長崎県三大悪政の1つが消えた!

今年も残すところあと数時間。
地球沸騰化時代に突入したと言われながら、対策は遅々として進まず、一方で紛争や戦争はどんどん進行し、子どもたちなど犠牲者は増えるばかり。

日本国内においても、平和憲法や民主主義がどんどん風化している。
国は12月28日、辺野古基地建設を進めるための手続きを沖縄県知事に代わって「代執行」した。国が地方自治体の事務を代執行するという異例の事態。防衛省沖縄防衛局は来月中旬にも、県が認めていない区域で工事を始めるという。

国は公益を声高に言うが、民意を無視した基地建設が公益と言えるのか?
国家権力が地方自治を踏みにじることが許されるのか?

同じことを長崎県がやっている。
公益のためと言いながら、反対する住民の想いや意思は無視して、ダム建設工事を強行している。
代執行の手続きはとっていないが、田んぼや畑を無断で破壊し工事用道路を建設するなど事実上の代執行を行なっている。

12月16日、佐世保市のアーケード街で「長崎県の三大悪政ストップ!県民集会」が開かれた。
三大悪政とは、石木ダム建設、カジノ(IR)、諫早湾干拓のこと。
冷たい雨が降る中、50人ほどが参加した。


ここで採択された集会宣言を22日、佐世保市長や市議会に提出した。


その5日後、国交省は長崎県のIR計画を認定しないと発表した。
私たちにとっては嬉しいニュース!
三大悪政の中の1つが解消されそうだ。
来年こそは石木ダムも…と思えるほど楽観的にはなれないが、希望だけは少し感じることができたかな。

カジノと石木ダムの共通点は、経済重視、今だけ重視、他者は軽視。
つまり、経済的な豊かさばかり追い求め、今を生きる自分たちが豊かであればそれでいい、この事業によって次世代や隣町にどれほどのリスクや被害が生じるかなど関知しない、そんな利己的な考え方が根底にあるように思う。

石木ダムの場合、国による認定はとっくに得ているので、カジノのように国の力で中止になる可能性はないが、だからこそ、市民県民がしっかり考えたい。水需要は減少の一途を辿っているのに、今さら新たなダムが必要なのかと。

水源が豊富だとは言わないが、日常生活に困らない程度の水源は既にある。何百億というダム建設費や維持管理費を将来世代に背負わせ、ダム建設予定地の自然と人々の暮らしを破壊してまでダムが必要かと。

誰1人取り残さない持続可能な未来を、子どもたちのためにも目指したい…

2023年大晦日

 

人口減少率第5位の長崎県に 石木ダムは要らない!

2050年には日本の人口は2020年と比べ、17%減少し、1億468万人ほどになるという。(12月22日、厚生労働省 国立社会保障・人口問題研究所発表)

減少しないのは東京都だけ。他の道府県は皆マイナスだが、その減少率は濃淡がある。30%以上の減少率が予測されるのは、宮城県を除く東北各県と新潟、和歌山、山口、徳島、高知、そしてここ長崎県。

こちらは、12/23付長崎新聞2面の表。


九州・沖縄地方では、沖縄県が一番減少率が低くて5.2%、次いで福岡が12.8%、その他の熊本、佐賀、大分、宮崎、鹿児島はみな20%台で、長崎県のみが33.8%の大台。長崎の減少率は全国で第5位の高さ。

長崎新聞の一面には県内21市町の推計値の表も。人口減少率50%を超える市や町が6つもある!

ここ佐世保市の減少率は31.8%の見込み。
3割以上も人口が減れば、水道使用量が減るのは必至!


「風呂は2日に1回? もう住めない? 水源地の水道料金、急騰の謎」

https://mainichi.jp/articles/20231221/k00/00m/040/366000c

こちらは、12月22日の毎日新聞記事。
水源はたっぷりあるのに水道料金の高騰で住民が悲鳴を上げているという愛知県新城市の話題。値上げの理由は人口減少。

人口減少で水道料金収入は減るが、老朽化した設備整備の更新に莫大なお金が掛るので水道料金を値上げせざるを得ない。
浦上教授が言うように「人口減少が進む日本ではどこでも起こりうる」こと。
同趣旨の記事は3年前にもあった。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/12632ba0830ccd9e67572c5cf9b629d7a4af8fa3

こちらは横浜市の水道料金値上げの記事だが、その背景と対策を水ジャーナリストの橋本淳司氏が分りやすく解説している。

・人口減少+水道設備の老朽化→料金収入減少、更新費用は増加→水道料金値上げ
値上げ回避のため職員削減+業務の民間委託→既に限界・災害時に対応できない
見直すべきは設備水使用量減少→施設のダウンサイジング
現有施設を有効活用すること、大事に長く使うこと、無駄な設備を廃止していくこと、計画中の施設でも今後有効に使えないなら中止にすること。

どう考えても、今さら石木ダム建設はあり得ない!

知事の訪問に住民が応じない理由

「地元住民の声を聞こうともしない知事と会って話すことなどありません」
この張り紙は、こうばる住民が抗議の座り込みをしているテントに張られたもので、知事へのメッセージです。

「大石知事が11ヶ月ぶりに現地訪問」「住民側が拒否」「面会実現せず」
このような文言をテレビや新聞で目にした県民の皆さんは、どのように思われたでしょう。

・せっかく知事が訪問しているのになぜ拒否するの?
・張り紙には「住民の声を聞こうともしない知事」と書かれているけど、知事は声を聞きに来たのではないの?聞こうとしているんだから応じればいいのに…
・どちらも話し合いを求めているみたいだけど、どちらも相手が応じないと言っていて、さっぱりわからない。

こんなふうに感じた人も少なくなかったのではないでしょうか。
これまでの経緯をよく知らない方がそう思うのは当然かもしれません。
この機会に、これまでの経緯について、ぜひ関心を持ってください。事実を知れば、なぜこのような事態に至っているのか、ご理解いただけると思います。

昨年3月長崎県知事に就任した大石賢吾知事は、対話を重視する姿勢を示し、4月には住民と共にこうばるを散策し、「ふるさとは尊い」と語りました。
そのような知事に希望を感じた住民の皆さんは、8月と9月の2回、知事との話し合いに応じました。応じたと言うより、それは住民の皆さん自身の希望でもあったのです。

前知事中村知事には住民の方から何度も話し合いを求めていましたが、実現しませんでした。今度の知事ならちゃんと話を聴いてくれ、意見交換ができそうだ、そんな期待感が芽生えていました。

しかし、実際の話し合いは、これまでと同じで、県は県の論理で石木ダムの必要性を説明するだけで、住民の本当の疑問には答えようとしなかったのです。

例えば、治水面で言えば、県が想定する100年に1回の大雨が降ったとき、川棚川の山道橋付近では毎秒1400㎥/秒の水が押し寄せてくる。そうすると堤防から水が溢れ流域の家は浸水被害を被る。それを回避するためには、上流の野々川ダムで80㎥/秒、石木ダムで220㎥/秒の流量を減らす必要がある。

と県は説明するのですが、そもそも100年に1回の大雨というのが、降水量だけでなく、雨の降り方に様々なパターン(短時間でドバーッと降るとか、1日中満遍なく降り続くとか)があり、本当に1400㎥/秒の流量となるのか?これは過大すぎるという専門家の見解もあるのです。治水計画の基本となる数値が間違っていたら、ダムの必要性そのものが揺らぎかねないので、根拠が示されるまでは納得できませんよね。

また、利水面でも疑問はたくさんあって、住民側から多くの質問が出されたのですが、その話し合いの場に佐世保市が参加することはなく、県の職員が佐世保市の主張を代読するというごく形式的なものに終りました。

これでは話し合いの意味が無い。県や市の一方的な主張だけでなく、治水や利水の専門家も交えて公開の場でしっかりと議論したい、意見交換をしたいと住民の皆さんは求め続けているのですが、県はそれにはどうしても応じません。

それどころか、先日(12月5日)の県議会では、「我々としましては、今この時点においてダムの必要性を議論する段階ではないと考えております」との知事の答弁を聞き、住民の方はがっかりされました。

知事(=県)が求めている話し合いは、生活再建のこと。つまりダム建設が前提の話し合いであり、ダムの必要性について話し合いたいとの住民の要望は全く無視しています。
だから、「地元住民の声を聞こうともしない」と書かれてしまったのです。

知事、佐世保市長、あなた方には説明責任があります。
もう何回も説明したと言われるでしょうが、形だけの説明を何度やっても責任を果たしたことにはなりません。ダムのために犠牲を強いられる立場の住民側が納得する形の説明が必要です。
それは、公開の場で、地元住民だけでなく専門家も交えた、公正な議論の中で行なわれる説明です。

県も市も二言目には「ダムの必要性については司法の判断が出ている」と責任転嫁しますが、あれは「石木ダムの事業認定を取り消さなくてもよい」「石木ダム工事を差し止めなくてもよい」という判断に過ぎません。行政自らが改めて事業評価を行ない、石木ダム建設の是非を決めることに何ら問題はありません。

事業の見直しに遅すぎるということはありません。
大石知事と宮島市長の勇気ある行動を待っています。

石木ダム 手抜き工事宣言!?

12月5日の県議会、土木部長の答弁を聴いて驚いた。
それって、「手抜き工事宣言」ですか?

一般質問で、堀江ひとみ議員は、こう切り出した。
「石木ダム事業における測量設計費、30億円の予算に対し既に49億円使っていますね。予定額の1.6倍も使われた理由は何ですか」

土木部長は初め「事業の長期化に伴い、技術基準等の改定による設計業務、新たな調査手法を用いての地質の調査解析など、追加費用が発生していることから増額となっています」と答えた。

堀江議員は1974年(昭和49年)の石木川の河川開発調査結果を持ち出し、「一部に大きい透水箇所や湧水箇所が見受けられた」とあるが、この地質問題の調査が長引き費用が膨らんでいるのではないか?と質すと、

土木部長:ダムに水をためると水圧がかかります。地盤に亀裂が入っていると水圧でそこを水が抜けていく可能性があるので、その基礎処理工を今後していく必要があります。その範囲をどのぐらい対策をしなければいけないのか、それがまだつかめておりませんので、それを掴むための地質調査を進めているところです。

堀江議員:その地質調査はまだ終わっていないので、測量設計費にかかる費用は、これからもかかるってことでしょう?

土木部長:はい。増える可能性を持っております。ただ、その測量設計費が当初の予定より増えていることにつきましては、働き方改革ですとか、資材の高騰などいろんな影響がありますので、工事の進め方など検討していきたいと思っております。

堀江議員:資材高騰などで測量設計費が増えれば、総事業費もこれから増えるということですよね?

土木部長:いえ、建設費に係る予算のコストダウンなどに努めて、総額で収まるように、まずは努力して、令和7年度完成という姿勢も変えることはなく、工事の進め方などを検討してまいりたいと思っております。

堀江議員は来年度が石木ダムの再評価の年であることを確認した上で、再評価のあり方についても質した。

堀江議員:石木ダム事業の費用便益比B/Cは、再評価のたびにどんどん小さくなっています。2007年=1.43、2011年=1.27、2019年=1.21と。もしも今回費用が大幅に増えれば、1を下回る可能性もある。そうなると、石木ダム建設の意義そのものが問われることになる。それだけに、今回の再評価は重要であり、公正な資料に基づき、中立な委員によりなされるべきです。しかし、その再評価を行なう長崎県公共事業評価監視委員会は、県が選んだ委員によって、県が用意した資料を基に検討しています。事業評価のあり方として、専門家も交えた石木ダム事業に特化した委員会を設置する考えはありませんか?

土木部長:県公共事業評価監視委員会は技術分野を含め、様々な分野の専門家から構成され、幅広い視点でご意見をいただいています。また、令和2年には事業の必要性を認める司法判断が確定しており、石木ダムに特化した委員会を設置する考えはございません。

堀江議員は、県民の間から、石木ダム事業については特化した委員会を持つべきという声が寄せられているので、今一度検討してほしいと要望し、知事への質問に移った。

堀江議員:昨年9月以降、知事と反対住民との話し合いは途絶えたままです。信頼関係を築くために、工事を中断して話し合いをする考えはありませんか?

知事:昨年9月以降、話し合いには応じていただいておりませんので、職員が毎月お話し合いのお願いを続けております。今後もご理解いただけるように努力はしていきたいと思います。

堀江議員:ご理解をいただく努力というのは何を指しているのですか?今回補正予算で提案されている石木ダム基金のことですか?住民との対話を模索するのではなくて、反対地権者を協力感謝金で事業推進に変えようと考える、その知事の姿勢が問われているのですよ。

知事:基金については、生活再建に向けた支援や地域振興策に関して準備するものです。理解を得る努力については、私も話し合いを望んでいますが、住民の方からは「ダムの必要性を議論をしなければ、話し合いには応じることができない」ということでした。我々としましては、今この時点においてダムの必要性を議論する段階ではないと考えておりますので、そこの理解が得られてないものと思います。

この日の土木部長や知事の答弁で分ったことをまとめると、

1.ダムの必要性を見直す時期は過ぎた。今はダム完成に向け前進あるのみ。地元の方とはダム完成後の生活再建について話し合いたい。

2.石木ダム建設予定地の地盤には透水性の高い箇所がある。

3.その対策処理工事をするために地質調査を継続中で、その費用は今後も増えるだろう。

4.地質調査費は測量設計費に含まれており、測量設計費は既に予算額の1.6倍も使っているが、増額の原因は地質調査だけでなく、人件費や資材の高騰もある。

となれば、人件費や資材の高騰による予算増は測量設計費に限ったことではないので、当然本体工事費も増額となり、総事業費はいかほどになるのか…と誰もが心配になる。ところが土木部長は、

5.建設費のコストダウンに努めて、総事業費は予定額の285億円で収めたい。

6.工期も変更せず、令和7年度完成とする。

とおっしゃっている。

言い換えれば、「測量設計費に使い過ぎちゃって、さらにまだお金がかかりそうなので、建設費を削ります~」ってこと?
どうやって削るのか?

石木ダム事業費内訳書の資料を見ると、測量設計費は昨年度末時点で約19億円オーバーしている。まだ増えるとのことなので、最低でも20億円は増えるとして、では、工事費86億円から20億円削るのか?だとしたら23%ものコストダウン!

人件費や資材費が高騰している中でそのような大幅な減額はあり得ない。あり得るとしたら手抜き工事しかない。鉄筋を10本打つべきところを8本にするとか、コンクリートを10t使うところを7tにするとか、10人で作業すべきところを6人でやっつけるとか…

また、工期も変更しない(令和7年度までに完成)とのことだが、現在の行程表では、ダム本体工事を令和6年度までに完成し、令和7年度は試験湛水をやって水圧に耐えられることや漏水がないことなど全てのチェックを終える、その完成予定が7年度である。

まだダム本体は影も形も見えていないのに、あと1年と4ヶ月足らずでダム本体を完成させるというのか?

「石木ダムは手抜き工事で建設します!」と宣言しているようなものだ。

手抜き工事の結果、何が起きるのか?
ダム湖からの水漏れであったり、堤防のひび割れであったり、そのひび割れが地震の揺れで大きくなり、ついには決壊したり・・・などという可能性に繋がる。被害を被るのは下流域の川棚町民。

ハテ?
石木ダムは川棚町民の安心安全のための公共事業ではなかったのか???