって、吾妻渓谷の美観が次の世代の人たちに渡せなくなることに怒りを覚えざるをえません。

以上、憤りと悔恨をもって、この度の予算案計上に抗議します。

「ダム検証のあり方を問う科学者の会」

呼びかけ人:

今本博健(京都大学名誉教授)(代表)

川村晃生(慶応大学教授) (代表)

宇沢弘文(東京大学名誉教授)

牛山積(早稲田大学名誉教授)

大熊孝(新潟大学名誉教授)

奥西一夫(京都大学名誉教授)

関良基(拓殖大学准教授)(事務局)

冨永靖徳(お茶の水女子大学名誉教授)

西薗大実(群馬大学教授)

原科幸彦(東京工業大学教授)

湯浅欽史(元都立大学教授)

賛同者 127名