座り込みいつまで…

「座り込みいつまで」6度目の工期延長、続く緊迫

(西日本新聞2021/6/30 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/762815/

石木ダム・リポート ―6月29日―

山の緑にセミの鳴き声が響く。長崎県川棚町の石木ダム建設現場には29日午後、赤い文字の横断幕が風に翻っていた。「工事強行より話し合いが先だ」。住民らは横断幕を県が設置している監視カメラに写るように掲げ、静かに抗議の意思を示した。

住民が中村法道知事との話し合いのための事前協議の前提として、「中断」を求めていた県道付け替え工事。県は28日、6月末に迫っていた工期を9月末に延長した。工期延長は6度目。少なくともあと3カ月は、県は工事を進め、住民らは座り込むという緊迫した状況が続くことになる。

住民の岩下すみ子さん(72)は「またかとがっくりする」と落胆。「(工事が中断すれば)数年ぶりに旅行に行こう」。住民間で話していたが、淡い期待ははかなく消えた。「毎日座り込むのも体力的に大変。いつまで続くんかね」

29日も現場では、山の掘削や土砂の運搬など、県道付け替え工事が進んだ。一方、「ダム本体工事」として予算が計上されている堤体両端の上部を掘削する工事は着工していない。県は「(着工しないのは)住民への配慮」と説明する。

住民の岩本宏之さん(76)は「理解を得ることなく工事を進めておいて、いまさら何が配慮か」と憤った。着工していないはずの「本体工事」の工期も9月末までの延長が決まっている。(岩佐遼介)

 

長崎県、石木ダム本体の掘削工期延長 9月末まで 

(長崎新聞2021/6/29 11:13)  https://nordot.app/782430433873870848?c=39546741839462401

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は28日、6月末までとしていたダム本体の掘削工事などの工期を9月末まで3カ月間延長したと明らかにした。施工業者と同日、変更契約を結んだ。

県は水没予定地に暮らす13世帯の反対住民との話し合いを模索する中で本体工事を見合わせており、工期延長は2回目。県道付け替え道路工事の盛り土などは住民らの抗議の座り込みで予定通りに進まず、6回目の延長となった。
県は中村法道知事との対話を実現しようと反対住民に条件面を詰める事前協議を提案しているが、住民側は工事の即時中断を求めており調整が難航している。

 

長崎県が石木ダムの工期を9月末まで延長

(テレビ長崎2021年6月29日 火曜 午前11:45) https://www.fnn.jp/articles/-/202663

東彼杵郡・川棚町に計画されている石木ダムについて、長崎県は28日、業者との契約を変更し、本体工事と付け替え道路の工期を9月末までに延長しました。

東彼・川棚町では、石木ダムの建設に伴って、水没する県道の代わりとなる付け替え道路の工事が進められています。

工期が6月末に迫る中、現地では建設に反対する地元住民が抗議の座り込みを続けていて、約40メートルの区間が手付かずのままです。

長崎県は28日、業者との契約を変更し、付け替え道路の工事を9月末まで延長しました。

あわせて本体工事についても、住民との話し合いの調整が難航していることなどから、工期を3カ月延長しています。

付け替え道路の工期延長はこれで6回目で、本体工事の延長は2回目です。

今後の工事の進め方について、長崎県の河川課は「話し合いや、協議の状況を踏まえて判断していきたい」としています。

県道付替工事、9月末まで工期延長

石木ダムの県道付け替え工事 9月末まで工期延長 長崎県

https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210628/5030011851.html

長崎県は、川棚町に建設を進める石木ダムの本体工事とダム建設に必要な県道の付け替え工事について、建設業者と締結していた契約を変更し工期を9月末までに3か月間延長しました。

長崎県が川棚町に建設を進める石木ダムをめぐっては、県がすでに建設に必要なすべての用地の収用を終え、家屋の撤去などを伴う行政代執行の手続きに入れるようになっていて、現地ではダム建設に必要な県道の付け替え工事が進められています。

また県は、中村知事と建設に反対する地元住民との直接の話し合いに向けて、具体的な条件を確認するための事前協議の場を設けるよう提案していますが、住民側はその前提として工事を即時中断するよう求めていて、両者の事前協議は見通しが立っていません。

こうした中、県は今月末までに事前協議などを行ったうえで、事態を進展させるのは難しいと判断し、ダムの本体工事と県道の付け替え工事について、28日建設業者と締結していた契約を変更し、今月末までとしていた工期を9月末までに3か月間延長しました。

県河川課は、当初、昨年度内に予定していた本体工事の着工時期について「地元住民との協議の状況も含めて総合的に判断したい」としています。

本体工事の工期延長は、これで2回目、県道の付け替え工事の工期延長はこれで6回目になります。

長崎県、石木ダム本体の掘削工期延長 9月末まで

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は28日、6月末までとしていたダム本体の掘削工事などの工期を9月末まで3カ月間延長したと明らかにした。施工業者と同日、変更契約を結んだ。
県は水没予定地に暮らす13世帯の反対住民との話し合いを模索する中で本体工事を見合わせており、工期延長は2回目。県道付け替え道路工事の盛り土などは住民らの抗議の座り込みで予定通りに進まず、6回目の延長となった。
県は中村法道知事との対話を実現しようと反対住民に条件面を詰める事前協議を提案しているが、住民側は工事の即時中断を求めており調整が難航している。

3分ドキュメンタリー石木川のほとり 第3弾

笑顔の写真家・村山嘉昭さんの3分ドキュメンタリーの第3弾です。

川原住民の1人、ほーちゃんにズームイン!
動画の下に書かれている村山さんのコメントも是非お読みください。

また、今回、村山さんは、ひがしそのぎの情報サイト『くじらの髭』にも登場!
こちらも必見です。
https://kujiranohige.com/person/2438

笑顔の写真家

昨日お知らせしたNCCカメラマンリポート「笑顔の写真家~石木川のほとりで」は、大好評でした。見逃した方は・・・こちらで見ることができます。

「笑顔の写真家」という代名詞がぴったりの写真家、村山嘉昭さん!

と言っても、村山さんがいつも笑顔とか、村山さんの笑顔が特に素敵!とか、そういう意味ではありません。

村山さんがカメラを向けると、不思議なことに、誰でもみんな笑顔になってしまうという意味・・・だから村山さんが撮った写真はいつも笑顔が溢れています。

子どもたちも、

お年寄りも、

世代を問わず、なぜかみんなとびきりの笑顔になってしまいます。

苦労の多い石木川のほとりの住人たちですが、実はいつも笑っている素敵な人たちなのです。村山さんの写真から、それが多くの人に伝わることでしょう。

村山さんご自身のブログはこちらです。

地元メディアが取り上げてくれました

 

今日夕方のNCCニュース見てね!

長崎県にお住まいの皆さんへ、緊急のお知らせです。

ここ数年、時々ふらりと現れては、こうばるの人々の暮らしや風景をカメラにおさめている写真家・村山嘉昭さんについて、今日の夕方の報道番組の中で紹介されます。

NCC長崎文化放送(5チャンネル)
NCCスーパーJチャンネル長崎 18:15~のローカルニュースです。
県外の方は見られなくて、ごめんなさい。

先日、このブログでもお伝えした「ドキュメンタリー:石木川のほとり」この撮影のとき、NCCの記者さんが同行し、こうばるの人や生きものにフォーカスする村山さんをフォーカスしていましたが、その取材の成果が見られます。

乞うご期待!

回答は全てコピペ?

佐世保市民のSさん(女性)が、最近知事宛にメールで意見を送ったところ、
こんな返信が届きましたよ~と転送してくださいました。

これがSさんの意見への返信?
全然返事になっていないし、内容がズレている。
しかも、何か見覚えがある文面だなぁ・・と思い、探してみると、
それは、Mさん(男性)が、4月に知事宛に送ったメールへの返信と全く同じものでした。

4月Mさんが送った意見の内容は、こちらです。
1.強硬なやり方の工事はストップすべきだ。
2.時代錯誤な非民主的な工事を行っても、国内外から長崎県が非難されるだけだ。
3.ダムに頼らない治水、利水の方策を考えてほしい。

6月Sさんが送った意見の内容は、こちらです。
1.川原の皆さんは、県が工事を中断した上で、知事と話し合いたいと望まれている。
2.知事は長崎県の代表として、キチンと話し合いをしてほしい。
3.川原の皆さんが長い間大変ない思いをされているのを理解すべきだ。

2つの意見の趣旨は明らかに異なっています。
Mさんは、県の強権的なやり方を批判し、政策の見直しを求めていて、
Sさんは、知事と川原住民との話し合いの実現を求めています。

その趣旨の異なる意見書(メ―ル)に届いた同一の返信はこちらです。

—–Original Message—–

〇〇 様

県政の推進について、日頃から格別のご理解とご協力をいただきお礼申し
上げます。
この度は、「石木ダム建設事業」に関するご提案をお寄せいただきありがと
うございました。
ご提案については、以下のとおり担当課長から説明させていただきます。
これからも、県政に関するご提案をお寄せくださるようお願いいたします。

令和3年4月8日
長崎県知事 中村 法道

この度は、貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
お問い合わせのありました「石木ダム建設事業」について、本県の考えを
説明させていただきます。
石木ダムは、川棚川の洪水被害の軽減と佐世保市の安定的な水源の確保を
目的として、昭和50年度から事業に着手しております。
川棚町は、戦後4回も大雨による洪水被害に見舞われており、このうち、
平成2年7月の梅雨前線豪雨では、床上・床下浸水合わせて384戸の甚大な
被害が発生しました。こうした状況を踏まえ、川棚川では、河川改修とダム
建設により、概ね100年に一度の雨による洪水に備える計画としております。
また、佐世保市は、安定して取水できる水源に乏しいことから、昭和50年
以降、断水や減圧給水を伴う給水制限を4度にわたり実施しているなど、渇
水の危機に瀕する事態が度々起こっており、渇水による市民生活等への大き
な影響が出ないようにするため、石木ダムの建設により日量4万トンの水源
を確保する計画となっております。
現在においても、移転対象となる家屋のうち約2割の皆さまには、ご協力
いただけておりませんが、一方で、約8割の皆さまには、ダム建設を前提に、
用地のご提供という形でご協力いただいております。
地形的な特徴から急流河川が多い本県は、過去に長崎大水害や諫早大水害
といった水害に見舞われてきた一方、昭和40年代の長崎砂漠とよばれた渇
水や平成6、7年の大渇水など、多くの自然災害を経験してきました。
こうした経験を持つ本県としては、地域にお住まいの皆さま方の安全・安
心の確保が行政の責務であると考え、石木ダムの早期完成に向け事業を進め
ているものでありますので、ご理解いただきますようお願いいたします。

長崎県河川課長 松本 憲明

お2人とも、
長崎県知事への提案窓口に投稿されました。
http://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/kenseijoho/goiken-gosodanmadoguchi/kocho/teian/

そこには、「人が輝き、集い、活気のある長崎県をつくるため、皆様お一人おひとりの思いを地域づくりに生かしていきたいと思っております」と書かれています。

でもそれは口先だけ。
実際は、知事が読むことはなく、
それどころか、河川課長さえ目を通すことはなく、
担当職員が単なる事務作業として、
投稿者に同じメールをコピペして返信しているのでしょうか・・

Sさんは佐世保市長にもメッセージを送ったそうですが、
窓口=佐世保市長への手紙
https://www.city.sasebo.lg.jp/soumu/hishok/tegami.html

佐世保市からは返信さえ届かないそうです。。

『話し合い』をめぐる4つの文書

5月下旬から約1ヶ月、知事と住民との『話し合い』に注目が集まりました。

数年前から、どちらも相手と「話し合いたい」と言い続けているのに、何故か実現しない、不思議な膠着状態に陥っていました。ところが、ここにきて、ようやく県の方から正式な申し入れがあり、いよいよか?とマスコミの記者さん達は取材に大忙し。新聞・テレビのニュースで度々報道されました。

が、ひと月経っても、まだ『話し合い』の目途はたっていません。
それは何故か?
県と住民の間で交わされた4つの文書をよく読めば、その理由は見えてきます。

1つ目の文書がこちら。5月21日付、「長崎県土木部」から「川原地区にお住いの13世帯の皆様」へ宛てたものです。

これは、知事と住民との話し合いを実現させるための事前協議の申し入れですが、
書かれていることを要点整理すると、

①皆様に心労をおかけしていて心苦しい
②石木ダムは喫緊に必要不可欠の事業である
➂事業推進、生活再建、工事の進め方について話を聞いてほしい
➃6月上旬、川棚町中央公民館で行いたい
⑤互いに5名程度集まってやりたい
⑥6月4日までに石木ダム建設事務所長まで連絡してほしい

ということです。
「心苦しい」と言いながら、自分達の主張を聴いてほしい。
そのための話し合いだと言う。あまりにも一方的な内容ですね。
話し合いというのは、双方に、相手の話にも耳を傾ける気持ちがなければ成り立ちません。自分たちの言いたいことだけ聞いてくれと言われて、誰が応じるでしょう?

そこで、2つ目の文書です。6月4日付、「石木ダム建設絶対反対同盟」(13世帯)から「長崎県知事」に宛てたもの。

こちらも要点整理すると、

①私たちは工事を中断すれば、いつでも話し合いに応じる
②そのことは土木部長にも河川課長にも伝えていたが工事は強行されてきた
➂今回の事前協議を求める文書提出後も、新たな工事が強行された
➃知事が本当に話し合いを望むなら、工事を即時中断し、話し合いのできる環境を作ってほしい

ということでした。
土木部からきた文書への返事を、土木部にではなく知事に郵送したことに住民の意思が現れています。

話し合い実現のための事前協議をしましょうと言いながら、新たな工事を強行した土木部。工事中断が話し合いの条件だと分かっていながら、中断しないどころか、新たな工事を始めた土木部。それは、「どうぞ事前協議は断ってください」という意思表示以外のなにものでもない。

そんな言行不一致の土木部とは交渉などできない。ということで、知事に直接返信されたのです。

さて、知事からどんな返事が来るか・・・私たちも期待していましたが、届いた文書の差出人は、またもや土木部!

その3つ目の文書がこちらです。

今回の要点は、

①工事中断等の条件整備の考え方などについて聞きたい
②6月19日午後2時~川棚町中央公民館講堂にて
➂6月16日までに石木ダム建設事務所長まで連絡してほしい

やっと住民の意向を聞きたいとの言葉が出てきましたが、工事中断の意思があるのか無いのか何も書かれてはいません。そこで、住民の方は16日、現場にやって来た石木ダム建設事務所長に確認をしたところ、事前協議に指定した日時にも工事は続けるとのことでした。

そこで、4つ目の文書(6月17日付)が、再び知事宛に送られました。

ここに書かれてあることは、まさに直訴そのものです。

①知事の本当の考えが知りたい
②知事と穏やかな環境の中で話し合いたい
➂話し合い実現のため工事を即時中断してほしい

この文書を受け取っても知事が動かないとしたら、知事の「13世帯と話し合いたい」という言葉は建前?それとも嘘?本心ではないということでしょう。

本気で話し合いたいのなら、土木部を介さず、ご自身でアプローチすればいいのです。
昔から賢明なお殿様は、自ら城を出てお忍びで領地を周り、自分の目で領民の暮らしを確かめていたようです。

長崎県政にも、空港建設のため箕島へ日参して、島民と語り合った久保知事の例もあります。

中村知事、そろそろ貴方の本気を見せてください。
工事を中断するくらい、貴方の一声で可能なのですから。
貴方が本当に話し合いを望むのなら。

3つの『声』

これは6月18日付、長崎新聞『声』欄に掲載された投稿記事です。

石木ダム事業について、「容認派と反対派の専門家を公開で議論させ、県民の判断を求めてはどうか」と提言し、さらに、
そのためには「工事をいったん中止」することを県に提案しておられます。

投稿されたのは、京都大学名誉教授の今本博健氏。河川工学の専門家です。
今本先生は、この提案の前に、2つの投稿記事に対するご自身の見解を述べられています。その2つの記事とはこちらです。

5月21日付、石木ダム建設予定地のある川棚町にお住いの医師の方からの投稿です。

6月10日付、石木ダム建設事業者である長崎県の河川課長からの投稿(お答え)です。

私はどちらの記事も掲載された日に読んでいましたが、
河川課長の「お答え」を読んだ時は、なんだか国会における政府答弁を聞いているような、モヤモヤした気分になりました。

川棚町民として石木ダムに深い関心を持っている方の、素朴で的を射た疑問に対し、河川課長は肝心なことは答えず、石木ダムの必要性を強調しています。

羽田野氏の声
・石木川と川棚川の水量の差にびっくり!
・こんなに水量の少ない石木川にダムを造っても、川棚川の治水効果は小さいのでは?
・それなら川棚川の堤防を嵩上げした方が、治水効果も経済効果も大きいのでは?
・専門家のご意見を伺いたい

河川課長の声(お答え)
・計画以上の大雨が降ると、堤防の嵩上げした分、被害が大きくなる。
・大雨の時、ダムは川に流す水の量を調節できるので洪水被害を軽減する。
・川棚川の治水対策としては、石木ダムと河川改修の組み合わせが経済的にも有効。
・気候変動で自然災害が増えている。一日も早く石木ダムを完成させねば・・。

このように要点をまとめてみると、河川課長の「お答え」がいかに不誠実な答えであるかがよくわかります。

・羽田野氏の疑問(川棚川と石木川の水量の差、石木ダムの治水効果、堤防の嵩上げとの比較など)について、正面から答えていない。
・「計画以上の大雨」が降った場合の堤防嵩上げの被害を述べながら、ダムの場合は「大雨の時」のことしか述べていない。ダムも「計画以上の大雨」が降れば大きなリスクを伴う。ダムからの放流により何人もの命が奪われた事例さえあるのに。

そもそも羽田野氏は「専門家」の意見を聞きたいと書かれていました。
事業者である県に回答を求めていたわけではありません。
県の主張は、広報誌や石木ダム建設事務所が発行している「水のわ」で、川棚町民は熟知しておられるはずです。

そう思っていたところに、まさに専門家の方からの投稿が掲載され、びっくりしました。
投稿された今本先生は河川工学の専門家として有名な方です。

今本先生の声
・嵩上げは決壊した場合の被害が大きいが、補強すれば避けることができる。
・ダムは計画を超える雨には役に立たず、地域社会や自然環境を破壊する。
・川棚川水系の治水計画は30年に1度が妥当であり、ダムは不要。
・県は容認派と反対派の専門家を公開で議論させ、県民の判断を求めては?

ということで、今本先生も石木ダムは不要とのお考えですが、ここでは不要と決めつけるのではなく、議論することを提案されました。

それはとても大事なことだし、実現されることを私も願っています。

なぜなら、羽田野氏のように石木ダムについて、いろいろ疑問を持っている川棚町民、佐世保市民、長崎県民も多いはず。
事業費を負担する県民の理解は何より大切です。
地元住民はもちろん、それ以外の県民の理解も得るためにも、公開の場での専門家の議論は必要です。
専門家の方には、なるべく素人にもわかるような説明をお願いして・・・

政策は合意のもとに進められるべきものです。
公共事業とは名ばかりで、住民や県民が望まない公共事業なら、それは見直されるべきです。
そのような事業に税金を注ぎ込めるほど長崎県の財政は豊かではありません。

振り返ってみると、私たちは河川課の方からの説明(石木ダムの必要性)はたくさん聴いてきましたが、専門家による石木ダムの必要論を直接聴いたことがありません。
専門家といえば、不要論ばかりでした。
もしかしたら、私たちの情報も偏っているかもしれませんね。
石木ダムが必要という専門家の説明を聞けば納得できるかも?

ですから、県は県民の理解を得るために、ぜひ、専門家によるダムの必要性についての討論会を開いてください!

石木ダム工事差止訴訟控訴審、結審

6月18日 雨の中の門前集会。石木ダム訴訟では初めてのことです。

皆、片手に傘、もう片方の手には横断幕やメッセージボード。
傘を打つ雨音に邪魔されながらも、石丸さん(こうばる住民)や弁護団長の話に耳を傾けていました。

石丸さん:前回同様、今日も地元からやってきたのは私だけです。いま私たちは月曜日から土曜日まで毎日、工事現場で抗議の座り込みをやっているので、現場を離れることができません。そういうわけで、大事な裁判に今回も私1人しか来られませんでした。福岡の方には毎回たくさん集まっていただき、本当に感謝しています。今後ともよろしくお願いいたします。

馬奈木弁護団長:私はもう50年ほど裁判に関わっています。1990年代頃までの裁判所なら、同じ判決を出すにしても証拠調べはきちんとやった。なぜなら裁判とは議論を尽くすところだから。ところが近年の裁判所はその役目を果たしていない。石木ダム事業認定取消訴訟の結審の時、裁判長は「もうこれ以上お話を聴く必要は無い」と言った。この言葉を私は忘れない。裁判官が聞く耳を持たなければ裁判の意味は無い。結審にあたって今日の裁判長は何とおっしゃるか、私は注目しています。

14:30、開廷。
裁判長は、弁護団に何か2,3確認した後、弁論を許可。

まず、高橋弁護士から、利水について提出した準備書面の要旨が述べられました。
21.06.10-控訴審J7要旨(高橋)

裁判長:ではこれで弁論は終結ということで、終結にあたっての意見陳述をどうぞ。

高橋弁護士:その前に、新たな証拠や証人申請をしておりましたが・・?

裁判長:それについては、いずれも必要のないものと裁判所は判断しました。

門前集会での馬奈木弁護団長の話を聞いて、みんな注目していたのでしょう。「えー!なんで?」「森富義明裁判長、お前もか・・」という声に出せない思いが、傍聴者の表情に浮かんでいました。(原告席に居た私からは傍聴席の人の顔が見えていました)

そして、この後は流れ作業のように、次の意見陳述へと移りました。

石丸勇さん(石木ダム建設予定地こうばる住民)
R3.6.18意見陳述書(石丸勇)

この素晴らしい陳述に誰もが心の中で頷きながら聴いていたと思いますが、実際に声に出す傍聴者がいました。

「そうです!」という声が、高橋弁護士の時にも1回発せられ、石丸さんの時には3回も。裁判長は1回だけ「傍聴人は発言しないように!」と注意しましたが、その後はもう何も言いませんでした。

そして、石丸さんの陳述後、傍聴席から大きな拍手・・・。
これにも無反応の裁判長。

魚住弁護士
2021.6.18意見書(魚住)

陳述後、またもや法廷に響き渡る拍手。
裁判長からは注意無し。
諦め?もしや・・共感?

など妄想が一瞬脳内を過りましたが、
陳述が終わるやいなや、

裁判長:では、これで弁論を終結します。
判決は10月21日午後2時半。101号法廷。
以上です。

と、無表情に淡々と述べ、退席。
あああああ・・・・「イチケイのカラス」は、やはりここにはいなかった。

<報告集会>
福岡県弁護士会館2階大ホールにて。



いつものように、事務局の平山弁護士から、前回期日(3月25日)から今日までの経緯と、今日の法廷でのやり取りについての説明がありました。


そして、判決期日を伝え、それまでの4ヶ月間私たちに何ができるか、共に考え協力していこうと呼びかけられました。

続いて、陳述者からの発言です。

高橋弁護士:今回陳述したのは、佐世保市がおこなった2019年度の再評価がいかに問題だらけであったかを述べた準備書面7を要約したものです。その準備書面はほぼ丸々遠藤さん(水源開発問題全国連絡会共同代表)が書かれたもので、大変分かりやすくまとめてあります。よかったらそちらも是非読んでいただければと思います。
差止め控訴審J7

魚住弁護士:この裁判に関わって初めての意見陳述です。私は、なぜ川原の人たちが訴訟という手段に出たのか、それを3つの観点(立憲民主主義、住民自治・団体自治、将来世代)から言わせてもらいました。例えば、将来世代の観点で言うと、アメリカインディアンの中には7世代先のことを考えて物事を決めようという考えがあります。こういう視点の大切さを盛り込んだつもりです。

石丸控訴人:伝わったかなと少し不安でしたが、最後に皆さんから拍手をいただいて、よかったなと思いました。私は県が石木ダムを進める上で、いかに私たちを騙しながら、世間を誤魔化しながらやってきたかを伝えたかった。それから、県は私たちを追い出せないまま堰堤を造ろうとしています。堰堤ができ水を溜めれば私たちは水没させられるのです。また、それに抵抗しようとすると、かつての強制測量の時のような流血の事態にもなるでしょう。そういう現状も伝えたかったので陳述書に盛り込みました。

質疑応答
Aさん:石丸さんの陳述の中に、国交省の有識者会議で「石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」という付帯意見が付けられたことが書かれていますが、当時は民主党政権だったと思います。その後、自民党政権になってから、この付帯意見はどのようになったのか事実経過がわかれば教えていただきたい。

石丸さん:民主党政権の時にダム検証が行われ、石木ダムは検証の結果「事業継続」となったけれど、「地域の方々の理解が得られるよう努力すること」という付帯意見が付きました。ダム検証そのものは悪いことではないが、やり方がまずかった、失敗だったと思います。あれで石木ダムも、お墨付きを得た形になり、事業認定にも繋がっていったので。

Aさん:近々知事と話し合うための協議がなされようとしているようですが、これは本体工事に進むための布石のようにも感じられます。皆さんのお考えを聞かせて頂きたい。

石丸さん:県の言う話し合いはポーズだと私たちも思っています。今日午前、地元では記者会見をやりました。それは私たちの真意を伝えるためです。県が予定した明日の事前協議を結果的に私たちは断りましたが、工事を中断しなければ話し合う環境にはならないということを伝えるためでした。県は私たちが話し合いを拒否しているという形に持って行こうとしていますが、話し合う環境を作ろうとしない県の方こそ話し合う意思はないのだということです。

Bさん:石丸さんの陳述書には、石木ダムの当初の目的は針尾工業団地の水源確保のためだったと書かれています。私は以前、針尾工業団地の調査(ここにはどのような業種が適しているかという調査)に関わっていました。そのとき言われたのは、ここには水が無い、それを前提に考えてほしいと。私たちは石木ダムなど全然聞いていない。今それを知って非常に悔しく思っています。

Cさん:魚住弁護士の陳述書の中に「川原の住民である控訴人等には、佐世保市議会議員、佐世保市長を選出するための選挙権それ自体が認められていないのです。すなわち、住民自治・団体自治の本質的部分である、選挙権それ自体が保障されてはいないのです」とありますが、そこの意味がよくわからないのですが・・・。

魚住弁護士:石木ダムは長崎県と佐世保市の共同事業です。こうばる住民は川棚町民なので佐世保市長を選ぶ権利はありませんよね。権利が与えられていない自治体の政策によって追い出されるのは問題だと言っているのです。

Cさん:佐世保市のダムを川棚町に造るのに、川棚町の許可は要らないのですか?

高橋弁護士:要らないと思います。そのために土地収用法があるので。

Cさん:では、市が他所の自治体に造るのに、その自治体の許可は要らないのですね?

高橋弁護士:川棚町は川棚川の洪水被害の軽減のために石木ダムを造るということになっているので、川棚町も認めているわけです。

馬奈木弁護士:制度的にはその通りだが、被害を受ける住民が本気で被害を止めようとすれば、やり方はある。自分の権利は自分で守る。川棚町議会が変われば町も変わる。例えば条例を作るとか。以前、産廃問題でそういう条例を作ったこともあります。制度が間違っていれば正しい制度に作り直すとか、そういう方法もあるということを、あえて付け加えておきます。

Dさん:佐世保市は石木ダム計画の言い出しっぺなので自ら止めることはしないだろう。一方、川棚町は県や佐世保市の言いなりになっているが、町民はまた違うと思う。町議会への働きかけなどについて石丸さんはどのように考えておられるか、聞きたい。

石丸さん:こうばる住民としては、とにかく今は座り込みで精一杯。他のことをやる余裕はない。町民の会の方で、何か考えて取り組んでいるようだが・・

Eさん:これまで何度も現地に行っていますが、それは不定期で、人数も成り行きで、あまり力にはなれなかったと思う。これからは組織的にやっていきたい。例えば月曜日なら行けるとか、金曜日なら行けるとか、そういう人を集めて計画的にやりたい。そうすれば本当の支援ができると思う。行けそうな人はぜひ私まで声をかけてください。

など嬉しい提案も飛び出しましたし、
他にも様々な貴重なご意見も聴くことができました。
そして最後に弁護団長の馬奈木弁護士がまとめてくださいました。


反対するには、反対するだけの理由があります。
本来あるべき姿、それは、

政策はみんなの合意のもとに進められていくべきもの
みんなが納得してやっていくものです。
いわれもないことを強制される筋合いはありません。
断固として拒否しよう。
そして、合意を作ろう。
そのために、力を合わせて頑張ろうではありませんか。

雨の中の記者会見「工事の中断を!」

いつもより少ない座り込みの現場 雨の中、反対住民が記者会見